アパシー鳴神学園七不思議+危険な転校生
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今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
1週目クリア
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間のシナリオ:下半身ババア→エンディング№168・169を見る
4人目は荒井のシナリオ:いみぐい村→エンディング№74・75を見る
5人目は細田のシナリオ:トイレの恋→エンディング№270~272見る
6人目は新堂のシナリオ:吉田ババア→エンディング№001~005を見る
7話目はシナリオ:うしろの正面:エンディング№426~431を見る
2週目クリア
倉田のシナリオ:呪われたロッカー→エンディング№376~383を見る
1人目は岩下のシナリオ:ポプリ→エンディング№213~217を見る
2人目は細田のシナリオ:サトリサマ→エンディング№262~265を見る
3人目は福沢のシナリオ:彼と彼女の秘密→エンディング№140~142、144・145を見る
4人目は風間のシナリオ:ひとり七不思議→エンディング№181~187を見る
5人目は新堂のシナリオ:ゲーム実況怪談→エンディング№53・54を見る
6人目は荒井のシナリオ:時田君の自主製作映画→エンディング№58~63を見る
7話目はシナリオ:交換日記の怖い話→エンディング№453~470を見る
3週目開始!
倉田のシナリオ:倉田恵美の飴玉ばあさん→エンディング№369~375を見る
1人目は細田のシナリオ:機を見る男→エンディング№290~293を見る
2人目は新堂のシナリオ:痛みを感じない男→エンディング№011~015を見る
3人目は福沢のシナリオ:彼と彼女の秘密→エンディング№143を見る
4人目は風間のシナリオ:ボクは霊能者→エンディング№166・167を見る
5人目に、荒井を選択!
荒井昭二は2年B組の生徒。
「よくある七不思議の話をしても面白くないでしょう?そうは思いませんか?」
- よくある七不思議で結構です→シナリオ:時田君の自主製作映画
- そうですね→シナリオ:いみぐい村
- 友達の話はどうですか?
シナリオ:
フィギュアの作り方
「わかりますよ。怖い話は数あれど、その中でも最も怖いのが人の怖さですからね。
おや、坂上君、ひょっとして震えているんですか?なぜ、震えているんですか?」
「怖くて体の震えが止まらないんですね?でも、何が怖いんでしょう?
坂上君は、怖い話がお嫌いなんでしょう?それくらい、見ていればわかりますよ。
でも、ここに集まった方々は、どうやら怖い話が趣味のようです。
あなたは趣味がおありですか?人間は、蓄積したストレスの解消や精神のリフレッシュのために趣味を求めるのです。いわば、趣味があるからこそ、人間は狂わないでいられるのです。
あなたも、そう思いませんか?」
「そうですよね。坂上君は、さすがよくわかってします。ヒヒヒ。
では、趣味を有効に利用していますか?趣味が心を癒すからといいって、はまりすぎると危険ですから。
まさか、TVゲームの遊びすぎで学校を休んだ、なんてこと、坂上君にはありませんよね。
節度を守って趣味を楽しんでいますか?」
「まあ正直なのはいいことですが、結局のところ節度を守れない人間というのは人生の落伍者でしょうね」
シナリオ:
正しいフィギュアの作り方
「ところで、坂上君、プラモデルなどは作りますか?特に今は、ダンプラの洗礼を受けない男性はいないでしょうね。
説明する必要はないと思いますが、ダンプラとはアニメのダンガム・シリーズに登場するノビルスーツや戦艦などのメカニックを対象としたプラモデルのことです」
昨年の5月に、荒井のクラスに一人の転校生がやってきた。
おとなしく目立たない転校生で、名前は、曽我秀雄と言った。
見た目は決して悪くはないのだが、運動はできない、勉強も駄目、人付き合いもうまいタイプでもない。俗にいう、いじめられっ子のタイプだった。
曽我は荒井の隣の席だっが、荒井は別に会話を持とうとも思わなかった。曽我の言動を見ていると、とても理知的に思えなかったからだ。
クラスメートの袖山が「おはよう」と曽我に声を掛けても、曽我が「おはよう」と答える頃には、袖山はもうどこかへ行ってしまっている。荒井は、あそこまで頭の回転が悪い人間を見たことがなかった。
曽我は、確かによくクラスのいじめっ子の恰好の的になっていたが、反応がつまらないため、飽きられてしまっていた。
荒井は、もしかしたら、曽我はみんなが思うほど馬鹿ではないかもしれない。彼は彼なりに、自分の身を守る術を見に付けているのかもしれない、と思うようになった。
他にも、そう思わせる節があった。
数学の授業中、曽我は黒板を見ながらノートにペンを走らせているのが、ちらりと覗き込んだところ、黒板に書かれた文字を的確にノートに写していた。
また、美術の時間で版画を作成したとき、曽我は実に滑らかに彫刻刀を扱った。
彼はもしかしたらとんでもない芸術家の卵で、ダイヤモンドの原石かもしれない。そう思った荒井は、曽我の流れるような作業に見惚れていた。
すると、荒井の様子に気が付いたのか、曽我はちらりとこちらに目を向けると、一瞬ニヤっと口元を歪ませ、それまで築き上げてきた芸術品を無造作に崩し始めた。
完成した作品は物笑いの種となり、爆笑するクラスメートを横目に、曽我は照れくさそうに笑っていた。
それで、荒井は、曽我が馬鹿な振りをしているだけで、本当はここにいる凡人とは比類なき才能の持ち主であるということに確信を持った。
ある日、荒井は自分の席で何気なく帆船画集を開いていた。この画集はいわゆる自費出版本で、通常の書店のルートでは流れておらず、アマチュアの画家や文筆家が自腹を切って自分の作品を1冊の本にまとめたものだった。そのため、愛好家の間で口コミにより広まったりすることがあるが、まずは世にでないものだった。
荒井が呼んでいたのは、先生という帆船を専門に描く珍しい帆船画家の出した自費出版画集だった。細部まで描き切った質感溢れる筆遣いと、背景と一体化した帆船の雄大さは見事で、帆船愛好家の間ではカリスマ画家としてしられている偉大な方で、彼の出したこの画集はプレミアが付いており、マニアの間では1冊数十万円を超える値段で取引がなされていた。
荒井は、曽我の気を引くために、わざとその画集を学校へ持って行ったのだった。
「すいぶんと珍しい本を読んでいるんだね」
「曽我君は帆船に興味がおありですか?」
「キングオグホビーかぁ、僕には荷が重すぎるよ」
曽我は、帆船模型がキングオブホビーであることを知っていた。
荒井は、思わず曽我を抱きしめたくなった。
「そうだ、昔ボトルシップを作ったことがあるんだ。良かったら、見に来るかい?」
「曽我君はモデラーなのですか?」
「うん、模型作りは僕の生きがいだと持ってる。僕は、誰にも作れなかった模型を作りたいと思っている」
荒井は、二つ返事でその誘いを受けた。
「僕はね、ずっと荒井君を話をしたいと思っていたんだ」
「僕もですよ。あの版画を見た時から、僕は曽我君と友達になりたいと思っていましたよ」
「あの版画だけれど、あれはわざと見せたんだ。君と友達になりたくてね」
そういう彼の笑顔は実に理知的なものだった。
「才能あるものは、不便ですか?」
「そうだなあ、便利なこともあるけど、不便なことも多いよ。僕は、好きなものを好きなように描きたいんだ。それを周りは寄って集って、指導したがる。
荒井君はどう?君だって、自分の好きなことをしたいだろ?」
曽我は、自分よりも格下の人間に教えを乞うことの苦痛を味わっていた。それで、いつしか自分の才能を隠し、愚鈍な人間を演じていた。そうすることで、自分の人生の邪魔をされぬようにしてきたのだ。
曽我の家は、金持ちという人種に属するものだった。
門をくぐると庭にはバーベキューグリルのセットが置いてあり、この家族の休日の過ごし方が見ているだけで伝わって来た。
居間に通されると、テレビやステレオなど騒音を発する器具が見当たらず、家庭を大事にする方針だと納得できるものだった。
「今、両親は留守なんだ。忙しくていつ帰ってくるかわからない。ばあやに用意させるから、何か飲む?コーヒー?紅茶?それとも、ブランディ?」
試されていることに荒井は気づいた。
「アップルブランディはありますか?」
「シードル?それともカルヴァドス?」
「なら、カルヴァドスで」
「荒井君は趣味がいいね。ラルテ・カミュとポム・ド・ノルマンディ、どっちがいい?」
「ポム・ド・ノルマンディはカルヴァドスにりんごジュースを混ぜたもので、正確にはカルヴァドスと呼ぶには抵抗を感じますね。頂くなら、ラルテ・カミュでしょう」
「わかった。もちろん、ストレートだよね?」
「冗談ですよ。高校生の僕がアルコールを頂くわけにはいきませんよ。紅茶を頂きます」
「さあ、僕の部屋へ行こう。紅茶はあとで部屋に持ってこさせるから。君に見せたいボトルシップは、僕の部屋にあるんだ」
曽我の部屋は幾つもの棚にコレクションが陳列され、モデルマニアにとっては垂涎の夢の空間だった。すべてのコレクションの調和が取れ、一流の博物館と呼ぶに相応しい見事な空間だった。
「これはすべて僕が作ったんだ」
機関車、戦車、城、甲冑、そして神話世界に登場するドラゴンやサイクロップスなどのモンスター。
数は30体ほどでしょうか。しかし、そのどれもがひとつ部屋にあるだけで輝きを放つほどの完成度だった。
「これほどの腕だと僕の期待を遥かに超えていました。完全に脱帽ですよ。曽我君はまさに神です」
「さあ、僕の作ったボトルシップを見てくれないか」
そう言って、彼が棚から取ったのは、腹の部分が手のひらにすっぽり収まるほどの小さなボトルだった。入口は小さく、腹の部分がずんぐりとしたミニチュアボトルの空き瓶だった。
シップ型の帆船が、荒れ狂う海に襲われ半壊しながらも必死で戦っている様を描いた迫力のジオラマだった。
「出船型ですね。信じられない技術だ・・・」
「さすがだね、荒井君。そこに気づいたのは君が初めてだよ。このボトルシップの一番の見所は出船型なのさ」
「ええ、わかりますよ。普通、船首がビンの口を向いている出船型は倒したマストをビンの中で立てる引き起こし法を用いますから。
それに比べ、船首がビンの底を向いている入船型はパーツをビンの中で組み立てていく分解法ですから、より大きく緻密な作品を作ることができる。
これだけ緻密な出船型の作品は見たことないですよ。
ジオラマの様子から分解法を用いていることは誰にもわかるでしょうが、このジオラマを完成させるには神業的な正確さに素早さをもってしても不可能ですよ。
これを作れるのは人間じゃない。本当に神だ。
昔作ったと言ってましたが、いつごろの作品なのですか?」
「これは小学生の工作の時間に作ったんだ。確か、今から6年くらい前かな。
・・・実は最近もボトルシップを作ったんだ」
荒井は部屋を見回したが、ボトルシップと呼べるものはなかった。
「最近の作品はここに置いてないんだ。ここにあるのは、みんな小学生の時に作ったものだから。
荒井君なら、見せてもいいと思っているんだ。でも、気に入ってもらえないかもしれない。君は、気難しそうだから・・・
見せよう。見せるなら、君以外に考えられないよ」
と、言って、廊下の奥に歩き始めた。曽我は2階の突き当りにあるドアの前に立つと、ポケットから鍵を取り出した。
「この部屋は親にも見せていないんだ。だから、普段は鍵を掛けているんだよ」
ドアを開けると、そこは10畳ほどのすっきりとした部屋だった。
家具はなく、2つの大きな棚があるだけで、そこには10人ほどの少女が暮らしていた。
彼女たちは思い思いの恰好で、棚に腰かけたり、壁によりかかっていた。彼女たちは、いずれも氷のような冷たい笑みを浮かべていた。
その部屋は人形置き場だった。
「これが最近作ったボトルシップなんだけど、君には不快に感じるだろうな」
そう言って彼は、先ほどより少し大きめのビンを荒井に見せてくれた。
そのボトルに中では、セーラー服を着た少女が体育座りをし、膝小僧の上で組んだ腕を枕にすやすやと寝ていた。
ボトルシップとは帆船模型だからこそ、その名称で呼ばれる。このような少女を入れたものをボトルシップと呼ぶとは言語道断だ。
しかし、本来ならが絶対に認めたくない作品だが、例外中の例外として、荒井はこれをボトルシップと認めることにした。曽我秀雄という天才の作品に免じて。
「駄目なんだ」と曽我が吐き捨てるように言った。
「何がですか?」
「全部、失敗作さんだ。僕はリアルオブリアルを越えたフィギュアを作りたいんだ。なのに、作れない。どれも、死んでいる」
そう言って彼は、その場に力なくしゃがみ込んだ。
「これで、失敗作なんですか?」
「動かないんだよ。みんな、死んでいるんだ」
「曽我君は動かしたいんですか?これだけの腕を持っているんですよ。球体関節を用いれば、すぐにアクション・フィギュアにできるでしょう?」
「それじゃあ駄目なんだ。人形は人形でしかない。どんなリアルを求めてもリアルを越えたものは作れない。
僕は生きたものを作りたい。誰が見ても、リアルを越えて今にも動き出しそうな生きたものを作りたいんだ。
やり方はわかっている。問題は素材なんだ。それさえ、解決すれば・・・僕はもっともっと上を目指せるのに」
荒井は、焦点の定まらない曽我をその場に残し、そっと帰った。
「昨日はつまらないところを見せてしまったね。いずれ埋め合わせはさせてもらうよ」
翌日、曽我は耳元でそっと呟いた。
その頃、荒井たちのクラスで人気があったという女子生徒が学校を欠席するようになったが、1週間経っても彼女は学校に出てこなかった。
そのうち、彼女は病欠ではなく、行方不明になったのだと囁かれるようになった。
そんなある日、珍しく曽我が人目をはばからず堂々と荒井に話しかけてきた。
「荒井君、君は旧校舎に秘密の地下室があることを知っていたかい?」
荒井はわかっていたが、天才の邪魔をしたくはないので、あえて知らぬふりをし続けた。
1学期が終わったが、最後まで彼女は登校しなかった。正確に言うなら、ずっと学校にいた。
「もうすぐ完成だ。出来たら連絡する」
終業式の被、曽我は荒井にそっと耳打ちした。
そして翌日。
「今、時間はあるかい?」
曽我から待ちに待ったお誘いがかかった。
「待っていましたよ、この時を」
「今、君の家のそばにいるんだ。出てこられるかい?」
荒井が外に出ると、曽我は玄関前で腕を組んでいた。ただその顔つきが、ここ1週間ほどで、すっかり大人びていた。少年のあどけなさは跡形も消え去り、そこには世の中の仕組みを知ってしまった大人の表情が居座っていた。
二人は学校へと向かった。
「僕は最高の素体を手に入れたんだ。これで、僕は望むべきものを完成させられると思った」
曽我は転校してきた当初より、彼女を標的にしていたそうだが、実行するべきがどうかずっと悩んでいた。しかし、荒井を家に呼んであのコレクションを見せたことで、決心が固まったと話してくれた。
家で作業するわけにもいかなったところ、旧校舎に防空壕跡があることを発見し、曽我は決心した。彼女を誘拐し、旧校舎の地下に監禁したのだ。
「僕は生命を宿した人体模型を作りたかった。それは剥製でも死体でもない、永遠の生命を宿した完ぺきなものでなければいけなかった。
本物の人体をベースにしながら、僕なりの様々な処理を施した今までにない芸術作品だ。その素体に、僕は彼女を選んだんだ。
彼女を誘拐し、旧校舎に監禁したら、抵抗した。だから、しばらく地下で監禁したまま放っておくことにした。
何日か経ったある日、僕が地下室に様子を見に行くと突然、彼女は愛を囁き始めたんだ。
最初は助かりたいがために嘘を言ってるんだと思った。だが、彼女の愛は本物だったのさ」
ストックホルム症候群。
被害者が加害者と共有の時間を過ごすことによって、被害者が加害者に対して特別な感情を抱くようになってしまう精神障害。
人間は極限状態に陥ると、助かりたいがために知恵を働かせる。その時、加害者の気持ちを知るために同調しようとする思考が働いた場足、相手を理解しようとすり寄る波長が一体化してしまい、恋愛感情にまで発展するケースがある。
「彼女の愛は本物だった。彼女は、僕の望んでいる姿に生まれ変わりたいと言ったのさ。だから、僕は試しに彼女の指先を加工した。
1本1本爪を剥ぎ、そこに透き通るようなガラスの爪を植え付けていった。麻酔はしなかった。おそらく、その激痛は耐え難いものだったろう。しかし、彼女は身を揮わせるだけで叫び声一つあげず、大人しくされるがままに僕に身を任せていた。
両手の10本の指先がすべて生まれ変わる頃、彼女は高熱を発し意識を失った。そんな彼女が、僕は愛おしくてたまらなかった。僕は彼女を愛してしまったんだ。
彼女の歯を抜き、唇を削り、その眼孔を抉ったときも、恐ろしさに震える僕を慰めてくれたのは彼女だった。彼女は僕の手術にことごとく耐え、決して死ななかった。
彼女は、少しずつ新しいものに生まれ変わっていった。
やがて彼女は、僕の望んでいたものを越える存在へと変化していった。あれはもう、僕の作品じゃない。僕と彼女の愛の結晶なんだ。
だから、君にみてもらいたいんだ。新しく生まれ変わった早乙女麻耶を」
「ええ、見させていただきますよ。天才造形家、曽我秀雄の最高傑作をね。ヒヒヒ」
防空壕へと続く階段を下りると、膿栓の臭いが辺りに充満していた。
奥には十分すぎるほどの空間が広がっていた。
「麻耶、どこにいるんだ?さあ、美しいお前の姿を荒井君に見せておあげ」
曽我は麻耶を姿を探すようにあたりを徘徊した。そして、こんもりと盛り上がった汚らしい毛布の塊を見つけるとそこで足を止めた。
「さあ、出てお出で」
そういって毛布を取り除こうとする曽我の腕を、毛布の中から突出した何かが払いのけた。
それを人間の手と呼ぶには、かなり抵抗があった。骨のように細くて、ピンポン玉ほどの大きなイボがいくつも付いていた、そのイボにも小さな無数の吹き出物ができていた。さらに手の先端には手のひらと呼べるような部分はなく、平べったい手首からそのまま指のようなものが生えていた。関節がなくらせん状にねじ曲がった指のようなものは針金のように細く、その先にはキラキラと輝くガラスのような突起物が付いていた。
そして、毛布の中から壊れたラジオのような声が聞こえて来た。その耳障りな音は、おそらく毛布の中にいるモノの声だろう。曽我はその不気味な音と会話をし始めた。
「何を恥ずかしがっているんだ」
「麻耶、お前は十分に美しいって」
「その完ぺきな姿を見せてやるんだ」
見たら死ぬ。
荒井の内なる何かがそう警告していた。しかし、それを目にすることは死にも値する価値がある。荒井の内なる何かはそうも告げていた。
もう、どうなってもいい。荒井は運命の女神にすべてを任せた。
「ごめんよ、荒井君。麻耶はどうしても会いたくないと言っている。せっかく来てくれたのに、申し訳ないね。でも次は必ず説得してみせるから。
それから、この前君が僕の家から持ち出した少女のボトルシップ、今日のお詫びに君にあげるよ」
それから数日後、荒井は瓶詰の少女との会話を楽しもうとしていた。
今まで毎日荒井に語り掛けてくれた瓶詰の少女は、その日は眠ったままだった。
ビンの中で眠り続ける少女をじっと見つめても、荒井の目に映るのはあの毛布の中伸びた手。
やはり、あの場で曽我を殺してでも見るべきだった。そんな思いが沸々を湧き上がり、荒井は瓶詰の少女にお休みを言うとそのまま布団をかぶって寝てしまった。
それから、淡々とした夏休みが過ぎていき、始業式が始まる前日の晩、曽我から電話があった。
しかし、受話器の向こうから流れて来たのは、耳障りなノイズだった。それは、忘れようにも忘れられない、あの声に似たものだった。
「・・・親友・・・感謝・・・別れ・・・さようなら・・・ありがとう・・・」
そして、電話は切れた。
もしかしたら、近くにいるかもしれない。そう思った荒井は、辺りを探し回った。
すると、近くの公園からあの強烈な臭いが漂ってきた。
そして、臭いを頼りに公園の中を探すと、ナメクジの粘液のようなべたついた白濁のゲル状の液体が細く筋として残っていた。それは、月の光を受け、キラキラと輝いていたがすぐに乾いて消えていった。
曽我は、あれから自分の体を作り替えたのだろう。愛する麻耶とともに暮らすためなのか、それとも自ら究極の美に魅せられてしまったのか。
「翌日の始業式では、曽我君と麻耶さんの姿を見かけることはなく、先生に二人とも転校したことを告げられました。
さて、今二人はどうしているのでしょうか。
夜中の学校で怪しい物体が徘徊しているという噂をご存じですか?あの二人が暮らせる場所なんて、そうそうあるものでしょうか
旧校舎はいずれ取り壊れるという噂が当たり前のように囁かれていますが、未だにその気配はありません。
僕はね、あの旧校舎は取り壊せない何からの事情があると思っているんですよ。だから、二人はきっとあそこに棲んでいる。僕はそう思ってます。
そう、最後に面白いことを教えてあげましょう。
曽我君の家、あの後一度行ってみたんですよ。両親はどこかへ引っ越してしまったのか、空き家になっていました。
ただ、近くのゴミ捨て場で曽我君に見せてもらった人形が捨ててあったんです。しかし、そのどれもが顔を壊されていたんです。
曽我君が生んだ少女人形たちの中で、今も息づいているあの瓶詰めの少女だけは温かな笑顔を浮かべ、今も僕の家で眠りについています。イヒヒヒ」
エンディング№080:正しいフィギュアの作り方
エンディング数 116/657 達成度17%
キャラクター図鑑 67/122 達成度54%
イラストギャラリー 62/283 達成度21%
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