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チラシの裏~勇者弐位のゲーム日記

 ゲーム大好きな大阪のオバチャンのほぼゲームのことしか書いてない日記。10年やってたブログがプログラム書き換えられて海外の怪しいサイトに飛ばされるようになったんで、2017年4月に引っ越ししてきました。10年分の過去記事が36MBもあるし、データが壊れてるのか一部送れないものもあり、まだまだインポートの途中(;^_^   過去記事分は引っ越しで持ってきたものなので、表示が一部おかしいかもm(__)m  

日野7話目エンディング№30:かくれんぼ


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る
 5人目は岩下玲子を選択→シナリオ:黒と赤の法悦→岩下エンディング№20~24を見る
 6人目は、細田友春を選択して、シナリオ:トイレの友情→細田エンディング№15:裏切り者はどちらかを見る


 新堂エンディング№22:強さ荒井エンディング№10:戦下の友情風間エンディング№01:かぐわしきにおひ細田エンディング№15:裏切り者はどちらかを見て、7話目に行く。


 シナリオ:蟲毒の地下室


 6人目の話を聞き終え、これからどうしようと思っていると、ドアを開けて日野が入って来た。
 「お疲れ」
 「あ、日野先輩、お疲れ様です」
 「どうだ、取材は無事に終わったか?」
 「はい、ここにいらっしゃるみなさんの分は聞けました」
 「どれ、見せて見ろ」
 そう言って、日野は坂上の取材ノートを手に取り、目を通し始めた。
 「へえ、ずいぶん面白そうな話をしていたんだな」
 「そうですね、みなさん、いろんなお話をご存じで」
 「これならいい記事ができそうじゃないか」
 「あ、でも、実はまだ7人目の方がいらしてないんですよ」
 「そうか」
 「日野、お前ちゃんと7人に声を掛けたのかよ?」と新堂が指摘すると、日野は部室にいる人たちの顔を見ながら指を折って人数を数えだした。
 「あ、あれ?・・・すまん、6人しか声を掛けてなかったようだ」
 「ええ!じゃあ、どうすれば・・・」
 「そんな心配そうな顔をするなよ、坂上。
 よし、こうなったら俺が責任を取って、7話目を話してやろう」


 「今から俺が話すのは、ある呪いの話だ。
 みんな、蟲毒は知っているか?
 蟲毒の作り方には諸説あるが、複数の動物を箱や甕などの密閉空間に入れ、それを地下に埋め、共喰いの果てに生き残った1匹を用いる、という大まかな流れは変わらない。
 箱に閉じ込められる動物を種類は、サソリ、ヘビ、ヤモリ、蝦蟇、ムカデ、クモなんかが一般的だ。共通点はみんな毒を持った生き物だというところか。
 互いの毒を喰らいあううちに、最高の強まった毒性が生き残りの一匹に宿り、人を呪うにはもってこいの生物が誕生するんだそうだ。
 だがな、実は毒性のない動物でも蟲毒は可能らしい。その場合は、殺されることや、喰われることへの怨念が積もり積もって、生き残った一体に強い呪いのパワーが宿るというわけだ」


「かつて、この学校のある男子生徒が蟲毒を試したいとい衝動に取り憑かれた。名を仮に君塚としておこう。
 君塚は充分に恵まれていたから、誰かを呪ったり自分を幸せにするために蟲毒を利用しようと考えていたわけではない。蟲毒という呪法に対する、漠然とした憧れや好奇心に取り憑かれたのさ」


 君塚は小さい頃から、自分より弱い生物が苦しむ様子を観察するのが好きだった。
 弱ったカマキリを蟻の大群に襲わせたり、蜘蛛の巣にかかった蝶が食われる様子を観察したり、そういう弱い生き物を見て自分が優越感を得ることだけが、唯一の心の慰めだった。
 そんな彼が、蟲毒という呪法が存在することを知り、それに執着したのは、必然ともいえた。
 自分の意思に反して、真っ暗な甕に閉じ込められ、飢餓に駆り立てられて互いを喰らい合う哀れな動物たち。そんな凄惨な状況を想像するだけで、彼は眠れないほど興奮した。
 その上、共喰いのたびに毒や恨みが勝利者の体内に蓄積されて、最終的には憎悪のいかたまりのような生物が完成する、という図式にも、美学を感じて止まなかった。
 そして、長い年月、そんな妄想を弄ぶうちに、自分の手で蟲毒を実現させてみたいという欲求に遂に勝てなくなった。
 しかし、君塚は虫などを集めるうちに実につまらない行為だということに気がついた。
 まず箱を地中に埋めて結果を待つ以上、呪法が成就される過程をその目で見ることができないことが不満だった。
 それに、うまいこと蟲毒の生物を誕生させたところで、昆虫や両生類の毒性や恨みなどたかが知れている。
 そして彼は、どうせなら高度で複雑な感情を持つ生物で蟲毒の実験を行い、その一部始終をこの目で見るべきだ、という妄念に取り憑かれてしまった。
 そんな生き物は、ひとつしか存在しない。そう、人間だ。
 君塚は、おそらく一度きりしか行うことができないであろう大切な実験のために、2年の歳月をかけて慎重に準備した。
 人を材料とした蟲毒を行おうと思い立ったのが、1年生の春。彼が目をつけた場所は、この学校の旧校舎だった。
 そして、彼は何度が下調べをしているうちに、人を閉じ込めるのに持ってこいの地下室を見つけた。
 そして、3年生の夏休み直前になって、それはようやく実行に移された。


 夏休みに入ったばかりの蒸し暑い日、君塚は学校に7人の生徒を呼び出した。
 集められたのは5人の男子生徒と、2人の女生徒。
 その日まで互いの顔すら知らなかった7人には、ある共通点があった。それは、根っから怖い話が好きだ、ということだ。
 君塚に百物語をするのにぴったりの場所があると誘われて、彼らは旧校舎へと向かった。


 君塚は旧校舎の階段の先にある地下室へと、7人を案内した。
 しかし、最後の一人が地下室への階段を降り切ったところで、背後で鉄製のドアがバタンと閉まり、無情な掛け金の音が地下室に響き渡った。
 「おい、君塚、なにやってんだよ!」
 「鍵がかかっている!」
 7人はあらゆる手段を試した後、ようやく逃げ場がないことに気づいた。
 改めて室内を見ると、むき出しのコンクリートが四方を固めているだけの、実にそっけない部屋だ。照明は天井の中央に裸電球がぽつんと点いているだけで、四隅が翳るくらいに頼りない。
 他にあるものといえば、部屋の隅にダンボールが一箱。壁が分厚いこと、ドアが頑丈なこと。
 脱出口にはならないものの、空気取りの穴が開いていることなどを確認した彼らは、藁にも縋る思いでダンボールを開けた。
 まず水。7人で分けると3日持つか持たないかの量だった。
 あとは、包丁、ナイフ、ボウガン、縄、アイスピック、ノコギリ、釘、トンカチ、鉄パイプ、毒入りのビン、鎌、カッター、ナックル、竹刀という武器の数々。
 その中の一人が細い釘を拾い上げ、階段を上がり、ドアの前にしゃがみこんだ。そして、鍵穴に釘を差し込み、ピッキングを試みた。
 「ぎゃ!!!」
 ヒステリックな絶叫をあげたかと思うと、体が不自然にのけぞり、痙攣しながら、階段を転げ落ちた。
 駆け寄った6人が見たのは、妙な角度に首がねじ曲がった男子生徒の姿だった。
 混乱を制するかのように、どこからともなく声が響いてきた。
 「鍵穴には電流が流れているんだ。触らない方がいい」
 それは、他ならぬ君塚の声だった。よく見れば、天井の一辺にスピーカーが供えつけられていて、声はそこから聞こえて来た。
 君塚は、人間を用いた蟲毒を思いつき、ここにいる人間で実践しているのだという、自分の野望を語って聞かせた。
 「蟲毒は憎悪を喰らいあって膨らませることで完成される呪法なのだから、君達には本気で殺し合ってもらわなくてはならない。
 誰か最後のひとりになるまでに、ドアを開けるつもりはない。様子は監視カメラとマイクで常に探っている。グッドラック」


 通信が切れそうになったので6人は一斉に騒ぎ立てたが、君塚は沈黙を通した。
 しかし、そのうちの一人が、口にした疑問に君塚は答えた。
 「なあ、どうして俺たちなんだ?」
 「蟲毒は毒や恨みなどの負のエネルギーを、互いに食わせることによって増幅させ、吸収させ、ひとつに集めることで完成される。
 ならば、人間でも同じく強い毒性を持つ者がいいだろう。だから君達を選んだんだ」
 「どういうことよ!」
 「君たちの共通点はな、犯罪者であることだ。万引きした者、カンニングした者、嘘ばかりついている者、親を欺いた者、親友を裏切った者、喧嘩で相手に重傷を負わせた者、恋人を死に追い込んだ者・・・」
 君塚はそう言うと、マイクを切った。


 君塚は6人の監視を行うため、地下室の上の教室に機材を持ち込んでいた。機材の一式は教卓の影にうまく隠し、配線も巧みに瓦礫になじませたので、深夜の見張りが懐中電灯でひと撫でしたくらいじゃ見つからない。
 マイクを切ったあとも、彼は興味深くモニターを見守っていた。


 最初の動揺から立ち直った6人は、必死に励まし合いながら、状況を打開する方法について話し合っていた。
 彼らの荷物は、君塚が引き入れる際にうまいことを言って、上の教室に置き去りにされていた。
 今彼らの手元に役に立ちそうな道具は何もないが、それでも彼らは諦めず、ドアに体当たりし、壁を叩き、空気取りの穴から大声で助けを求めていた。
 しかし、地下室のドアは分厚く、コンクリートの壁は厚く、彼を外界から完全に隔離している。空気取りの通路からも、外部に声は届かない。


 やがて自分たちの無力さを悟った6人は、観点を切替て、ここでの過ごし方についての検討を始めた。
 まず彼らは水を6等分して各自に配った。
 それから部屋を8等分にして、その中の6区画は各人のための空間、ひとつはトイレ、残ったひとつは武器庫兼、細田の死体置き場に割り当てた。
 部屋といって、仕切りなどはない。包丁で床に境界線を刻んだだけの、子供の陣地ごっこみたいなものだ。
 それぞれの部屋に収まった各人は、もう語る言葉もなくして膝を抱えた。
 長い沈黙の果てに、ぽつんとだ誰かが呟いた。
 「それにしても、なんで水なんて置いてあったんだろうね。
 だってさ、僕たちに殺し合ってほしいんなら、命を永らえさせるような道具は必要ないだろうに」
 何人かも黙ったまま俯いた。そう、中途半端に残された希望は、いさかいの種になるということに気づいてしまったのだ。
 もし、水を手に入れて3日生き延びることができるならば、4日目以降も生き残りたいを願う気持ちが強まるだろう。例え、他人を押しのけても・・・


 君塚は何も起きないので飽きてしまった。
 そして、監視をビデオ録画に任せて、旧校舎を抜け出して帰宅した。
 さらに方々に電話を掛け、今日閉じ込めた面々が帰宅しない理由をでっち上げることも忘れなかった。
 君塚は閉じ込めた連中の部活の先輩や担任の教師に成りすまして、「部活動で数日泊まり込む」「友達の家に厄介になる」とか、適当な理由を並べ立てた。


 次の日、朝になると君塚は急いで旧校舎に向かった。
 そして、旧校舎に着くと、教室で急いでモニターに見入った。そこには驚くべき光景が映し出されていた。
 閉じ込められた6人は、車座になって談笑していたのだ。
 だが、見ていくうちに君塚は次第に笑みを浮かべ始めた。談笑している彼らの様子は、演技をしているかのようにどこか不自然なのだ。
 「作り笑いか」
 君塚はモニターの前で頬杖をつきながら、成り行きを見守ることにした。
 皆、衣服も髪を乱れだして、目の下には青黒い隈がが絶望の影のように貼りついていた。
 室内の様子で変わったところといえば、武器を入れてあったダンボールが昨日トイレと決められた部屋の隅に移動させられたことぐらい。
 ダンボールの中に入っていた武器は、室内を8等分したうちのひとつ、死体置き場に放り出されていた。
 そう、あのダンボールに用を足すことにしたようだ。
 君塚はしばらく室内の茶番劇を見つめていたが、やがて立ち上がり、どこからか持ち出してきたラジカセをマイクの前にセットした。
 そこから流れ出たのは、当時人気のアイドルが歌うポップスで、スピーカーの音量を上げて、ガンガンに流した。
 6人は突然鳴り響いたアイドルソングを無視しようと努めたが、やがて限界に達した。
 それまで楽しげに笑い話をしていた一人の女の子は、耳を押さえて絶叫し始めた。
 それをきっかけに、他の奴を叫び始め、室内は狂乱に支配された。


 さらに君塚がモニターに注目してみると、一人の生徒の様子がおかしくなった。ある男子生徒が手足を投げだし、床の上で痙攣している。
 みんなが駆け寄って介抱すると、彼は苦しい息の下、必死に「自分のズボンのポットにある薬を飲ませてくれ」と訴えた。
 近くの女子生徒が、その男子生徒のポケットに手を入れた。
 「ないわ、そんなもの!」
 彼はまじまじと女子生徒の顔を見つめ、震える手を自分の左胸にあてがった。やがて、全身が弓なりになり、強張っていき、最後にガクリと力が抜けた。
 彼が息を引き取るまで、意外と時間がかかった。
 そうして、残りは5人になった。
 君塚はここで家に帰った。


 翌朝、旧校舎のモニターを覗くと、なんと2人もの死者が出ていた。
 男子生徒と女子生徒が一人ずつ。ふたつの死骸は、おそらく死亡時の状態のまま転がっていた。
 男子生徒は胸に刺さった包丁を抜きかけて息絶えたらしく、柄に手を絡ませ、苦悶の形相で空を睨んでいた。
 女子生徒もまた、だらしなく開いた口の端に泡を吹き、裏返った白目を血走らせて硬直していた。彼女のそばには飲みかけのペットボトルが倒れて水が零れていた。おそらく中毒死だ。
 残された3人は、男子生徒2人と女生徒1人。その空気には、昨日までは伺えなかった猜疑が満ちていて君塚を喜ばせた。
 「ねえ、どっちが殺したの」と女子生徒が問うと、
 「知らねぇよ。お前の悲鳴で目が覚めたら、こんなことになってたんだよ」
 「僕も同じです」
 そのあとには重苦しい沈黙が満ちた。


 「カタつけようぜ、もう」
 一人の男子生徒は立ち上がり、いつ飛び掛かってきてもおかしくないほど危険な雰囲気を放っていた。
 「二人は死んで、一人は自由だ。それが誰かを決めればいいだけだろ。さっさと解決しようぜ」
 男子生徒がポケットに突っ込んだ手を抜くと、いつの間に武器庫から調達してきたのか、ナックルが嵌められていた。
 「体格差とかあるからさ、ハンデはくれてやるぜ。
 刃物とかわんさかあったよなあ。お前ら好きなの選べよ」
 女子生徒はこの申し出に頷いたが、もう一人の男子生徒は「嫌です」と言った。
 「おめえ、なんて言った?」
 「僕にとって一番不愉快なのは、閉じ込めたヤツの思惑通りに、蟲毒が成されてしまうことです。ですから、殺し合いは断ります」
 「正気か、お前?」
 「あなたは悔しくないんですか?僕らをこんな目に遭わせたあいつの望む通りに行動して」
 なんて穏やかに言い張って、へらへら笑っていた。
 ナックル男はゾッとしたように拳を引っ込め、呟いた。
 「コイツ、狂ってやがる・・・」
 狂いはじめた男は、まだブツブツ呟いていた。
 「僕の感情は僕のものですよ。誰かにくわせるなんて、まっぴら、ごめんです」
 その時、事態を静観していた女子生徒が突然、きゃっと短い悲鳴を上げた。
 彼女の視線の先にあったのは、死体置き場に重ねられた二つの死体だった。いつの間にか現れたのか、死体に取り憑いて腐肉をかじっている数匹の鼠を見つけ、おののいていた。ナックル男は、狂人を解放し、死体に群がるネズミを追い払い始めた。
 何事もなかったかのように、口をつぐんで膝を抱える狂人。
 かじられた死体を見ないようにして、へたりこむ女子生徒。
 そして今日生じた2体の死体を死体置き場に片付け始めるナックル男。
 一通りのことが終わると、密室にはまた、長い停滞が待っていた。

 君塚はこの日は、旧校舎に泊まり込むことにした。
 一度家に帰り、母親が作ったハンバーグを食べ、夜食用に持たせてくれたサンドイッチを持参して、彼は夜の旧校舎に戻って来た。
 深夜の2時を回った頃、女子生徒の悲鳴が聞こえて、君塚は眠りから覚めた。
 急いで画面を見ると、狂人が倒れていて、他の2人が取りすがっていた。体を揺さぶっても反応がない。
 そのうち、女子生徒が、狂人の死体の傍らに転がるペットボトルを手に取った。
 「また毒で死んだってのか」
 「そうね、自殺だったみたい。ほら、見て」
 女子生徒はペットボトルにカッターで刻まれた狂人の遺書らしきものを見つけ、読み上げた。
 「ぼくはにんげんでいたい
 心をくわれることほどおそろしいことはない」
 狂人の死体を片付けた後、二人は部屋の対角に座り込み、ぼんやりと視線をさ迷わせていた。
 結局、これまで人が殺される決定的な瞬間を見逃し続けた君塚は、ここでどうしても生の殺し合いを目撃したかった。
 残った二人の体力も限界だろう。放っておくと、殺し合いをする前に衰弱死する可能性も出てくる。
 あれこれと頭を悩ませた挙句、彼はシンプルな解決方法を見つけた。
 君塚は、スピーカーのスイッチを入れ、彼らに話しかけた。
 「今、空気穴の出口を塞いだ。空気が切れる前に決着を付けろよ」
 ナックル男がふらつく足で面倒くさそうに立ち上がった。
 「なあ、どうする?」
 女子生徒は無言のまま、なんとか立ち上がり、おぼつかない足取りで足元に落ちていたカッターナイフを拾った。
 突然モニターの光が消えて、真っ暗で何も見えない。
 君塚は動転し、電源や配線を確認した。調べている最中も、ヘッドフォンからは悲鳴は物音が聞こえてきて、事態を把握できずにおいてゆかれることに焦った。
 混乱に震えながら歩き回るうちに閃いた。地下室の唯一の光源、裸電球が切れたんだろう。
 君塚は音を頼りに室内を探ろうと、ヘッドフォンを強く耳に押し付けた。
 ついさっきまで争う物音が聞こえて来た室内は静かだったが、かすかに呼吸音が聞こえる。
 君塚は、ついに蟲毒が完成したのだ、と確信した。
 すぐさま地下室に向かおう、として踏みとどまった。君塚はふと、今まで録画していたビデオの存在を思い出したのだ。


 さて、君塚はどうしたと思う?
  1. ビデオを確認した
  2. すぐに地下室に向かった
 君塚は、はやる心を抑えて、ビデオを見返してみることにした。
 真っ暗なモニターの入力端子にビデオを繋ぎ、該当するテープをセットし、大体の見当をつけて巻き戻した。
 再生すると、殺された2人がまだ生きている時間帯だったので、そのまま様子を見ながら早送りすることにした。
 映像をぼーっと見守っていた君塚は、ふとあることに気がついて首を傾げた。画面のあちこちに、時折赤いものが映りこんでいた。
 劣化した映像に黒いゴミのような模様が現れるように、チラチラと半透明の赤い斑紋が生まれては消えている。アメーバみたいだ、と思いながら、君塚はいったん早送りを止めた。
 通常再生して確かめてみたが、特に不審なところはない。画質は荒いが色合いに乱れもなく、ちゃんと録画できている。
 改めて早送りすると、また赤い模様が画面のいたるところで点滅したが、もう気にしないことにした。
 地下室の時間が早送りで流れていく。
 おそらくこのあと、誰が起き上がって男子生徒を包丁で刺し殺したんだろうな、と君塚は手に汗を握って身を乗り出した。
 変化が起きたのはその直後だった。映像に映りこんでいた赤い斑点が徐々に大きくなり、点滅の間隔も狭まって、次第に輪郭が際立ってきた。
 赤い塊は、早回しの画面の中を猛スピードで浮遊していたこと思うと、ぴたりと停止した。ある男子生徒の寝姿の上だ。
 その男子生徒は、後に刺殺体で見つかった少年だった。
 良く目をこらすと、赤い塊は赤い防災頭巾をかぶり、全体的に赤く汚れ、向こうの景色をすかした幼い女の子の姿をしていた。
 顔を見ると、目玉は抉られたようにぽっかりと消え、その骸骨を思わせる眼窩の暗い闇からは、血の色の涙が伝い落ちていた。
 そんな無惨な姿をしているのに、口元が楽しげな笑いの形に歪んでいるせいで、おぞましさが感じられた。そして、その小さな手には包丁が握られていた。
 「見ィツケタ」
 君塚は不審に思った。早送り中は音声が再生されないはずなのに、あたかも倍速で再生されているような甲高い不自然な声が、君塚のヘッドフォンに響き渡ったからだ。
 直立した女の子の全身が傾き、包丁を構えながら大姿勢との胸めがけて落ちて行った。男子生徒もビクっとすばやく跳ねたきり、動かなくなった。
 包丁を突き立てた女の子の姿はすうっと薄れ、というよりもバラバラと散らばって、また画面中にちらつく赤い光が現れた。
 さらに早送り画面見ていると、次にその赤い塊が現れたのは、毒死した女子生徒の背後だった。
 「見ィツケタ」
 女子生徒の隣に寄りそうに自分も身を横たえた女の子は、短い両手を懸命に伸ばし、彼女の鼻と口をふさいだ。
 女子生徒はもどかしげに顔をかきむしるが、女の子の半透明のてのひらを突き抜けて、自分の皮膚を撫でる羽目になってしまう。
 やがて女子生徒が白目を剥き、弱弱しい痙攣を繰り返すようになっても、女の子は最後まで息を塞ぎ続けた。
 君塚は茫然としていたが、やがて我に返ると早送りを停めた。
 画面が停止した瞬間に現れていた赤い光は、止まっていた時間の中では存在できないのか、すっと消えてなくなった。
 君塚は今しがた見たことが信じられず、同じ場面を通常再生した。すると今度は何も現れない。巻き戻してから通常再生に映ると、それまでちらついていた赤い光が綺麗に消えてしまう。
 寝ている男子生徒の胸に突然空中から包丁が降ってきて、絶命したように見える。女子生徒は突然呼吸困難に襲われ、もがき苦しんで死んだように見える。
 しかし、早送り再生すると再び赤い防災頭巾の女の子が出現し、同じ悲劇が再現されるのだ。
 朝比奈は、さらに時間をさかのぼり、一人目と二人目の死に際についても確認してみることにした。
 彼らの死が記録されている辺りのテープをセットし、早送りで再生したところ、やはり赤い光はちらついていた。
 ピッキングしようとして感電し、階段を転がり落ちた男子生徒の足を、あの女の子が引っ張っていた。
 持病の発作に苦しむ男子生徒の左胸の上で、女の子が楽しげに跳ねていた。
 こうなると、5人目の自殺をしたと思われていた狂人についても、調べなくてはならない。
 最も新しいテープに入れ替えると、やはりこれにも赤い光が映りこんでいた。毒入りのビンを手にぼんやりと考え込んでいる狂人の周囲に、万華鏡のような波紋が、踊りながら近づいていく。
 狂人は震える手でペットボトルに毒を入れる。
「見ィツケタ」
 その瞬間から、狂人の体は怪しい力で操られ始めた。
 ペットボトルの蓋を開け、傾けて、喉に流し込む。動作を行う手は細かく痙攣し、何かの力と本人の意志が戦っているような印象だった。
 狂人の手から零れ落ちたペットボトルには、いつのまにか、あの遺書と思わしき文字が刻まれていた。
 君塚は、不意に昔、耳にした話を思い出した。
 (そういえば、旧校舎の地下は昔防空壕だったっていう噂を聞いたことがあるぞ。空襲爆弾が直撃して、たくさんの一般人が生き埋めになった、とか・・・
 そうだ、死者の中には小さな女の子もいただろう。周囲の人間が、泣き止まない女のをなだめるために、かくれんぼして遊んであげたりなんかして・・・
 ま、とりあえず帰るか。どうせあとの2人も殺されちまってんだろうし)
 蟲毒は失敗したが、怨霊が相手なのだから仕方がない。
 そして、これ以上関わっては、自分にも塁が及ぶかもしれない。何よりも自分の身がかわいい彼は、潔く諦めることにした。
 早送りにしていたテープは、すでに停電の時間帯まで行きついていて、画面には延々と暗闇が
表示されていた。
 君塚は停止ボタンを押したが、止まらない。何度押しても反応はなく、黒一色に表示された画像は、相変わらず倍速のペースで送られている。
 一時停止や巻き戻しも試したが、反応がない。
 もう逃げたほうがいい、とわかってはいたが、どうぜならこのテープを回収したい、録画時間いっぱいまで早送りすれば自動で止まるはずだから、回収できる。なんて欲望が頭を持ち上げてきてしまい、なかなか足が動かない。
 そのうち、画面の闇に変化が起こり始めた。黒い画面の周囲から、赤いものがせり出してくる。
 「うわああああ!」
  映りこんでいる物体の正体を理解して、君塚は悲鳴を上げた。
 モニターいっぱいに映し出されたのは、にやにやと笑う女の子のアップだった。
 要するに、黒い円は女の子の眼窩、他の赤い部分は彼女の肌だった。
 ぽっかりと空いた目の窪みにカメラの先端を突っ込み、向こう側から覗いていたんだ。
 「見ィツケタ」
 「ひいい!」
 朝比奈はヘッドフォンを引きちぎるように外すと、こわばる足を無理やり動かして、必死にモニターの前から遠ざかった。
 とにかく今は、この場から離れなければ命に係わる。一刻も早く旧校舎を出るんだ。
 そんなことを考えながら、外に出るドアを無事に抜けた瞬間、安堵が体を突き抜けて、思わず硬い地面に座り込んだ。だが、後ろで鉄の扉が閉まり、ガチャンと鍵のかかる音がした。
 大きく息を吸い込んだ喉に悪臭がむせ返った。
 「どういうことだ・・・」
 右を見ても、左を見ても、暗闇ばかりで何もない。
 手を伸ばすと、すぐに壁らしきものに当たった。コンクリートだ。
 しばらく周囲を探ると、どうやら背にしているのは施錠した鉄扉、そこから下る狭い階段の途中にいるようだった。
 (ここは、あの地下室じゃないか!)
 「アナタガ、ツギノ鬼ダヨ」
 君塚の耳元で不意にあの声が響いた。
 こうして君塚は、光源にない地下室で、勝ち目のないかくれんぼをする羽目になった。
 部屋の中には新しい死体も腐った死体もある。血も流れているし、排せつ物も溜め込まれている。ペットボトルはあちこちに落ちているが、そのうちの何本は毒入りだろう。
 すべて君塚自身が作り出したものだ。暗闇の中で何かに出会ってもい、毒入りの水や人間の死体を喰らう羽目になっても、それはすべて自業自得というものなんだろう。


 「君塚がその後どうなったかは知らない。
 なんで俺が、この話を知っているかというと、8人の生徒が行方不明になった事件から数年後、新聞部の先輩が旧校舎を調べて、偶然君塚のビデオテープを入手したからなんだ。
 一度再生しただけで、これは関わってはならないものだと判断した先輩は、どこにも公表することなく、テープをお清めに出したらしい。
 だから、坂上。お前も上級生になった暁には、後輩にこの話をしっかり伝えていくんだぞ。
 そうそう、テープを発見した先輩は、あまりにも恐ろしくて地下室の調査はしていないらしい。
 新聞部員として意気地がないと思わないか?お前なら、事実を究明してみたいと思うんじゃないか?
 なんなら今から行ってみたっていいんだぞ。俺とお前ら7人でな」
 日野がそういうと、坂上以外のメンバーたちは乗り気になる。
 結局、日野に押し切られる形で、旧校舎の地下室を調査する羽目になってしまった。


 「あれ、ここだったと思ったのに。塞がれているな」
 日野が一部だけ変色した壁の前に立ち、茫然と呟いた。
 一行はそれぞれの感想を漏らしながら、旧校舎の出口に向かった。
 「ねえ、電話番号を交換しない?同じ1年だし、仲良くしようよ」
 福沢に甘い声で誘われた坂上が、和気藹々と旧校舎から外に出るドアをくぐった瞬間、辺りは闇に包まれた。
 そして、近くで鉄の扉が閉まる音がして、ガチャリと施錠に似た重い音も・・・
 坂上はでたらめに手を伸ばすと、コツと行き当ったのはコンクリートらしき壁だ。
 皆の叫び声が聞こえてきたが、また一人、また一人声が聞こえなくなっていった。
 その現実を認めないとする一行を嘲笑うかのように響き渡ったのは
 「見ィツケタ。クスクス、キャハハハハ」
 それは、神経を逆なでするような、甲高い女の子の声だった。
 
 
 日野7話目エンディング№30:かくれんぼ
 CGギャラリー:49/124
 80:見ィツケタ・・・
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岩下エンディング№24:獣人少女


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る


 5人目は、岩下玲子を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです→シナリオ:ポプリ
 「そう、あなたは秘密主義者なのね。
 人は誰でも心の中に影を持っているわ。人には知られたくない秘密、人には触れられたくない過去、そして自分でも忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。もしかして、私がそんなあなたの傷を抉ってしまったかしら。
 心に黒を飼っているあなたは、被害者?それとも、加害者?」


 シナリオ:赤と黒の法悦


 「ところであなたは本をよく読むのかしら?
 本はいいわ。読む者をいろんな世界へ連れていってくれるから。現実の世界だけではなく、空想上の世界でも、本さえあれば自由に旅することができるのよ。もちろん、それには豊かな想像力も不可欠だけどね。
 坂上君、あなた、自分の想像力には自信があるかしら?」
  1. ある
  2. ない
  3. わからない
 「そう、あるの。坂上君って見かけによらず自信家なのね。
 想像力に自信があるのだったら、これから私が話すことも、臨場感あふれる記事にできるはずだわ。せっかく私が時間を割いて語る話ですもの。つまらない記事にしたら、一生後悔するはめになるわよ。うふふふふ」


 それは真っ黒な本で、題名もなければ、出版社の記載も、値段も書いていない。
 その本は、本が書き手を選ぶのだ。
 本は常に自分を完結させてくれる書き手を探しており、書き手となりそうな人を見つけると、どこからともなく、突然その人の前に姿を現す。気が付くと、本棚の中に紛れていたり、偶然立ち寄った書店の棚や学校の図書館に並んでいたりするのだ。
 もし、本を見つけたら、その人はその後の人生が変わるのだ。
 噂では、その黒い本の内容を完結させることができたら、大金持ちになれると言われている。
 完結させると本はどこかへともなく消えてしまうが、その内容は書いた人の頭の中の鮮明に残っており、その内容でもう一度本を書くと、必ずベストセラーになるのだ
 この黒い本は、特殊なインクで書かれており、続きを書くのもそのインクが必要で、それ以外では続きが書けない。
 そして、そのインクは、生き物の血だった。血は空気に触れるとすぐに乾燥してしまって書けなくなるので、作品を完成させるまで途切れることなく、新しい血を用意し続けないといけないのだ。


 岩下のクラスにとても本の好きな女の子がいた。
 名前は相田瑞穂といい、眼鏡をかけてて、いつも自分の席で静かに本を読んでいた。
 ロングヘアのおとなしい少女だったが、暗いわけではなく、受け答えが天然だったのでみんなから好かれていた。
 スタイルが良く、眼鏡をはずすと意外にかわいいと男子にもひそかに人気があった。


 ある日の放課後、相田が意味ありげな笑みを浮かべながら、岩下に話しかけてきた。
 「岩下さん、黒と赤という本のこと知ってる?」
 「スタンダールの?」
 「ううん、それは赤と黒でしょ?」
 岩下はムッとした。相田が言い間違えたのかと思ったから。
 岩下が顔をしかめたのを見て、相田はあわてて弁解した。
 「ごめんね。スタンダールの本のことじゃなくて、違う本のことで相談したことがあるの」
 「相談ですって?」
 「ええ、岩下さんなら、良い回答を貰えると思って」
 「いいわ、続けて頂戴」
 「2週間ほど前のことなの。学校の図書室に見たことのない真っ黒な本が並んでいるのを見たの。私は何だろうと思って手にとってみたの。分厚くて、とても重たい本だった。
 それに、すごく変なにおいがした。何かが腐ったような、懐かしい気もする、今までも嗅いだことのないにおいだった。
 開いてみると、黒い紙の上に見慣れない赤茶色のインクで文字が書かれていたわ。
 手掛かりになればいいと思って、思い切ってその本を読んでみたの。手掛かりはわからなかったけど、私、その本に取りつかれてしまったの。だって、すごく面白かったし。
 私、その本がすごく面白いものだから、つい黙って持ち帰ってしまってね」
 「面白いって、どんな内容なの?」
 「それはちょっと・・・
 話したら、岩下さんも読んでしまいたくなるでしょ」
 肝心なことを話さない間にイライラしながら、岩下は「内容はいいわ。話を続けて」と言った。
 「岩下さん、悪魔って信じる?」


 「坂上君、あなたは悪魔の存在を信じるかしら?」
  1. 信じる
  2. 信じない
 「悪魔はね、いるのよ。
 あなた、今笑ったわね?私、馬鹿にされるのが嫌いだって、まだわからないのかしら?」


 岩下は悪魔の存在を信じているけど、それを相田には言わずに「悪魔?」と、いぶかしげに問い返した。
 「その黒い本から悪魔が出てきたの」
 「で、その悪魔はどうしたの?」
 「私、黒い本をいつも寝る前に少しずつ読んでいたの。ページ数を決めて、決まったページ以上は読まないようにしていたの。
 そうしないと、あっという間に読み終えていそうなくらい面白いんだもの。
 そんなある日、物音で目を覚ましたの。それは人の笑い声だった。
 弟かもしれないと思い部屋のドアを勢いよく開けたが、誰もいなかったの。
 私、怖くなって、布団にもぐりこんで震えていたんだけど、そのうちに眠ってしまったみたいで、気が付くと朝になっていたの」
 「それで?」
 「次の日も、笑い声がしたの。今度は枕元でね。思わず、目を開けて見てしまったの。
 すると、黒い影みたいのがそこに立っていたの。その影は黒い本を持って、こう言ったの。
 『もうすぐ読み終わってしまうな』
 私、恥ずかしいけど、そのまま気を失ってしまって・・・
 次の日起きて、すぐ本を調べたら、怪しい影の言う通り、もう少しで話が終わってしまうところだったの。
 巻末までには、まだ厚みがあったから、まだ先は長いと思っていたんだけど、その本にはお話が途中までしか書かれていなかったのよ。
 その晩、私はついに本を読み終えてしまったの。寝ようと思ったら、男の顔が浮かんでいて、続きを書け、と私に言ったの。
 私、怖いからそのままにしておいた。でも影はどこにでも現れて、続きを書け、って私に迫るの。ほかの人には見えないみたいで、私にしか見えないみたい」
 「今もこの教室にいるの?」
 「ううん、今はいない。
 それで、私、続きを書こうとしてみた。お話の続きは頭の中に浮かんできたのよ。だからスラスラ書けると思っていた。そうしたら、突然、黒い影が出てきて、『血で書け』って言ったのよ。
 血なんて書けないよ?どうしたらいいの?
 ・・・岩下さんごめんね。岩下さんだって、どうしたらいいかわからないよね。私、自分で何とかしてみるね」
 「血を用意しないと続きが書けないんでしょ?自分の体なんて、そんなに簡単に切れるものじゃないわよ?」
 「うん、そうだね。
 話したら少し楽になったわ。ありがとう、岩下さん」
 そう言うと、相田は自分の席に戻り帰り支度を始めたので、岩下も帰ることにした。


 次の日、学校に来た相田の顔色が良くなかった。どうも手首に包帯を巻いているようだった。
 日に日に彼女の顔色が悪くなっていった。体中切り刻んで、傷だらけだったみたいだ。制服の下は、きっと包帯やら絆創膏でいっぱいだったのだろう。
 そのうち、見えている部分にまで包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られていくようになった。


 ある時、岩下の方から、相田に、どうして逃げることを考えないのか?と切り出してみた。
 「どうして、そんなことを聞くの?
 もしかして『黒と赤の魔導書』の秘密を知って、私から奪おうとしているの?」
 「『黒と赤の魔導書』?そんなものは知らないわ」
 「いいわ、仮に岩下さんが奪おうとしていたって、その時はその時で好都合かもね」
 そして、相田は、黒と赤の秘密について話し始めた。
 「図書館に置いてあった本は、『黒と赤の魔導書』という本で、誰かの前に現れるとき、それは必ず未完の形をしていて、手にした者は、それを完結させる権利が与えられるというわけ」
 「権利が与えられる?強制ではないというわけ?」
 「もちろん違うわ。これは与えられた権利なの。選ばれた人間だけが、得られる権利なのよ。
 放棄することもできるわ。もっとも、放棄するつもりなんてさらさらないけどね。
 それはとても簡単よ。どこか適当な本棚にこの『黒と赤の魔導書』を置いてきてしまえばいいのよ」
 「そんな簡単なことを・・・」
 「どうしてしなかったのかって?
 だって、この物語を完結させることができたなら、大金持ちになれるのよ!」
 「あなた、そんな話を信じたの?」
 「もちろん、私も最初は信じなかったわ。でも悪魔が私に見せてくれたのよ。それを書いて大金持ちになった文豪の姿をね」
 「期限はないの?」
 「ないわ。書けない人はどれほど待っても書けないし、書ける人は意外とサラサラと書いてしまうみたいね。
 書ける人は自分の血だけですぐに書いたというんだから、文豪の名も伊達じゃないわよね」


 「坂上君は、相田さんの話を信じられるかしら?」
  1. 信じられる→岩下エンディング№20:降魔伏霊岩下エンディング№21:魔導書の奴隷岩下エンディング№22:忍び寄る影
  2. 信じられない
 「そうね、普通は信じる方が馬鹿よね。
 でもね、これは紛れもない事実だったの」


 ある日、突然、相田が岩下に話しかけてきた。
 「ねえ、岩下さん。私、これから先どうやって血を調達したらいいのかな?このままじゃ、私、死んじゃう。本を完成させることなんてできない」
 「私に聞かれても困るわ」
 「そうよね、ごめん」
 彼女はトボトボと帰っていった。


 次の日を境に、彼女は日を追うごとに元気になり、体中にあった切り傷も治って、制服から見える部分にあった包帯もなくなった。
 そして、その頃から、学校付近でペットが行方不明になる事件が相次いだ。


 岩下が一人でいるときに相田がやってきて、嬉々として教えてくれた。
 「あれって、自分の血じゃなくても良かったみたい。それどころか人間の血ですらなくていいみたいよ。
 悪魔って意地悪ね。もっと早く教えてくれればいいのに。あははは」
 誰がペット誘拐犯であるか、語るまでもない。


 「ねえ、相田さんは、『黒と赤の魔導書』を完成させることができたと思う?」
  1. 思う→岩下エンディング№23:楽しきかな人生
  2. 思わない
 「そうね、結局彼女は悪魔の本を完成させることができなかった。というより、完成させることが不可能になったというのが正解ね」


 ある日を境に、ぱったりと相田は登校しなくなった。
 時期を同じくして、生徒たちの間である噂が立ち始めた。
 四足で徘徊する少女の話だ。
 夕暮れ時になると、奇声を上げながら裾の擦り切れたセーラー服を纏った女の子が現れるというものだ。
 その少女が、自分が殺した動物たちに取り憑かれた相田なのだろうか?
 そうだとしたら、もう本を完成させることができないだろう。


 岩下エンディング№24:獣人少女
 CGギャラリー:48/124
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岩下エンディング№23:楽しきかな人生


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る


 5人目は、岩下玲子を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです→シナリオ:ポプリ
 「そう、あなたは秘密主義者なのね。
 人は誰でも心の中に影を持っているわ。人には知られたくない秘密、人には触れられたくない過去、そして自分でも忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。もしかして、私がそんなあなたの傷を抉ってしまったかしら。
 心に黒を飼っているあなたは、被害者?それとも、加害者?」


 シナリオ:赤と黒の法悦


 「ところであなたは本をよく読むのかしら?
 本はいいわ。読む者をいろんな世界へ連れていってくれるから。現実の世界だけではなく、空想上の世界でも、本さえあれば自由に旅することができるのよ。もちろん、それには豊かな想像力も不可欠だけどね。
 坂上君、あなた、自分の想像力には自信があるかしら?」
  1. ある
  2. ない
  3. わからない
 「そう、あるの。坂上君って見かけによらず自信家なのね。
 想像力に自信があるのだったら、これから私が話すことも、臨場感あふれる記事にできるはずだわ。せっかく私が時間を割いて語る話ですもの。つまらない記事にしたら、一生後悔するはめになるわよ。うふふふふ」


 それは真っ黒な本で、題名もなければ、出版社の記載も、値段も書いていない。
 その本は、本が書き手を選ぶのだ。
 本は常に自分を完結させてくれる書き手を探しており、書き手となりそうな人を見つけると、どこからともなく、突然その人の前に姿を現す。気が付くと、本棚の中に紛れていたり、偶然立ち寄った書店の棚や学校の図書館に並んでいたりするのだ。
 もし、本を見つけたら、その人はその後の人生が変わるのだ。
 噂では、その黒い本の内容を完結させることができたら、大金持ちになれると言われている。
 完結させると本はどこかへともなく消えてしまうが、その内容は書いた人の頭の中の鮮明に残っており、その内容でもう一度本を書くと、必ずベストセラーになるのだ
 この黒い本は、特殊なインクで書かれており、続きを書くのもそのインクが必要で、それ以外では続きが書けない。
 そして、そのインクは、生き物の血だった。血は空気に触れるとすぐに乾燥してしまって書けなくなるので、作品を完成させるまで途切れることなく、新しい血を用意し続けないといけないのだ。


 岩下のクラスにとても本の好きな女の子がいた。
 名前は相田瑞穂といい、眼鏡をかけてて、いつも自分の席で静かに本を読んでいた。
 ロングヘアのおとなしい少女だったが、暗いわけではなく、受け答えが天然だったのでみんなから好かれていた。
 スタイルが良く、眼鏡をはずすと意外にかわいいと男子にもひそかに人気があった。


 ある日の放課後、相田が意味ありげな笑みを浮かべながら、岩下に話しかけてきた。
 「岩下さん、黒と赤という本のこと知ってる?」
 「スタンダールの?」
 「ううん、それは赤と黒でしょ?」
 岩下はムッとした。相田が言い間違えたのかと思ったから。
 岩下が顔をしかめたのを見て、相田はあわてて弁解した。
 「ごめんね。スタンダールの本のことじゃなくて、違う本のことで相談したことがあるの」
 「相談ですって?」
 「ええ、岩下さんなら、良い回答を貰えると思って」
 「いいわ、続けて頂戴」
 「2週間ほど前のことなの。学校の図書室に見たことのない真っ黒な本が並んでいるのを見たの。私は何だろうと思って手にとってみたの。分厚くて、とても重たい本だった。
 それに、すごく変なにおいがした。何かが腐ったような、懐かしい気もする、今までも嗅いだことのないにおいだった。
 開いてみると、黒い紙の上に見慣れない赤茶色のインクで文字が書かれていたわ。
 手掛かりになればいいと思って、思い切ってその本を読んでみたの。手掛かりはわからなかったけど、私、その本に取りつかれてしまったの。だって、すごく面白かったし。
 私、その本がすごく面白いものだから、つい黙って持ち帰ってしまってね」
 「面白いって、どんな内容なの?」
 「それはちょっと・・・
 話したら、岩下さんも読んでしまいたくなるでしょ」
 肝心なことを話さない間にイライラしながら、岩下は「内容はいいわ。話を続けて」と言った。
 「岩下さん、悪魔って信じる?」


 「坂上君、あなたは悪魔の存在を信じるかしら?」
  1. 信じる
  2. 信じない
 「悪魔はね、いるのよ。
 あなた、今笑ったわね?私、馬鹿にされるのが嫌いだって、まだわからないのかしら?」


 岩下は悪魔の存在を信じているけど、それを相田には言わずに「悪魔?」と、いぶかしげに問い返した。
 「その黒い本から悪魔が出てきたの」
 「で、その悪魔はどうしたの?」
 「私、黒い本をいつも寝る前に少しずつ読んでいたの。ページ数を決めて、決まったページ以上は読まないようにしていたの。
 そうしないと、あっという間に読み終えていそうなくらい面白いんだもの。
 そんなある日、物音で目を覚ましたの。それは人の笑い声だった。
 弟かもしれないと思い部屋のドアを勢いよく開けたが、誰もいなかったの。
 私、怖くなって、布団にもぐりこんで震えていたんだけど、そのうちに眠ってしまったみたいで、気が付くと朝になっていたの」
 「それで?」
 「次の日も、笑い声がしたの。今度は枕元でね。思わず、目を開けて見てしまったの。
 すると、黒い影みたいのがそこに立っていたの。その影は黒い本を持って、こう言ったの。
 『もうすぐ読み終わってしまうな』
 私、恥ずかしいけど、そのまま気を失ってしまって・・・
 次の日起きて、すぐ本を調べたら、怪しい影の言う通り、もう少しで話が終わってしまうところだったの。
 巻末までには、まだ厚みがあったから、まだ先は長いと思っていたんだけど、その本にはお話が途中までしか書かれていなかったのよ。
 その晩、私はついに本を読み終えてしまったの。寝ようと思ったら、男の顔が浮かんでいて、続きを書け、と私に言ったの。
 私、怖いからそのままにしておいた。でも影はどこにでも現れて、続きを書け、って私に迫るの。ほかの人には見えないみたいで、私にしか見えないみたい」
 「今もこの教室にいるの?」
 「ううん、今はいない。
 それで、私、続きを書こうとしてみた。お話の続きは頭の中に浮かんできたのよ。だからスラスラ書けると思っていた。そうしたら、突然、黒い影が出てきて、『血で書け』って言ったのよ。
 血なんて書けないよ?どうしたらいいの?
 ・・・岩下さんごめんね。岩下さんだって、どうしたらいいかわからないよね。私、自分で何とかしてみるね」
 「血を用意しないと続きが書けないんでしょ?自分の体なんて、そんなに簡単に切れるものじゃないわよ?」
 「うん、そうだね。
 話したら少し楽になったわ。ありがとう、岩下さん」
 そう言うと、相田は自分の席に戻り帰り支度を始めたので、岩下も帰ることにした。


 次の日、学校に来た相田の顔色が良くなかった。どうも手首に包帯を巻いているようだった。
 日に日に彼女の顔色が悪くなっていった。体中切り刻んで、傷だらけだったみたいだ。制服の下は、きっと包帯やら絆創膏でいっぱいだったのだろう。
 そのうち、見えている部分にまで包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られていくようになった。


 ある時、岩下の方から、相田に、どうして逃げることを考えないのか?と切り出してみた。
 「どうして、そんなことを聞くの?
 もしかして『黒と赤の魔導書』の秘密を知って、私から奪おうとしているの?」
 「『黒と赤の魔導書』?そんなものは知らないわ」
 「いいわ、仮に岩下さんが奪おうとしていたって、その時はその時で好都合かもね」
 そして、相田は、黒と赤の秘密について話し始めた。
 「図書館に置いてあった本は、『黒と赤の魔導書』という本で、誰かの前に現れるとき、それは必ず未完の形をしていて、手にした者は、それを完結させる権利が与えられるというわけ」
 「権利が与えられる?強制ではないというわけ?」
 「もちろん違うわ。これは与えられた権利なの。選ばれた人間だけが、得られる権利なのよ。
 放棄することもできるわ。もっとも、放棄するつもりなんてさらさらないけどね。
 それはとても簡単よ。どこか適当な本棚にこの『黒と赤の魔導書』を置いてきてしまえばいいのよ」
 「そんな簡単なことを・・・」
 「どうしてしなかったのかって?
 だって、この物語を完結させることができたなら、大金持ちになれるのよ!」
 「あなた、そんな話を信じたの?」
 「もちろん、私も最初は信じなかったわ。でも悪魔が私に見せてくれたのよ。それを書いて大金持ちになった文豪の姿をね」
 「期限はないの?」
 「ないわ。書けない人はどれほど待っても書けないし、書ける人は意外とサラサラと書いてしまうみたいね。
 書ける人は自分の血だけですぐに書いたというんだから、文豪の名も伊達じゃないわよね」


 「坂上君は、相田さんの話を信じられるかしら?」
  1. 信じられる→岩下エンディング№20:降魔伏霊岩下エンディング№21:魔導書の奴隷岩下エンディング№22:忍び寄る影
  2. 信じられない
 「そうね、普通は信じる方が馬鹿よね。
 でもね、これは紛れもない事実だったの」


 ある日、突然、相田が岩下に話しかけてきた。
 「ねえ、岩下さん。私、これから先どうやって血を調達したらいいのかな?このままじゃ、私、死んじゃう。本を完成させることなんてできない」
 「私に聞かれても困るわ」
 「そうよね、ごめん」
 彼女はトボトボと帰っていった。


 次の日を境に、彼女は日を追うごとに元気になり、体中にあった切り傷も治って、制服から見える部分にあった包帯もなくなった。
 そして、その頃から、学校付近でペットが行方不明になる事件が相次いだ。


 岩下が一人でいるときに相田がやってきて、嬉々として教えてくれた。
 「あれって、自分の血じゃなくても良かったみたい。それどころか人間の血ですらなくていいみたいよ。
 悪魔って意地悪ね。もっと早く教えてくれればいいのに。あははは」
 誰がペット誘拐犯であるか、語るまでもない。


 「ねえ、相田さんは、『黒と赤の魔導書』を完成させることができたと思う?」
  1. 思う
  2. 思わない
 「ええ、彼女は悪魔の本を書き上げたわ。無数の罪もない生き物たちの死体を積み上げてね。
 でも、実は私、本の完成を彼女の口から聞いたわけではないのよ。
 あれでも相田さんは、一生懸命、『小説が完成したよ!』って伝えようとしていたのかもしれない。
 というのものね、彼女はもう人の言葉を話せなくなっていたのよ」


 ある日、岩下が登校したら、教室の真ん中で四つん這いになってグルグル歩き回る相田の姿があった。
 その姿は、まるで大きな犬のようだった。
 大きな声を出しているが、それは犬そのものだった。
 そのうち誰かが先生を呼びに行き、相田は先生たちに取り押さえられて、教室の外に連れ出された。岩下が相田の姿を見たのは、それが最後だった。
 相田は、黒と赤の魔導書を完成させる前に、自分が殺した罪もない動物たちの怨念たちに捕らわれてしまったのだろう。


 「その後の彼女がどうなったって?さあ、知らないわ。
 私は相田さんが自分の欲望のままに行動し、それにふさわしい結末を迎えたのを、横で見ていただけなんですからね」


 岩下エンディング№23:楽しきかな人生
 CGギャラリー:48/124
 №10:最高のホラー

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岩下エンディング№22:忍び寄る影


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る


 5人目は、岩下玲子を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです→シナリオ:ポプリ
 「そう、あなたは秘密主義者なのね。
 人は誰でも心の中に影を持っているわ。人には知られたくない秘密、人には触れられたくない過去、そして自分でも忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。もしかして、私がそんなあなたの傷を抉ってしまったかしら。
 心に黒を飼っているあなたは、被害者?それとも、加害者?」


 シナリオ:赤と黒の法悦


 「ところであなたは本をよく読むのかしら?
 本はいいわ。読む者をいろんな世界へ連れていってくれるから。現実の世界だけではなく、空想上の世界でも、本さえあれば自由に旅することができるのよ。もちろん、それには豊かな想像力も不可欠だけどね。
 坂上君、あなた、自分の想像力には自信があるかしら?」
  1. ある
  2. ない
  3. わからない
 「そう、あるの。坂上君って見かけによらず自信家なのね。
 想像力に自信があるのだったら、これから私が話すことも、臨場感あふれる記事にできるはずだわ。せっかく私が時間を割いて語る話ですもの。つまらない記事にしたら、一生後悔するはめになるわよ。うふふふふ」


 それは真っ黒な本で、題名もなければ、出版社の記載も、値段も書いていない。
 その本は、本が書き手を選ぶのだ。
 本は常に自分を完結させてくれる書き手を探しており、書き手となりそうな人を見つけると、どこからともなく、突然その人の前に姿を現す。気が付くと、本棚の中に紛れていたり、偶然立ち寄った書店の棚や学校の図書館に並んでいたりするのだ。
 もし、本を見つけたら、その人はその後の人生が変わるのだ。
 噂では、その黒い本の内容を完結させることができたら、大金持ちになれると言われている。
 完結させると本はどこかへともなく消えてしまうが、その内容は書いた人の頭の中の鮮明に残っており、その内容でもう一度本を書くと、必ずベストセラーになるのだ
 この黒い本は、特殊なインクで書かれており、続きを書くのもそのインクが必要で、それ以外では続きが書けない。
 そして、そのインクは、生き物の血だった。血は空気に触れるとすぐに乾燥してしまって書けなくなるので、作品を完成させるまで途切れることなく、新しい血を用意し続けないといけないのだ。


 岩下のクラスにとても本の好きな女の子がいた。
 名前は相田瑞穂といい、眼鏡をかけてて、いつも自分の席で静かに本を読んでいた。
 ロングヘアのおとなしい少女だったが、暗いわけではなく、受け答えが天然だったのでみんなから好かれていた。
 スタイルが良く、眼鏡をはずすと意外にかわいいと男子にもひそかに人気があった。


 ある日の放課後、相田が意味ありげな笑みを浮かべながら、岩下に話しかけてきた。
 「岩下さん、黒と赤という本のこと知ってる?」
 「スタンダールの?」
 「ううん、それは赤と黒でしょ?」
 岩下はムッとした。相田が言い間違えたのかと思ったから。
 岩下が顔をしかめたのを見て、相田はあわてて弁解した。
 「ごめんね。スタンダールの本のことじゃなくて、違う本のことで相談したことがあるの」
 「相談ですって?」
 「ええ、岩下さんなら、良い回答を貰えると思って」
 「いいわ、続けて頂戴」
 「2週間ほど前のことなの。学校の図書室に見たことのない真っ黒な本が並んでいるのを見たの。私は何だろうと思って手にとってみたの。分厚くて、とても重たい本だった。
 それに、すごく変なにおいがした。何かが腐ったような、懐かしい気もする、今までも嗅いだことのないにおいだった。
 開いてみると、黒い紙の上に見慣れない赤茶色のインクで文字が書かれていたわ。
 手掛かりになればいいと思って、思い切ってその本を読んでみたの。手掛かりはわからなかったけど、私、その本に取りつかれてしまったの。だって、すごく面白かったし。
 私、その本がすごく面白いものだから、つい黙って持ち帰ってしまってね」
 「面白いって、どんな内容なの?」
 「それはちょっと・・・
 話したら、岩下さんも読んでしまいたくなるでしょ」
 肝心なことを話さない間にイライラしながら、岩下は「内容はいいわ。話を続けて」と言った。
 「岩下さん、悪魔って信じる?」


 「坂上君、あなたは悪魔の存在を信じるかしら?」
  1. 信じる
  2. 信じない
 「悪魔はね、いるのよ。
 あなた、今笑ったわね?私、馬鹿にされるのが嫌いだって、まだわからないのかしら?」


 岩下は悪魔の存在を信じているけど、それを相田には言わずに「悪魔?」と、いぶかしげに問い返した。
 「その黒い本から悪魔が出てきたの」
 「で、その悪魔はどうしたの?」
 「私、黒い本をいつも寝る前に少しずつ読んでいたの。ページ数を決めて、決まったページ以上は読まないようにしていたの。
 そうしないと、あっという間に読み終えていそうなくらい面白いんだもの。
 そんなある日、物音で目を覚ましたの。それは人の笑い声だった。
 弟かもしれないと思い部屋のドアを勢いよく開けたが、誰もいなかったの。
 私、怖くなって、布団にもぐりこんで震えていたんだけど、そのうちに眠ってしまったみたいで、気が付くと朝になっていたの」
 「それで?」
 「次の日も、笑い声がしたの。今度は枕元でね。思わず、目を開けて見てしまったの。
 すると、黒い影みたいのがそこに立っていたの。その影は黒い本を持って、こう言ったの。
 『もうすぐ読み終わってしまうな』
 私、恥ずかしいけど、そのまま気を失ってしまって・・・
 次の日起きて、すぐ本を調べたら、怪しい影の言う通り、もう少しで話が終わってしまうところだったの。
 巻末までには、まだ厚みがあったから、まだ先は長いと思っていたんだけど、その本にはお話が途中までしか書かれていなかったのよ。
 その晩、私はついに本を読み終えてしまったの。寝ようと思ったら、男の顔が浮かんでいて、続きを書け、と私に言ったの。
 私、怖いからそのままにしておいた。でも影はどこにでも現れて、続きを書け、って私に迫るの。ほかの人には見えないみたいで、私にしか見えないみたい」
 「今もこの教室にいるの?」
 「ううん、今はいない。
 それで、私、続きを書こうとしてみた。お話の続きは頭の中に浮かんできたのよ。だからスラスラ書けると思っていた。そうしたら、突然、黒い影が出てきて、『血で書け』って言ったのよ。
 血なんて書けないよ?どうしたらいいの?
 ・・・岩下さんごめんね。岩下さんだって、どうしたらいいかわからないよね。私、自分で何とかしてみるね」
 「血を用意しないと続きが書けないんでしょ?自分の体なんて、そんなに簡単に切れるものじゃないわよ?」
 「うん、そうだね。
 話したら少し楽になったわ。ありがとう、岩下さん」
 そう言うと、相田は自分の席に戻り帰り支度を始めたので、岩下も帰ることにした。


 次の日、学校に来た相田の顔色が良くなかった。どうも手首に包帯を巻いているようだった。
 日に日に彼女の顔色が悪くなっていった。体中切り刻んで、傷だらけだったみたいだ。制服の下は、きっと包帯やら絆創膏でいっぱいだったのだろう。
 そのうち、見えている部分にまで包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られていくようになった。


 ある時、岩下の方から、相田に、どうして逃げることを考えないのか?と切り出してみた。
 「どうして、そんなことを聞くの?
 もしかして『黒と赤の魔導書』の秘密を知って、私から奪おうとしているの?」
 「『黒と赤の魔導書』?そんなものは知らないわ」
 「いいわ、仮に岩下さんが奪おうとしていたって、その時はその時で好都合かもね」
 そして、相田は、黒と赤の秘密について話し始めた。
 「図書館に置いてあった本は、『黒と赤の魔導書』という本で、誰かの前に現れるとき、それは必ず未完の形をしていて、手にした者は、それを完結させる権利が与えられるというわけ」
 「権利が与えられる?強制ではないというわけ?」
 「もちろん違うわ。これは与えられた権利なの。選ばれた人間だけが、得られる権利なのよ。
 放棄することもできるわ。もっとも、放棄するつもりなんてさらさらないけどね。
 それはとても簡単よ。どこか適当な本棚にこの『黒と赤の魔導書』を置いてきてしまえばいいのよ」
 「そんな簡単なことを・・・」
 「どうしてしなかったのかって?
 だって、この物語を完結させることができたなら、大金持ちになれるのよ!」
 「あなた、そんな話を信じたの?」
 「もちろん、私も最初は信じなかったわ。でも悪魔が私に見せてくれたのよ。それを書いて大金持ちになった文豪の姿をね」
 「期限はないの?」
 「ないわ。書けない人はどれほど待っても書けないし、書ける人は意外とサラサラと書いてしまうみたいね。
 書ける人は自分の血だけですぐに書いたというんだから、文豪の名も伊達じゃないわよね」


 「坂上君は、相田さんの話を信じられるかしら?」
  1. 信じられる
  2. 信じられない
 「あら、そう。坂上君って素直なのね。
 相田さんは悪魔に身も心も魅入られてしまったのよ、うふふふ」


 「岩下さん、兄弟いる?」
 「ええ、いるわ」
 「私、弟がいるの!岩下さんは?」
 「私には弟がいるわ」
 「弟ってどう?仲いい?」
 「いいえ」
 「でしょう!時々、殺したくなったりしない?」
 「・・・そうね」
 岩下は弟が大好きだった。喧嘩もしないような姉と弟っているのかと思って、そう答えただけだった。
 「ああー、やぱりそうなるよね。
 私、あの時、岩下さんに相談してよかった。
 岩下さん、私たち親友ね!」
 そう言って、相田は帰っていった。


 今度は相田が元気になっていった。顔色も少しずつ良くなり、体中にあった無数の切り傷も治って、見える部分にあった包帯もなくなった。
 同じころ、相田の小学生の弟が行方不明になっていた。行方不明というだけだったので、ニュースにもなからなった。


 ある日、相田から岩下の家に電話があった。
 「岩下さん、夜遅くにごめんね」
 「いいのよ、何か相談事でも?」
 「岩下さんに随分良くしてもらったから、途中経過でも報告しておこうかなと思っただけ」
 「で、お話は進んでいるの?」
 「もう、バッチリ!
 この話を全部書き終わったら、まず岩下さんに読ませてあげるね」
 「あら、嬉しいわ。ありがとう。
 そういえば血の方は大丈夫なの?」
 「・・・岩下さんにだけは話してもいいかな?あのね、血というのは別に自分の物じゃなくても良かったの。生き物の血なら何でもいいみたいなんだよ」
 「あの影がそう言ったの?」
 「うん。私、自分を切って血を流すことに本当に疲れちゃって、『赤と黒の魔導書』を道連れにして死のうと思って、電車に飛び込もうとしたのよ。
 電車が来て、いざ飛び込もうとしたら、突然腕をグイっと掴まれたの。助けてくれた駅員さんは、やさしそうなおじさんだった。
 その駅員さんがニッコリと笑いながら私に言ったの。『弟がいるじゃないか』って。
 私、気づいたら自宅のベッドにいたわ」
 「夢だったの?」
 「ううん、夢じゃなかった。腕を掴まれた痕が残っていたの。その形は明らかに人間のものじゃなかった。
 そして、気づいたの。弟の血を使って書けばいいんだって。
 それでね、私、岩下さんに、弟って殺したくない?って聞いたこと覚えている?
 岩下さん言ったよね。弟なんていくら殺しても足りないくらいだって。
 私、さっそく家に帰って、弟を殴ってみたの。殴ったら鼻血をダラダラ出して、泣き喚いていたわ」
 「その時は、親はいなかったの?」
 「岩下さん、ひょっとして、私のこと馬鹿だと思ってるでしょ?親はもちろんいなかったわ。
 それでね、それでね、聞いて聞いて!
 弟の血で続きを書いたら、書けたわ!全然問題なかったのよ。
 だから、殺さないように加減して殴って気絶させて、あとはタンスの中で飼って、それで血を取り続けようと計画したわけ」
 「よくご両親にバレなかったわね?」
 「灯台下暗しっていうやつじゃない?まさか姉の部屋のタンスの中で半殺しで飼われているなんて思ってもみないじゃない?あははは。
 本当に岩下さんに相談してよかった。岩下さんは私の親友よ。
 じゃあ私、そろそろ続きを執筆しないといけないから、電話を切るわね」
 そう言って、相田は電話を切った。
 それからも、相田は時々岩下の家に電話してきた。
 しばらくして、相田の弟は死んだ。当然、そんな状態で長くもつはずはない。


 ある日の休憩時間、相田が教室に誰もいないのを見計らって、岩下に声をかけてきた。
 「弟、死んじゃった」
 岩下が黙っていると、すぐに相田は自分の席に戻っていった。
 その後、授業中に相田は悲鳴を上げると、早退した。


 その夜、相田から岩下に電話があった。
 「今日、私、悲鳴を上げたでしょ。あれね、ふと机の下を見たら、血まみれの弟が座っていたの。
 それから、弟が私から離れようとしないで、私の耳元で、『次は誰なんだよ?』って囁き続けてるの」
 岩下が黙っていると、電話口を離した相田の「誰?」という声が聞こえてきた。
 受話器の向こうからは、言い争う声が聞こえてきた。
 「ちょっと勝手に入ってこないでよ!」
 「お姉ちゃん、秀ちゃんがどうしたの?秀ちゃんがいるの?」
 どうやら、相手は相田の母親のようだ。
 「いないよ、入ってこないでよ!」
 「秀ちゃん、秀ちゃん!」
 「いないっていってんだろう、ババア!」
 その時『タンスの中だよ、ママ』という声がはっきりと聞こえた。
 バン!とタンスを開ける音がした。
 「うわああああ!」と相田の悲鳴のあと、ゴン、という鈍い音と荒い息遣いが聞こえてきた。
 その後もいろいろな音が聞こえてきたが、岩下は、相田が母親を殴ってタンスの中に隠している、と思った。
 「もしもし?」
 「もしもし」
 「ごめんね、電話、待たせちゃって。お母さんが部屋に入って来ちゃって参ったよ。なんか弟も告げ口みたいなことするし。勢いでお母さんまで殴っちゃった」
 「あなた、大丈夫?」
 「うん、もう大丈夫。すいぶん弟で練習したから、力加減が抜群だったみたい、たぶん、死なないと思うよ
 ガムテープでグルグル巻きにしてタンスの中に放り込んだから、これでまたしばらくはインクの心配をしないですむよ」
 そう言って、相田は電話を切った。


 それから相田は毎日、岩下に電話をかけてきたが、岩下はほとんで返事をせず、黙って聞いているだけだった。
 相田はそれも構わず勝手にペラペラを話していた。


 ある日の電話で、相田は、父親をどうやって誤魔化そうかと岩下に相談してきたが、岩下は黙っていた。
 ほどなくして、母親が死んだ、と相田が言ってきた。
 死んだあと、母親も幽霊になって出てきて、『次はお父さんを殺しなさいよ』と言ってきたので、相田はすぐに父親を殺してしまった。



 「本を完成させるために、自分の家族を全員殺してしまうなんて、愚かという以外に何も思い浮かばないわ。
 それで、『黒と赤の魔導書』は書きあがったのかって?
 それがね、まだだったのよ。
 彼女は、執筆をつづけたと思う?」
  1. 続けた→岩下エンディング№20:降魔伏霊
  2. 断念した→岩下エンディング№21:魔導書の奴隷
  3. 想像もつかない
 「あなた、自分の頭で考えることを完全に放棄してしまっているのではないかしら!貧困な想像力では学校新聞の記事すら、まともに書けるかどうかわからないわね。
 話が逸れてしまったわね。相田さんね、あれから学校に来なくなってしまったの。
 どうしているのかは、誰にもわからないわ。でもね、私の元には、今でもたまに電話はかかってくるんですけどね。
 それは掠れた声で『うちに来て、親友でしょ?』と、繰り返すばかり。それ以外はほとんど会話ができない状態よ。
 そうそう、最近暗くなると、下校途中の生徒を狙った通り魔が現れるそうね。
 人気のない道を一人で歩いていると、背後から何者かが近づいてきて、いきなり刃物で切りかかってくるそうよ。
 坂上君も、帰りが遅くなったときは背後に気をつけてね。うふふふふ」


 岩下エンディング№22:忍び寄る影
 CGギャラリー:47/124

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岩下エンディング№21:魔導書の奴隷


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る


 5人目は、岩下玲子を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです→シナリオ:ポプリ
 「そう、あなたは秘密主義者なのね。
 人は誰でも心の中に影を持っているわ。人には知られたくない秘密、人には触れられたくない過去、そして自分でも忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。もしかして、私がそんなあなたの傷を抉ってしまったかしら。
 心に黒を飼っているあなたは、被害者?それとも、加害者?」


 シナリオ:赤と黒の法悦


 「ところであなたは本をよく読むのかしら?
 本はいいわ。読む者をいろんな世界へ連れていってくれるから。現実の世界だけではなく、空想上の世界でも、本さえあれば自由に旅することができるのよ。もちろん、それには豊かな想像力も不可欠だけどね。
 坂上君、あなた、自分の想像力には自信があるかしら?」
  1. ある
  2. ない
  3. わからない
 「そう、あるの。坂上君って見かけによらず自信家なのね。
 想像力に自信があるのだったら、これから私が話すことも、臨場感あふれる記事にできるはずだわ。せっかく私が時間を割いて語る話ですもの。つまらない記事にしたら、一生後悔するはめになるわよ。うふふふふ」


 それは真っ黒な本で、題名もなければ、出版社の記載も、値段も書いていない。
 その本は、本が書き手を選ぶのだ。
 本は常に自分を完結させてくれる書き手を探しており、書き手となりそうな人を見つけると、どこからともなく、突然その人の前に姿を現す。気が付くと、本棚の中に紛れていたり、偶然立ち寄った書店の棚や学校の図書館に並んでいたりするのだ。
 もし、本を見つけたら、その人はその後の人生が変わるのだ。
 噂では、その黒い本の内容を完結させることができたら、大金持ちになれると言われている。
 完結させると本はどこかへともなく消えてしまうが、その内容は書いた人の頭の中の鮮明に残っており、その内容でもう一度本を書くと、必ずベストセラーになるのだ
 この黒い本は、特殊なインクで書かれており、続きを書くのもそのインクが必要で、それ以外では続きが書けない。
 そして、そのインクは、生き物の血だった。血は空気に触れるとすぐに乾燥してしまって書けなくなるので、作品を完成させるまで途切れることなく、新しい血を用意し続けないといけないのだ。


 岩下のクラスにとても本の好きな女の子がいた。
 名前は相田瑞穂といい、眼鏡をかけてて、いつも自分の席で静かに本を読んでいた。
 ロングヘアのおとなしい少女だったが、暗いわけではなく、受け答えが天然だったのでみんなから好かれていた。
 スタイルが良く、眼鏡をはずすと意外にかわいいと男子にもひそかに人気があった。


 ある日の放課後、相田が意味ありげな笑みを浮かべながら、岩下に話しかけてきた。
 「岩下さん、黒と赤という本のこと知ってる?」
 「スタンダールの?」
 「ううん、それは赤と黒でしょ?」
 岩下はムッとした。相田が言い間違えたのかと思ったから。
 岩下が顔をしかめたのを見て、相田はあわてて弁解した。
 「ごめんね。スタンダールの本のことじゃなくて、違う本のことで相談したことがあるの」
 「相談ですって?」
 「ええ、岩下さんなら、良い回答を貰えると思って」
 「いいわ、続けて頂戴」
 「2週間ほど前のことなの。学校の図書室に見たことのない真っ黒な本が並んでいるのを見たの。私は何だろうと思って手にとってみたの。分厚くて、とても重たい本だった。
 それに、すごく変なにおいがした。何かが腐ったような、懐かしい気もする、今までも嗅いだことのないにおいだった。
 開いてみると、黒い紙の上に見慣れない赤茶色のインクで文字が書かれていたわ。
 手掛かりになればいいと思って、思い切ってその本を読んでみたの。手掛かりはわからなかったけど、私、その本に取りつかれてしまったの。だって、すごく面白かったし。
 私、その本がすごく面白いものだから、つい黙って持ち帰ってしまってね」
 「面白いって、どんな内容なの?」
 「それはちょっと・・・
 話したら、岩下さんも読んでしまいたくなるでしょ」
 肝心なことを話さない間にイライラしながら、岩下は「内容はいいわ。話を続けて」と言った。
 「岩下さん、悪魔って信じる?」


 「坂上君、あなたは悪魔の存在を信じるかしら?」
  1. 信じる
  2. 信じない
 「悪魔はね、いるのよ。
 あなた、今笑ったわね?私、馬鹿にされるのが嫌いだって、まだわからないのかしら?」


 岩下は悪魔の存在を信じているけど、それを相田には言わずに「悪魔?」と、いぶかしげに問い返した。
 「その黒い本から悪魔が出てきたの」
 「で、その悪魔はどうしたの?」
 「私、黒い本をいつも寝る前に少しずつ読んでいたの。ページ数を決めて、決まったページ以上は読まないようにしていたの。
 そうしないと、あっという間に読み終えていそうなくらい面白いんだもの。
 そんなある日、物音で目を覚ましたの。それは人の笑い声だった。
 弟かもしれないと思い部屋のドアを勢いよく開けたが、誰もいなかったの。
 私、怖くなって、布団にもぐりこんで震えていたんだけど、そのうちに眠ってしまったみたいで、気が付くと朝になっていたの」
 「それで?」
 「次の日も、笑い声がしたの。今度は枕元でね。思わず、目を開けて見てしまったの。
 すると、黒い影みたいのがそこに立っていたの。その影は黒い本を持って、こう言ったの。
 『もうすぐ読み終わってしまうな』
 私、恥ずかしいけど、そのまま気を失ってしまって・・・
 次の日起きて、すぐ本を調べたら、怪しい影の言う通り、もう少しで話が終わってしまうところだったの。
 巻末までには、まだ厚みがあったから、まだ先は長いと思っていたんだけど、その本にはお話が途中までしか書かれていなかったのよ。
 その晩、私はついに本を読み終えてしまったの。寝ようと思ったら、男の顔が浮かんでいて、続きを書け、と私に言ったの。
 私、怖いからそのままにしておいた。でも影はどこにでも現れて、続きを書け、って私に迫るの。ほかの人には見えないみたいで、私にしか見えないみたい」
 「今もこの教室にいるの?」
 「ううん、今はいない。
 それで、私、続きを書こうとしてみた。お話の続きは頭の中に浮かんできたのよ。だからスラスラ書けると思っていた。そうしたら、突然、黒い影が出てきて、『血で書け』って言ったのよ。
 血なんて書けないよ?どうしたらいいの?
 ・・・岩下さんごめんね。岩下さんだって、どうしたらいいかわからないよね。私、自分で何とかしてみるね」
 「血を用意しないと続きが書けないんでしょ?自分の体なんて、そんなに簡単に切れるものじゃないわよ?」
 「うん、そうだね。
 話したら少し楽になったわ。ありがとう、岩下さん」
 そう言うと、相田は自分の席に戻り帰り支度を始めたので、岩下も帰ることにした。


 次の日、学校に来た相田の顔色が良くなかった。どうも手首に包帯を巻いているようだった。
 日に日に彼女の顔色が悪くなっていった。体中切り刻んで、傷だらけだったみたいだ。制服の下は、きっと包帯やら絆創膏でいっぱいだったのだろう。
 そのうち、見えている部分にまで包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られていくようになった。


 ある時、岩下の方から、相田に、どうして逃げることを考えないのか?と切り出してみた。
 「どうして、そんなことを聞くの?
 もしかして『黒と赤の魔導書』の秘密を知って、私から奪おうとしているの?」
 「『黒と赤の魔導書』?そんなものは知らないわ」
 「いいわ、仮に岩下さんが奪おうとしていたって、その時はその時で好都合かもね」
 そして、相田は、黒と赤の秘密について話し始めた。
 「図書館に置いてあった本は、『黒と赤の魔導書』という本で、誰かの前に現れるとき、それは必ず未完の形をしていて、手にした者は、それを完結させる権利が与えられるというわけ」
 「権利が与えられる?強制ではないというわけ?」
 「もちろん違うわ。これは与えられた権利なの。選ばれた人間だけが、得られる権利なのよ。
 放棄することもできるわ。もっとも、放棄するつもりなんてさらさらないけどね。
 それはとても簡単よ。どこか適当な本棚にこの『黒と赤の魔導書』を置いてきてしまえばいいのよ」
 「そんな簡単なことを・・・」
 「どうしてしなかったのかって?
 だって、この物語を完結させることができたなら、大金持ちになれるのよ!」
 「あなた、そんな話を信じたの?」
 「もちろん、私も最初は信じなかったわ。でも悪魔が私に見せてくれたのよ。それを書いて大金持ちになった文豪の姿をね」
 「期限はないの?」
 「ないわ。書けない人はどれほど待っても書けないし、書ける人は意外とサラサラと書いてしまうみたいね。
 書ける人は自分の血だけですぐに書いたというんだから、文豪の名も伊達じゃないわよね」


 「坂上君は、相田さんの話を信じられるかしら?」
  1. 信じられる
  2. 信じられない
 「あら、そう。坂上君って素直なのね。
 相田さんは悪魔に身も心も魅入られてしまったのよ、うふふふ」


 「岩下さん、兄弟いる?」
 「ええ、いるわ」
 「私、弟がいるの!岩下さんは?」
 「私には弟がいるわ」
 「弟ってどう?仲いい?」
 「いいえ」
 「でしょう!時々、殺したくなったりしない?」
 「・・・そうね」
 岩下は弟が大好きだった。喧嘩もしないような姉と弟っているのかと思って、そう答えただけだった。
 「ああー、やぱりそうなるよね。
 私、あの時、岩下さんに相談してよかった。
 岩下さん、私たち親友ね!」
 そう言って、相田は帰っていった。


 今度は相田が元気になっていった。顔色も少しずつ良くなり、体中にあった無数の切り傷も治って、見える部分にあった包帯もなくなった。
 同じころ、相田の小学生の弟が行方不明になっていた。行方不明というだけだったので、ニュースにもなからなった。


 ある日、相田から岩下の家に電話があった。
 「岩下さん、夜遅くにごめんね」
 「いいのよ、何か相談事でも?」
 「岩下さんに随分良くしてもらったから、途中経過でも報告しておこうかなと思っただけ」
 「で、お話は進んでいるの?」
 「もう、バッチリ!
 この話を全部書き終わったら、まず岩下さんに読ませてあげるね」
 「あら、嬉しいわ。ありがとう。
 そういえば血の方は大丈夫なの?」
 「・・・岩下さんにだけは話してもいいかな?あのね、血というのは別に自分の物じゃなくても良かったの。生き物の血なら何でもいいみたいなんだよ」
 「あの影がそう言ったの?」
 「うん。私、自分を切って血を流すことに本当に疲れちゃって、『赤と黒の魔導書』を道連れにして死のうと思って、電車に飛び込もうとしたのよ。
 電車が来て、いざ飛び込もうとしたら、突然腕をグイっと掴まれたの。助けてくれた駅員さんは、やさしそうなおじさんだった。
 その駅員さんがニッコリと笑いながら私に言ったの。『弟がいるじゃないか』って。
 私、気づいたら自宅のベッドにいたわ」
 「夢だったの?」
 「ううん、夢じゃなかった。腕を掴まれた痕が残っていたの。その形は明らかに人間のものじゃなかった。
 そして、気づいたの。弟の血を使って書けばいいんだって。
 それでね、私、岩下さんに、弟って殺したくない?って聞いたこと覚えている?
 岩下さん言ったよね。弟なんていくら殺しても足りないくらいだって。
 私、さっそく家に帰って、弟を殴ってみたの。殴ったら鼻血をダラダラ出して、泣き喚いていたわ」
 「その時は、親はいなかったの?」
 「岩下さん、ひょっとして、私のこと馬鹿だと思ってるでしょ?親はもちろんいなかったわ。
 それでね、それでね、聞いて聞いて!
 弟の血で続きを書いたら、書けたわ!全然問題なかったのよ。
 だから、殺さないように加減して殴って気絶させて、あとはタンスの中で飼って、それで血を取り続けようと計画したわけ」
 「よくご両親にバレなかったわね?」
 「灯台下暗しっていうやつじゃない?まさか姉の部屋のタンスの中で半殺しで飼われているなんて思ってもみないじゃない?あははは。
 本当に岩下さんに相談してよかった。岩下さんは私の親友よ。
 じゃあ私、そろそろ続きを執筆しないといけないから、電話を切るわね」
 そう言って、相田は電話を切った。
 それからも、相田は時々岩下の家に電話してきた。
 しばらくして、相田の弟は死んだ。当然、そんな状態で長くもつはずはない。


 ある日の休憩時間、相田が教室に誰もいないのを見計らって、岩下に声をかけてきた。
 「弟、死んじゃった」
 岩下が黙っていると、すぐに相田は自分の席に戻っていった。
 その後、授業中に相田は悲鳴を上げると、早退した。


 その夜、相田から岩下に電話があった。
 「今日、私、悲鳴を上げたでしょ。あれね、ふと机の下を見たら、血まみれの弟が座っていたの。
 それから、弟が私から離れようとしないで、私の耳元で、『次は誰なんだよ?』って囁き続けてるの」
 岩下が黙っていると、電話口を離した相田の「誰?」という声が聞こえてきた。
 受話器の向こうからは、言い争う声が聞こえてきた。
 「ちょっと勝手に入ってこないでよ!」
 「お姉ちゃん、秀ちゃんがどうしたの?秀ちゃんがいるの?」
 どうやら、相手は相田の母親のようだ。
 「いないよ、入ってこないでよ!」
 「秀ちゃん、秀ちゃん!」
 「いないっていってんだろう、ババア!」
 その時『タンスの中だよ、ママ』という声がはっきりと聞こえた。
 バン!とタンスを開ける音がした。
 「うわああああ!」と相田の悲鳴のあと、ゴン、という鈍い音と荒い息遣いが聞こえてきた。
 その後もいろいろな音が聞こえてきたが、岩下は、相田が母親を殴ってタンスの中に隠している、と思った。
 「もしもし?」
 「もしもし」
 「ごめんね、電話、待たせちゃって。お母さんが部屋に入って来ちゃって参ったよ。なんか弟も告げ口みたいなことするし。勢いでお母さんまで殴っちゃった」
 「あなた、大丈夫?」
 「うん、もう大丈夫。すいぶん弟で練習したから、力加減が抜群だったみたい、たぶん、死なないと思うよ
 ガムテープでグルグル巻きにしてタンスの中に放り込んだから、これでまたしばらくはインクの心配をしないですむよ」
 そう言って、相田は電話を切った。


 それから相田は毎日、岩下に電話をかけてきたが、岩下はほとんで返事をせず、黙って聞いているだけだった。
 相田はそれも構わず勝手にペラペラを話していた。


 ある日の電話で、相田は、父親をどうやって誤魔化そうかと岩下に相談してきたが、岩下は黙っていた。
 ほどなくして、母親が死んだ、と相田が言ってきた。
 死んだあと、母親も幽霊になって出てきて、『次はお父さんを殺しなさいよ』と言ってきたので、相田はすぐに父親を殺してしまった。



 「本を完成させるために、自分の家族を全員殺してしまうなんて、愚かという以外に何も思い浮かばないわ。
 それで、『黒と赤の魔導書』は書きあがったのかって?
 それがね、まだだったのよ。
 彼女は、執筆をつづけたと思う?」
  1. 続けた→岩下エンディング№20:降魔伏霊
  2. 断念した
  3. 想像をつかない
 「あなたはそう思うの?馬鹿ね。
 ここで断念したら、彼女には家族を皆殺しにした、殺人者という汚名だけが残るのよ。だから、悪魔の力に縋って、嫌でも書き続けるしかないの」


 相田は悩んだ。
 書き続けるには血が要るが、もうこれ以上血を絞り取る家族がいない。
 仕方なく彼女は、また自分の体を傷つけることにした。
 最近では学校に来る元気もないみたいだ。


 「その後、誰も彼女の姿を見かけたものはいないわ。
 彼女は、悪魔の本に命の最後の一滴まで与えてしまったのかしら。
 あるいは、いつか望みの人生を手に入れることを夢見て、ひたすら執筆を続けているのかしら。うふふふふ」


 岩下エンディング№21:魔導書の奴隷
 CGギャラリー:47/124

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岩下エンディング№20:降魔伏霊


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:歪んだ被写体→福沢エンディング№8~11を見る


 5人目は、岩下玲子を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです→シナリオ:ポプリ
 「そう、あなたは秘密主義者なのね。
 人は誰でも心の中に影を持っているわ。人には知られたくない秘密、人には触れられたくない過去、そして自分でも忘れてしまいたいほどの嫌な思い出。もしかして、私がそんなあなたの傷を抉ってしまったかしら。
 心に黒を飼っているあなたは、被害者?それとも、加害者?」


 シナリオ:赤と黒の法悦


 「ところであなたは本をよく読むのかしら?
 本はいいわ。読む者をいろんな世界へ連れていってくれるから。現実の世界だけではなく、空想上の世界でも、本さえあれば自由に旅することができるのよ。もちろん、それには豊かな想像力も不可欠だけどね。
 坂上君、あなた、自分の想像力には自信があるかしら?」
  1. ある
  2. ない
  3. わからない
 「そう、あるの。坂上君って見かけによらず自信家なのね。
 想像力に自信があるのだったら、これから私が話すことも、臨場感あふれる記事にできるはずだわ。せっかく私が時間を割いて語る話ですもの。つまらない記事にしたら、一生後悔するはめになるわよ。うふふふふ」


 それは真っ黒な本で、題名もなければ、出版社の記載も、値段も書いていない。
 その本は、本が書き手を選ぶのだ。
 本は常に自分を完結させてくれる書き手を探しており、書き手となりそうな人を見つけると、どこからともなく、突然その人の前に姿を現す。気が付くと、本棚の中に紛れていたり、偶然立ち寄った書店の棚や学校の図書館に並んでいたりするのだ。
 もし、本を見つけたら、その人はその後の人生が変わるのだ。
 噂では、その黒い本の内容を完結させることができたら、大金持ちになれると言われている。
 完結させると本はどこかへともなく消えてしまうが、その内容は書いた人の頭の中の鮮明に残っており、その内容でもう一度本を書くと、必ずベストセラーになるのだ
 この黒い本は、特殊なインクで書かれており、続きを書くのもそのインクが必要で、それ以外では続きが書けない。
 そして、そのインクは、生き物の血だった。血は空気に触れるとすぐに乾燥してしまって書けなくなるので、作品を完成させるまで途切れることなく、新しい血を用意し続けないといけないのだ。


 岩下のクラスにとても本の好きな女の子がいた。
 名前は相田瑞穂といい、眼鏡をかけてて、いつも自分の席で静かに本を読んでいた。
 ロングヘアのおとなしい少女だったが、暗いわけではなく、受け答えが天然だったのでみんなから好かれていた。
 スタイルが良く、眼鏡をはずすと意外にかわいいと男子にもひそかに人気があった。


 ある日の放課後、相田が意味ありげな笑みを浮かべながら、岩下に話しかけてきた。
 「岩下さん、黒と赤という本のこと知ってる?」
 「スタンダールの?」
 「ううん、それは赤と黒でしょ?」
 岩下はムッとした。相田が言い間違えたのかと思ったから。
 岩下が顔をしかめたのを見て、相田はあわてて弁解した。
 「ごめんね。スタンダールの本のことじゃなくて、違う本のことで相談したことがあるの」
 「相談ですって?」
 「ええ、岩下さんなら、良い回答を貰えると思って」
 「いいわ、続けて頂戴」
 「2週間ほど前のことなの。学校の図書室に見たことのない真っ黒な本が並んでいるのを見たの。私は何だろうと思って手にとってみたの。分厚くて、とても重たい本だった。
 それに、すごく変なにおいがした。何かが腐ったような、懐かしい気もする、今までも嗅いだことのないにおいだった。
 開いてみると、黒い紙の上に見慣れない赤茶色のインクで文字が書かれていたわ。
 手掛かりになればいいと思って、思い切ってその本を読んでみたの。手掛かりはわからなかったけど、私、その本に取りつかれてしまったの。だって、すごく面白かったし。
 私、その本がすごく面白いものだから、つい黙って持ち帰ってしまってね」
 「面白いって、どんな内容なの?」
 「それはちょっと・・・
 話したら、岩下さんも読んでしまいたくなるでしょ」
 肝心なことを話さない間にイライラしながら、岩下は「内容はいいわ。話を続けて」と言った。
 「岩下さん、悪魔って信じる?」


 「坂上君、あなたは悪魔の存在を信じるかしら?」
  1. 信じる
  2. 信じない
 「悪魔はね、いるのよ。
 あなた、今笑ったわね?私、馬鹿にされるのが嫌いだって、まだわからないのかしら?」


 岩下は悪魔の存在を信じているけど、それを相田には言わずに「悪魔?」と、いぶかしげに問い返した。
 「その黒い本から悪魔が出てきたの」
 「で、その悪魔はどうしたの?」
 「私、黒い本をいつも寝る前に少しずつ読んでいたの。ページ数を決めて、決まったページ以上は読まないようにしていたの。
 そうしないと、あっという間に読み終えていそうなくらい面白いんだもの。
 そんなある日、物音で目を覚ましたの。それは人の笑い声だった。
 弟かもしれないと思い部屋のドアを勢いよく開けたが、誰もいなかったの。
 私、怖くなって、布団にもぐりこんで震えていたんだけど、そのうちに眠ってしまったみたいで、気が付くと朝になっていたの」
 「それで?」
 「次の日も、笑い声がしたの。今度は枕元でね。思わず、目を開けて見てしまったの。
 すると、黒い影みたいのがそこに立っていたの。その影は黒い本を持って、こう言ったの。
 『もうすぐ読み終わってしまうな』
 私、恥ずかしいけど、そのまま気を失ってしまって・・・
 次の日起きて、すぐ本を調べたら、怪しい影の言う通り、もう少しで話が終わってしまうところだったの。
 巻末までには、まだ厚みがあったから、まだ先は長いと思っていたんだけど、その本にはお話が途中までしか書かれていなかったのよ。
 その晩、私はついに本を読み終えてしまったの。寝ようと思ったら、男の顔が浮かんでいて、続きを書け、と私に言ったの。
 私、怖いからそのままにしておいた。でも影はどこにでも現れて、続きを書け、って私に迫るの。ほかの人には見えないみたいで、私にしか見えないみたい」
 「今もこの教室にいるの?」
 「ううん、今はいない。
 それで、私、続きを書こうとしてみた。お話の続きは頭の中に浮かんできたのよ。だからスラスラ書けると思っていた。そうしたら、突然、黒い影が出てきて、『血で書け』って言ったのよ。
 血なんて書けないよ?どうしたらいいの?
 ・・・岩下さんごめんね。岩下さんだって、どうしたらいいかわからないよね。私、自分で何とかしてみるね」
 「血を用意しないと続きが書けないんでしょ?自分の体なんて、そんなに簡単に切れるものじゃないわよ?」
 「うん、そうだね。
 話したら少し楽になったわ。ありがとう、岩下さん」
 そう言うと、相田は自分の席に戻り帰り支度を始めたので、岩下も帰ることにした。


 次の日、学校に来た相田の顔色が良くなかった。どうも手首に包帯を巻いているようだった。
 日に日に彼女の顔色が悪くなっていった。体中切り刻んで、傷だらけだったみたいだ。制服の下は、きっと包帯やら絆創膏でいっぱいだったのだろう。
 そのうち、見えている部分にまで包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られていくようになった。


 ある時、岩下の方から、相田に、どうして逃げることを考えないのか?と切り出してみた。
 「どうして、そんなことを聞くの?
 もしかして『黒と赤の魔導書』の秘密を知って、私から奪おうとしているの?」
 「『黒と赤の魔導書』?そんなものは知らないわ」
 「いいわ、仮に岩下さんが奪おうとしていたって、その時はその時で好都合かもね」
 そして、相田は、黒と赤の秘密について話し始めた。
 「図書館に置いてあった本は、『黒と赤の魔導書』という本で、誰かの前に現れるとき、それは必ず未完の形をしていて、手にした者は、それを完結させる権利が与えられるというわけ」
 「権利が与えられる?強制ではないというわけ?」
 「もちろん違うわ。これは与えられた権利なの。選ばれた人間だけが、得られる権利なのよ。
 放棄することもできるわ。もっとも、放棄するつもりなんてさらさらないけどね。
 それはとても簡単よ。どこか適当な本棚にこの『黒と赤の魔導書』を置いてきてしまえばいいのよ」
 「そんな簡単なことを・・・」
 「どうしてしなかったのかって?
 だって、この物語を完結させることができたなら、大金持ちになれるのよ!」
 「あなた、そんな話を信じたの?」
 「もちろん、私も最初は信じなかったわ。でも悪魔が私に見せてくれたのよ。それを書いて大金持ちになった文豪の姿をね」
 「期限はないの?」
 「ないわ。書けない人はどれほど待っても書けないし、書ける人は意外とサラサラと書いてしまうみたいね。
 書ける人は自分の血だけですぐに書いたというんだから、文豪の名も伊達じゃないわよね」


 「坂上君は、相田さんの話を信じられるかしら?」
  1. 信じられる
  2. 信じられない
 「あら、そう。坂上君って素直なのね。
 相田さんは悪魔に身も心も魅入られてしまったのよ、うふふふ」


 「岩下さん、兄弟いる?」
 「ええ、いるわ」
 「私、弟がいるの!岩下さんは?」
 「私には弟がいるわ」
 「弟ってどう?仲いい?」
 「いいえ」
 「でしょう!時々、殺したくなったりしない?」
 「・・・そうね」
 岩下は弟が大好きだった。喧嘩もしないような姉と弟っているのかと思って、そう答えただけだった。
 「ああー、やぱりそうなるよね。
 私、あの時、岩下さんに相談してよかった。
 岩下さん、私たち親友ね!」
 そう言って、相田は帰っていった。


 今度は相田が元気になっていった。顔色も少しずつ良くなり、体中にあった無数の切り傷も治って、見える部分にあった包帯もなくなった。
 同じころ、相田の小学生の弟が行方不明になっていた。行方不明というだけだったので、ニュースにもなからなった。


 ある日、相田から岩下の家に電話があった。
 「岩下さん、夜遅くにごめんね」
 「いいのよ、何か相談事でも?」
 「岩下さんに随分良くしてもらったから、途中経過でも報告しておこうかなと思っただけ」
 「で、お話は進んでいるの?」
 「もう、バッチリ!
 この話を全部書き終わったら、まず岩下さんに読ませてあげるね」
 「あら、嬉しいわ。ありがとう。
 そういえば血の方は大丈夫なの?」
 「・・・岩下さんにだけは話してもいいかな?あのね、血というのは別に自分の物じゃなくても良かったの。生き物の血なら何でもいいみたいなんだよ」
 「あの影がそう言ったの?」
 「うん。私、自分を切って血を流すことに本当に疲れちゃって、『赤と黒の魔導書』を道連れにして死のうと思って、電車に飛び込もうとしたのよ。
 電車が来て、いざ飛び込もうとしたら、突然腕をグイっと掴まれたの。助けてくれた駅員さんは、やさしそうなおじさんだった。
 その駅員さんがニッコリと笑いながら私に言ったの。『弟がいるじゃないか』って。
 私、気づいたら自宅のベッドにいたわ」
 「夢だったの?」
 「ううん、夢じゃなかった。腕を掴まれた痕が残っていたの。その形は明らかに人間のものじゃなかった。
 そして、気づいたの。弟の血を使って書けばいいんだって。
 それでね、私、岩下さんに、弟って殺したくない?って聞いたこと覚えている?
 岩下さん言ったよね。弟なんていくら殺しても足りないくらいだって。
 私、さっそく家に帰って、弟を殴ってみたの。殴ったら鼻血をダラダラ出して、泣き喚いていたわ」
 「その時は、親はいなかったの?」
 「岩下さん、ひょっとして、私のこと馬鹿だと思ってるでしょ?親はもちろんいなかったわ。
 それでね、それでね、聞いて聞いて!
 弟の血で続きを書いたら、書けたわ!全然問題なかったのよ。
 だから、殺さないように加減して殴って気絶させて、あとはタンスの中で飼って、それで血を取り続けようと計画したわけ」
 「よくご両親にバレなかったわね?」
 「灯台下暗しっていうやつじゃない?まさか姉の部屋のタンスの中で半殺しで飼われているなんて思ってもみないじゃない?あははは。
 本当に岩下さんに相談してよかった。岩下さんは私の親友よ。
 じゃあ私、そろそろ続きを執筆しないといけないから、電話を切るわね」
 そう言って、相田は電話を切った。
 それからも、相田は時々岩下の家に電話してきた。
 しばらくして、相田の弟は死んだ。当然、そんな状態で長くもつはずはない。


 ある日の休憩時間、相田が教室に誰もいないのを見計らって、岩下に声をかけてきた。
 「弟、死んじゃった」
 岩下が黙っていると、すぐに相田は自分の席に戻っていった。
 その後、授業中に相田は悲鳴を上げると、早退した。


 その夜、相田から岩下に電話があった。
 「今日、私、悲鳴を上げたでしょ。あれね、ふと机の下を見たら、血まみれの弟が座っていたの。
 それから、弟が私から離れようとしないで、私の耳元で、『次は誰なんだよ?』って囁き続けてるの」
 岩下が黙っていると、電話口を離した相田の「誰?」という声が聞こえてきた。
 受話器の向こうからは、言い争う声が聞こえてきた。
 「ちょっと勝手に入ってこないでよ!」
 「お姉ちゃん、秀ちゃんがどうしたの?秀ちゃんがいるの?」
 どうやら、相手は相田の母親のようだ。
 「いないよ、入ってこないでよ!」
 「秀ちゃん、秀ちゃん!」
 「いないっていってんだろう、ババア!」
 その時『タンスの中だよ、ママ』という声がはっきりと聞こえた。
 バン!とタンスを開ける音がした。
 「うわああああ!」と相田の悲鳴のあと、ゴン、という鈍い音と荒い息遣いが聞こえてきた。
 その後もいろいろな音が聞こえてきたが、岩下は、相田が母親を殴ってタンスの中に隠している、と思った。
 「もしもし?」
 「もしもし」
 「ごめんね、電話、待たせちゃって。お母さんが部屋に入って来ちゃって参ったよ。なんか弟も告げ口みたいなことするし。勢いでお母さんまで殴っちゃった」
 「あなた、大丈夫?」
 「うん、もう大丈夫。すいぶん弟で練習したから、力加減が抜群だったみたい、たぶん、死なないと思うよ
 ガムテープでグルグル巻きにしてタンスの中に放り込んだから、これでまたしばらくはインクの心配をしないですむよ」
 そう言って、相田は電話を切った。


 それから相田は毎日、岩下に電話をかけてきたが、岩下はほとんで返事をせず、黙って聞いているだけだった。
 相田はそれも構わず勝手にペラペラを話していた。


 ある日の電話で、相田は、父親をどうやって誤魔化そうかと岩下に相談してきたが、岩下は黙っていた。
 ほどなくして、母親が死んだ、と相田が言ってきた。
 死んだあと、母親も幽霊になって出てきて、『次はお父さんを殺しなさいよ』と言ってきたので、相田はすぐに父親を殺してしまった。



 「本を完成させるために、自分の家族を全員殺してしまうなんて、愚かという以外に何も思い浮かばないわ。
 それで、『黒と赤の魔導書』は書きあがったのかって?
 それがね、まだだったのよ。
 彼女は、執筆をつづけたと思う?」
  1. 続けた
  2. 断念した
  3. 想像をつかない
 「彼女は血を得るためにその後も次々と殺人を続けた。
 いろんな人たちが相田さんの家の近くで行方不明になった。
 警察だって馬鹿じゃないから、相田さんが疑われそうなものだけど、そうはならなかった。
 私は悪魔が手を貸したのだと思っているわ。
 そして、ついに『黒と赤の魔導書』は完成したの」


 ある日の放課後、相田が「ついに完成したの」と言ってきた。
 「それでね、これから、うちに読みに来ない?」
 「これからですって?」
 「だって、ほら、早く読んでもらいたいしさ」
 「でも、突然今日来てと言われても・・・」
 「お願いします!今日でないとだめなんです!」
 相田はどうしても岩下に家に来てもらいたがっていたが、それを隠そうとしていた。
 岩下は折れたふりをして答えた。
 「わかったわ。じゃあ、今日これから行くわね」
 「本当に。やったあ!」
 そして、二人で相田の家に向かった。
 相田の家は、学校から少し離れた森をずっと奥に入ったところにあった。
 門の前に立って見ると、窓から大勢の人影が見えた。
 家の中に入ると、まるで岩下を逃がさないよう、相田は鍵をかけた。
 相田の家の中は血の匂いがした。
 「ねえ、相田さん、さっきから家の中で人の気配がするんだけど?」
 「気のせいだよ」
 「相田さん、前に殺した弟さんやお母さんの幽霊が見えるって言ってたけど、それは私にも見えるのかしら?それに、魔導書の悪魔も私にも見えるのかしら?」
 「見えないんじゃない、えへへ。
 それより2階へ行こうよ。書きあがった『黒と赤の魔導書』を見せてあげるから」
 「いいわ、案内して頂戴」
 相田は、自分の部屋に岩下を呼ぶと、本を開いて見せたが、岩下に渡そうとはしなかった。
 「いつ読ませていただけるのかしら?」
 「実は読ませることができないの」
 「どういうことかしら?」
 「それはね、岩下さんには死んでもらうからよ!」
 岩下が走り出すと、相田と、岩下の死を願う怨霊たちが追いかけてきた。
 「悪魔が最初に言ったのよ!本を完成させるには、最後に大切な人の生贄が必要だって!
 岩下さん、あなたは私の親友だわ。
 岩下さん、あなたは私の共犯者よ」
 「殺してやるんだから・・・」
 「どうやって私を殺すの?
 あと少しで完成するの・・・」
 相田の口調が急におかしくなった。
 「ひひひ、最後の生贄、この魂の抜けた人形の願い、お前の血さえあれば・・・」
 悪魔が相田の体を借りて話しかけてきた。
 岩下はポケットからライターを取り出すと、さっと相田が持っていた本に点火した。
 「うぎゃああ!!!」
 相田も勢いよく燃え始めた。
 本が燃え終わるのと同時に、相田も燃え終わっていた。
 気が付くと怨霊たちもいなくなっていた。


 「実は私も知っていたの。自分でも調べていたのよね。
 それで一つわかっていたことがあって、執筆者以外の血の量が半分を超えると、悪魔に体を乗っ取られてしまう話だったのよ。そうなると、最後の生贄を捧げるまでに、意識の半分を悪魔に乗っ取られてしまうって。
 で、悪魔と対峙する際には、本を燃やしてしまえばいいという話だったのね。
 そうそう、次の日から、相田さんの家に捜索が入って、おびただしい数の人間や動物の死体が見つかった。
 電話の通信記録から、私も取り調べを受けたけど、すぐに釈放されたわ。だって何もしていないもの。
 その後の『黒と赤の魔導書』はどうなったのかですって?さあ、知らないわ。
 どう、坂上君、あなたは、『黒と赤の魔導書』を完結させる自信があって?うふふふ」


 岩下エンディング№20:降魔伏霊
 CGギャラリー:47/124 
 №15:浮かび上がる黒い影
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福沢エンディング№11:呪いの連鎖


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者
  4. 違う話を聞きたい
 「私と一緒だ。私、神様信じてないもん。そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
 私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
 私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
 すごいでしょ、えへへ。
 でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
 お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
 彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
 それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
 そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
 公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
 それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
 それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
 ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
 お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
 ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
 それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
 それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
 それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
 なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
 お父さん、怒った後悩んでいたもん。
 どうして会社では暗いんだって。
 もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
 そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
 1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
 そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
 なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
 でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
 お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
 坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?」
  1. 実は、いる
  2. そんな人はいない
 「えー!それは大変だよね。その悩みって、実際体験した人じゃないとわからないもんね。
 それじゃあさあ、これから私がする話、坂上君なら、ものすごくわかってもらえると思うよ。私が実際に体験した話だからさ」


 福沢のクラスに宗教に狂った子がいた。蜜田真奈美といい、福沢とは中学が別だったので、高校で初めて出会った。

 
 「新しいクラスになったとき、坂上君はどう?仲の良かった人、同じクラスにいた?」
  1. いた
  2. いなかった
 「だったら、気が楽だったでしょ。でもそうすると、その中学からの仲良しだけでいつも集まるとかにならない?せっかく高校デビューしたのにそれじゃあもったいないよ」


 中学の時の知り合いがいなかった福沢が、早く友達を作ろうと思っていた時、後ろの席だった密田が話しかけてきたのだった。
 密田は親切な子だけじゃなく、人の嫌がることを率先してやる子だった。
 だから、クラスの遊び人とかは、密田に嫌なことを押し付けていたが、密田は嫌な顔一つせず黙々とやっていた。
 密田は、冗談がわからずまじめに考え込むタイプだったが、何にでもまじめですごくいい子だったので、人気があった。


 ゴールデンウィークが明けた頃、たくさんの人の手を握ると世界が平和になるからという理由で、密田は、「手を握らせてね」と言うようになった。
 みんなは、平和になるかどうかもわからず、手を握ると密田が喜ぶから、手を握らせてあげていた。特に男子は、かわいい子の手を握れるので喜んでいた。
 
 
 それから1週間くらいしてから、密田は学校に何本ものシャンプーを持ってきて、商売を始めた。今、みんなが使っている市販のシャンプーや毒だが、密田が持ってきたシャンプーは、いろんな花の搾り汁を主成分にした天然のものなんだそうだ。
 匂いはほんのちょっとしかなく、色は透明で、ラベルもいかにも手作りって感じのものだった。
  1. それっと良さそうだね
  2. それって霊感商法じゃ・・・
 「そう、そんな感じよね。霊感っていう言葉で思い出したわ。
 ものすごく霊感の強い子が引き起こしたとても怖い話があったの。そっちの話をするね」
 
 
 シナリオ:歪んだ被写体開始!
 
 
 以前、鳴神学園の写真部に向井という女子が所属していたが、撮る写真がすべて心霊写真になるので周囲から煙たがられていた。
 向井が3年生になり、最後のコンクールが近づいてきた。
 向井は、いつも恵まれない分、絶対にいい成績を残す、と思い、優勝を狙っていた。


 「ねぇ、坂上君。向井さんは無事にコンクールに参加できたと思う?」
  1. 当然参加できなかった→福沢エンディング№08:歪んだ被写体福沢エンディング№09:悲惨な現像福沢エンディング№10:願った結果
  2. 実は参加できた
 周りには辞退させろという声も結構あったが、最後のコンクールだったから、一生懸命やっている向井を見ると出るなとは言えなかった。
 向井はテーマをどうするか考え抜いて、部活動を一生懸命にやっている生徒を写そうと決めた。
 テーマが決まったところで、向井は野球部に許可をもらうと連日グラウンドに張り付いた。
 向井はベストショットのタイミングをじっと待っていた。
 そして数日後、ついにその時がきた。大きなフライが上がると外野手が光る汗を散らして一生懸命に追った。
 外野手がダイビングキャッチする瞬間、向井は懸命にシャッターを切って、見事にその場面をカメラに収めた。


 向井はさっそく自宅の暗室で現像に取り掛かった。
 そして、完成した写真を見ると、ダイビングキャッチの勢いで頭から砂をかぶり、梅干しを食べたみたいな顔をムっとさせた外野手の、とても迫力ある姿が写し出されていた。
 プロにも負けていないんじゃないかというくらい、予想以上の出来栄えだった。
 おまけに心霊写真じゃなかった。
 向井は自分の優勝を確信した。


 数週間後、コンクールの結果発表の日になって、向井はほかの部員と一緒に部室に待機していた。
 部長が封筒を抱きかかえてやってきた。部員の誰かが入賞したに違いない!
 部長が封筒を開け、通知書を取り出す。
 「向井、おめでとう!」
 通知書が向井に渡された。そこには、準優勝の文字が書かれていた。
 部員たちは向井を褒め称える言葉を口にしたが、向井の頭には入っていなかった。
 (なぜ優勝じゃないの?どうして、どうして・・・)
 向井はフラフラと部室を出て行った。


 次の日、部室で首を吊って自殺した向井が発見された。
 遺書はなかったが、優勝できなかったショックで自殺したと警察は納得した。
 向井の死の衝撃を落ち着かせて、どうにか写真部は再開させたが、事件は終わっていなかった。
 写真部の部員たちが撮る写真すべてに、何らかの霊現象が写り込むようになってしまった。
 すぐに向井の呪いだと噂が立った。
 切羽詰まった部員が有名な祈祷師に相談すると、祈祷師は「写真に写る霊現象は向井さんが亡くなったときの負の感情が引き起こしているものです。彼女の霊を鎮めなければ、間違いなく更なる災いが起こってしまうでしょう」と言った。


 「それで、向井のさんの霊を鎮めるために、年に一度、使っていたカメラを燃やすっていう伝統行事ができたんだ。
 もしそれを忘れちゃう人が出ると、向井さんの霊が現れるそうなの。
 だから、この行事は今でもちゃんと続いているよ。写真部に取材を申し込めば見せてくれるかもしんないね。
 心霊写真は負の感情が引き起こすってことらしいんだけど、あの時向井さんは絶対に成功するんだって気分が高揚していたから、コンクール用の写真には霊が写らなかったんだ」
 
 福沢エンディング№11:呪いの連鎖
 CGギャラリー:46/124 
 №68:写真に写る怨恨
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福沢エンディング10:願った結果


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者
  4. 違う話を聞きたい
 「私と一緒だ。私、神様信じてないもん。そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
 私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
 私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
 すごいでしょ、えへへ。
 でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
 お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
 彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
 それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
 そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
 公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
 それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
 それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
 ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
 お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
 ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
 それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
 それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
 それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
 なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
 お父さん、怒った後悩んでいたもん。
 どうして会社では暗いんだって。
 もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
 そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
 1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
 そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
 なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
 でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
 お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
 坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?」
  1. 実は、いる
  2. そんな人はいない
 「えー!それは大変だよね。その悩みって、実際体験した人じゃないとわからないもんね。
 それじゃあさあ、これから私がする話、坂上君なら、ものすごくわかってもらえると思うよ。私が実際に体験した話だからさ」


 福沢のクラスに宗教に狂った子がいた。蜜田真奈美といい、福沢とは中学が別だったので、高校で初めて出会った。

 
 「新しいクラスになったとき、坂上君はどう?仲の良かった人、同じクラスにいた?」
  1. いた
  2. いなかった
 「だったら、気が楽だったでしょ。でもそうすると、その中学からの仲良しだけでいつも集まるとかにならない?せっかく高校デビューしたのにそれじゃあもったいないよ」


 中学の時の知り合いがいなかった福沢が、早く友達を作ろうと思っていた時、後ろの席だった密田が話しかけてきたのだった。
 密田は親切な子だけじゃなく、人の嫌がることを率先してやる子だった。
 だから、クラスの遊び人とかは、密田に嫌なことを押し付けていたが、密田は嫌な顔一つせず黙々とやっていた。
 密田は、冗談がわからずまじめに考え込むタイプだったが、何にでもまじめですごくいい子だったので、人気があった。


 ゴールデンウィークが明けた頃、たくさんの人の手を握ると世界が平和になるからという理由で、密田は、「手を握らせてね」と言うようになった。
 みんなは、平和になるかどうかもわからず、手を握ると密田が喜ぶから、手を握らせてあげていた。特に男子は、かわいい子の手を握れるので喜んでいた。
 
 
 それから1週間くらいしてから、密田は学校に何本ものシャンプーを持ってきて、商売を始めた。今、みんなが使っている市販のシャンプーや毒だが、密田が持ってきたシャンプーは、いろんな花の搾り汁を主成分にした天然のものなんだそうだ。
 匂いはほんのちょっとしかなく、色は透明で、ラベルもいかにも手作りって感じのものだった。
  1. それっと良さそうだね
  2. それって霊感商法じゃ・・・
 「そう、そんな感じよね。霊感っていう言葉で思い出したわ。
 ものすごく霊感の強い子が引き起こしたとても怖い話があったの。そっちの話をするね」
 
 
 シナリオ:歪んだ被写体開始!
 
 
 以前、鳴神学園の写真部に向井という女子が所属していたが、撮る写真がすべて心霊写真になるので周囲から煙たがられていた。
 向井が3年生になり、最後のコンクールが近づいてきた。
 向井は、いつも恵まれない分、絶対にいい成績を残す、と思い、優勝を狙っていた。


 「ねぇ、坂上君。向井さんは無事にコンクールに参加できたと思う?」
  1. 当然参加できなかった
  2. 実は参加できた
 部長が、どうせ心霊写真を撮り、それをコンクールに出すと学外の人も見て、学校に迷惑がかかるだろうから、という理由で向井のコンクール参加を拒否したのだ。
 それを聞いた向井は、部室を飛び出した。
 
 
 「坂上君、あなたが同じ立場だったら、こんな時って、どんな気分かな?」
  1. 全てに絶望する→福沢エンディング№08:歪んだ被写体
  2. 新しい楽しみを探す→福沢エンディング№09:悲惨な現像
  3. わからない
 向井は、自分磨きをすることにした。
 頑張って自分を磨けばいい人が見つかるはずだと考えた。
 向井が写真部をやめて自分磨きを始めたら、ほどなくして運命の人が現れた。
 ある日、向井は下駄箱にラブレターを見つけた。ラブレターに指定された場所に行くとクラスメイトの相田がいた。
 相田は大人しめなせいかクラスでは目立たなかったが、真面目で誠実な人柄だった。
 彼の人柄を知っていた向井は相田と付き合うことにした。


 週末になると二人はデートをした。
 「僕は洋画を見るのが趣味なんだよ。もちろん日本語字幕なんて邪道さ」
 「それってインテリって感じだね」
 「向井さんはどうなの?」
 「好きでも嫌いでもない感じだけど、これから好きにあるよう頑張ろうと思うよ」
 「君なら大丈夫さ。さっそく映画に行こう!」


 映画を見終えた二人は、仕上げに喫茶店に入って、美味しいケーキや紅茶を楽しみながら、映画の感想を言い合った。
 その時、相田は思い出したように「向井さんは写真部だったんだっけ?」と質問した。
 相田は、向井が写真部にいたことは知っていたが、退部したことも心霊写真を撮ることも知らなかった。
 「カメラが嫌いになったのかい?」
 「ごめんなさい。このこと、もう聞かないでくれると嬉しいな」
 「わかった、もう聞かないよ」
 向井は写真部を辞めてからは、すっかりカメラに触らなくなっていた。相田に心霊写真のことを知られたくなかったのだ。だから、デート中に写真を撮ることもなかった。


 ある日の放課後、相田が声を掛けてきた。
 「向井さん、一緒に帰ろうよ。今日は時間ある?」
 「うん。珍しいね、平日に誘ってくるなんて」
 二人は3年生で忙しいこともあって、デートは週末だけと決めていた。
 「思えば僕たちさ、付き合ってから記念写真って一枚も撮ったことなかったじゃないか?
 それでぜひ向井さんと一緒に写真を撮りたいんだ」
 向井は大切な彼氏の頼みを断ることができなかった。
 「わかったわ。帰って機材を用意するわね」
 いったん家に帰り、カメラと三脚を引っ張り出して、向井は待ち合わせの校門前へ向かった。
 写真を撮るのはどこがいいかを相田は少し迷っていたが、つごもり橋に決めた。
 「じゃ、ここで」
 「わかったわ。すぐ準備するから待ってて」
 機材を組み立てた向井は、タイマーをセットすると相田の隣に駆け寄った。
 そして、相田は向井の肩に手をまわして、幸せそうに微笑んだ。


 その夜、向井は張り切って写真の現像に取り掛かった。
 やがて、現像が完了した頃、サワサワと生き物が移動するみたいな音が聞こえてきた。
 音は今しがた現像し終えてたばかりの写真から聞こえていた。
 写真から不気味な形の影が抜け出てきた。
 そいつは呆然と立ち尽くす向井に容赦なく襲い掛かった。


 次の日、向井は死体で発見された。
 驚いたことに死体はカメラのフィルムで首を絞められていた。
 当然、人間の仕業じゃないから犯人は見つからなかった。
 だけど、彼女が心霊写真を撮ってしまうことが写真部のメンバーから伝わり、フィルムに潜む悪霊の仕業ということで決着がついた。
 彼女の死の真相を突き止めたのは相田だった。
 彼女の殺された理由を知りたかった彼は、霊能者を呼んで現場を見てもらった。
 その霊能者が言うには、向井が以前、撮影してはいけない場所を撮影しちゃって、そこの地縛霊に取り憑かれていたそうだ。
 その霊は失恋で死んだ女の霊で、彼氏のできた向井を嫉んでやったのだろう、と。
 
 
 福沢エンディング10:願った結果
 CGギャラリー:45/124 
 №67:襲い来るフィルム
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福沢エンディング09:悲惨な現像


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者
  4. 違う話を聞きたい
 「私と一緒だ。私、神様信じてないもん。そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
 私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
 私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
 すごいでしょ、えへへ。
 でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
 お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
 彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
 それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
 そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
 公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
 それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
 それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
 ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
 お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
 ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
 それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
 それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
 それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
 なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
 お父さん、怒った後悩んでいたもん。
 どうして会社では暗いんだって。
 もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
 そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
 1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
 そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
 なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
 でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
 お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
 坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?」
  1. 実は、いる
  2. そんな人はいない
 「えー!それは大変だよね。その悩みって、実際体験した人じゃないとわからないもんね。
 それじゃあさあ、これから私がする話、坂上君なら、ものすごくわかってもらえると思うよ。私が実際に体験した話だからさ」


 福沢のクラスに宗教に狂った子がいた。蜜田真奈美といい、福沢とは中学が別だったので、高校で初めて出会った。

 
 「新しいクラスになったとき、坂上君はどう?仲の良かった人、同じクラスにいた?」
  1. いた
  2. いなかった
 「だったら、気が楽だったでしょ。でもそうすると、その中学からの仲良しだけでいつも集まるとかにならない?せっかく高校デビューしたのにそれじゃあもったいないよ」


 中学の時の知り合いがいなかった福沢が、早く友達を作ろうと思っていた時、後ろの席だった密田が話しかけてきたのだった。
 密田は親切な子だけじゃなく、人の嫌がることを率先してやる子だった。
 だから、クラスの遊び人とかは、密田に嫌なことを押し付けていたが、密田は嫌な顔一つせず黙々とやっていた。
 密田は、冗談がわからずまじめに考え込むタイプだったが、何にでもまじめですごくいい子だったので、人気があった。


 ゴールデンウィークが明けた頃、たくさんの人の手を握ると世界が平和になるからという理由で、密田は、「手を握らせてね」と言うようになった。
 みんなは、平和になるかどうかもわからず、手を握ると密田が喜ぶから、手を握らせてあげていた。特に男子は、かわいい子の手を握れるので喜んでいた。
 
 
 それから1週間くらいしてから、密田は学校に何本ものシャンプーを持ってきて、商売を始めた。今、みんなが使っている市販のシャンプーや毒だが、密田が持ってきたシャンプーは、いろんな花の搾り汁を主成分にした天然のものなんだそうだ。
 匂いはほんのちょっとしかなく、色は透明で、ラベルもいかにも手作りって感じのものだった。
  1. それっと良さそうだね
  2. それって霊感商法じゃ・・・
 「そう、そんな感じよね。霊感っていう言葉で思い出したわ。
 ものすごく霊感の強い子が引き起こしたとても怖い話があったの。そっちの話をするね」
 
 
 シナリオ:歪んだ被写体開始!
 
 
 以前、鳴神学園の写真部に向井という女子が所属していたが、撮る写真がすべて心霊写真になるので周囲から煙たがられていた。
 向井が3年生になり、最後のコンクールが近づいてきた。
 向井は、いつも恵まれない分、絶対にいい成績を残す、と思い、優勝を狙っていた。


 「ねぇ、坂上君。向井さんは無事にコンクールに参加できたと思う?」
  1. 当然参加できなかった
  2. 実は参加できた
 部長が、どうせ心霊写真を撮り、それをコンクールに出すと学外の人も見て、学校に迷惑がかかるだろうから、という理由で向井のコンクール参加を拒否したのだ。
 それを聞いた向井は、部室を飛び出した。
 
 
 「坂上君、あなたが同じ立場だったら、こんな時って、どんな気分かな?」
  1. 全てに絶望する→福沢エンディング№08:歪んだ被写体
  2. 新しい楽しみを探す
  3. わからない
 向井は、翌日から気分を一新した。写真部じゃなくても写真は撮れるし、これからは細々と目立たずに楽しんでいこうと。
 人に見せなければ不快に思われることもない。撮れば必ず心霊写真になってしまうが、それでも写真を撮ることは好きだったのだ。
 やがて修学修学旅行の日がやってきた。向井はコンクールに出られなかった分、素敵な写真をたくさん残そうと思った。
 この時は修学旅行はバス移動だった。
 向井はコンクールに出られなかった鬱憤を晴らすように、写真を撮って撮って撮りまくった。
 そして、修学旅行が終わりに近づいた。あとはバスで帰るだけになり、最後にバスの前でクラごとに集合写真を撮ることになった。
 この時、担任から、自分のカメラの調子が悪いから、と言われて、向井のカメラを貸すことになり、クラスの集合写真は向井のカメラに収められた。
 学校への帰り道、山道の下りでバスのスピードが妙に早いことにみんなが気づいた。
 運転手の「ブレーキが利かない!」という叫びが聞こえ、バスはガードレールを突き破って谷底へ真っ逆さまに墜落した。
 向井を含めて乗客は全員死亡した。
 遺品を回収し、向井のフィルムを現像してみると、めちゃくちゃにバスの車体が壊れ、血みどろの死体が散乱する事故現場の画像だった。
 そして、バスの前で撮った集合写真は見当たらなかったので、事故現場の写真は、集合写真が向井のせいで変化した、という噂が広まった。


 「向井さんの心霊写真を撮ってしまう力は、カメラの自体に宿っていたんだよ。カメラを渡さなければ事故は防げたのは、確かだろうね。
 例の悲惨な写真はね、この話を聞いた人間のところに現れることがあるんだ。
 もし現れたら、1週間以内に供養しないと呪い殺されちゃうんだって。
 あれ、坂上君怒ってる?
 大丈夫だよ。供養さえすればいいんだから。みなさんも供養のことは忘れちゃわないように気をつけてくださいねー」
 
 
 福沢エンディング09:悲惨な現像
 CGギャラリー:44/124 
 №66:鮮血に染まるバス
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福沢エンディング08:歪んだ被写体


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:戦下の友情→荒井エンディング№08~10を見る
 3人目は風間望を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01:かぐわしきにおひを見る


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者
  4. 違う話を聞きたい
 「私と一緒だ。私、神様信じてないもん。そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
 私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
 私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
 すごいでしょ、えへへ。
 でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
 お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
 彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
 それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
 そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
 公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
 それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
 それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
 ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
 お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
 ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
 それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
 それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
 それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
 なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
 お父さん、怒った後悩んでいたもん。
 どうして会社では暗いんだって。
 もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
 そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
 1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
 そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
 なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
 でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
 お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
 坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?」
  1. 実は、いる
  2. そんな人はいない
 「えー!それは大変だよね。その悩みって、実際体験した人じゃないとわからないもんね。
 それじゃあさあ、これから私がする話、坂上君なら、ものすごくわかってもらえると思うよ。私が実際に体験した話だからさ」


 福沢のクラスに宗教に狂った子がいた。蜜田真奈美といい、福沢とは中学が別だったので、高校で初めて出会った。

 
 「新しいクラスになったとき、坂上君はどう?仲の良かった人、同じクラスにいた?」
  1. いた
  2. いなかった
 「だったら、気が楽だったでしょ。でもそうすると、その中学からの仲良しだけでいつも集まるとかにならない?せっかく高校デビューしたのにそれじゃあもったいないよ」


 中学の時の知り合いがいなかった福沢が、早く友達を作ろうと思っていた時、後ろの席だった密田が話しかけてきたのだった。
 密田は親切な子だけじゃなく、人の嫌がることを率先してやる子だった。
 だから、クラスの遊び人とかは、密田に嫌なことを押し付けていたが、密田は嫌な顔一つせず黙々とやっていた。
 密田は、冗談がわからずまじめに考え込むタイプだったが、何にでもまじめですごくいい子だったので、人気があった。


 ゴールデンウィークが明けた頃、たくさんの人の手を握ると世界が平和になるからという理由で、密田は、「手を握らせてね」と言うようになった。
 みんなは、平和になるかどうかもわからず、手を握ると密田が喜ぶから、手を握らせてあげていた。特に男子は、かわいい子の手を握れるので喜んでいた。
 
 
 それから1週間くらいしてから、密田は学校に何本ものシャンプーを持ってきて、商売を始めた。今、みんなが使っている市販のシャンプーや毒だが、密田が持ってきたシャンプーは、いろんな花の搾り汁を主成分にした天然のものなんだそうだ。
 匂いはほんのちょっとしかなく、色は透明で、ラベルもいかにも手作りって感じのものだった。
  1. それっと良さそうだね
  2. それって霊感商法じゃ・・・
 「そう、そんな感じよね。霊感っていう言葉で思い出したわ。
 ものすごく霊感の強い子が引き起こしたとても怖い話があったの。そっちの話をするね」
 
 
 シナリオ:歪んだ被写体開始!
 
 
 以前、鳴神学園の写真部に向井という女子が所属していたが、撮る写真がすべて心霊写真になるので周囲から煙たがられていた。
 向井が3年生になり、最後のコンクールが近づいてきた。
 向井は、いつも恵まれない分、絶対にいい成績を残す、と思い、優勝を狙っていた。


 「ねぇ、坂上君。向井さんは無事にコンクールに参加できたと思う?」
  1. 当然参加できなかった
  2. 実は参加できた
 部長が、どうせ心霊写真を撮り、それをコンクールに出すと学外の人も見て、学校に迷惑がかかるだろうから、という理由で向井のコンクール参加を拒否したのだ。
 それを聞いた向井は、部室を飛び出した。
 
 
 「坂上君、あなたが同じ立場だったら、こんな時って、どんな気分かな?」
  1. 全てに絶望する
  2. 新しい楽しみを探す
  3. わからない
 コンクールの件があった日以来、向井の姿が見られなくなった。
 懸命な捜索がされたが、彼女は決して見つからず、行方不明になってしまった。
 向井が消えてしまった理由は、写真部ですぐに話題になった。心霊写真を撮ってしまう自分に耐えきれず、樹海あたりで自殺しに行ったんだって。


 向井が消えて間もない日、学園内の掲示板に1枚の写真が貼られた。職員の誰も貼った覚えのない写真が。
 そこには鳴神学園の校舎た写し出されていた。邪悪な雰囲気を醸し出す、黒い影の覆いかぶさった校舎が・・・


 「その写真は、近い将来、この鳴神学園に不吉なことが起こることを暗示するものなんだろうね。
 ひょっとしたら、この七不思議の集会が引き金になるんじゃないかな」
 
 
 福沢エンディング08:歪んだ被写体
 CGギャラリー:43/124 
 №65:学園を覆う黒い影
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荒井エンディング№10:戦下の友情


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る


 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 歴史があるからです1人目か2人目の時に出現
  3. 答えたくありません
  4. 美人が多いからです→呪いのヒトガタ
  5. 教師陣がすぐれているからです
  6. 友達を作りたかったからです(5人目か6人目の時に出現)→シナリオ:ゲーマーの条件
 「あたなもご存じのように、ここは大正時代に創立された、由緒ある学園です。いわば、この学園は歴史の生き証人なのです。
 これから僕は、それにちなんだ話をしましょう。
 ところで、あなたは戦争に話に抵抗はありませんか?」
  1. 大丈夫
  2. 実はちょっと・・・→シナリオ:呪いのヒトガタ

 シナリオ:戦下の友情


 「僕の手元にこんな資料があります。
 鳴神学園卒業生 三上康幸
 同 種田三郎
 1944年9月鳴神学園卒業。
 徴兵検査を経て、同年12月予備生徒として海軍に配属される。
 これは若くして運命を狂わされた少年たちの記録なのです」


 三上は当時東条内閣により発令されたばかりの『在学徴集延期臨時特例』により、半年卒業を早められて、海軍予備生徒となりました。
 三上は、同じ鳴神学園出身の種田とともに戦闘機の操縦士を目指し、毎日厳しい訓練に明け暮れていた。
 厳しい日常の中、唯一の心の安らぎである消灯前のひと時、三上は隣の種田に話しかけられた。
 「なあ、三上、知っているか?」
 「どうした、そんな深刻な顔をして、お前らしくもないぞ」
 「この訓練所だがな、実は特攻隊員を養成するためのものらしい」


 特攻隊。
 これは敗戦が濃くなった軍部が生み出した、狂気の産物ともいえる戦術だった。
 爆弾を搭載した航空機に乗り込み、敵の戦艦や空母に体当たりを仕掛ける、いわゆる人間爆弾だった。もちろん操縦者は生きてはいられない。まさに命を懸けた最終兵器だった。


 その夜、三上は体が震えてなかなか眠ることができなかった。
 種田の話は本当だった。
 ある日、朝礼に並んだ三上たちの前で上官は特攻隊員への志願者募集の知らせを告げた。
 三上や種田も、うつむいてじっと自分の足元を見つめいた。
 朝礼が終わり、解散の号令が出されても、皆の足取りは重かった。

  1. 怖いと思う→荒井エンディング№08:廊下の幽霊荒井エンディング№09:悔恨
  2. 逃げ出すと思う
    • →「逃げ出されば、どんなに良かったでしょうね。ですが、彼らは自分の命よりも大事なものを守るため、己が運命を受け入れたのです」
  3. わからない
    • →「わからない・・・そうやって、考えを放棄できたら、どんなに楽なことか。でも、彼らは自分の国が、仲間たちが苦しんでいるのを、見て見ぬ振りのできない性格だったのです」
 その夜、消灯前のひと時、三上は種田を人気のない廊下へと呼び出した。
 「実はな、俺、特攻隊へ志願しようかと思っているんだ」
 「え?お前、そう簡単に口にするなよ。特攻の意味がわかっているのか?」
 「俺だって、みすみす死ぬとわかって志願するのは辛い。だが、誰かがやらなければいけないことだ」
 「だからって、何でお前が!お前には、家族がいるじゃないか!」
 「その家族を守るためさ。大本営は勝利ばかりを伝えているが、本当のところはどうだろう。物資は切り詰められ、俺たち年端も行かぬ生徒まで前線に駆り出されるなんて、相当行き詰った証拠じゃないか?」
 「それは皆、口には出さぬが、薄々感じているんじゃないか」
 「そうだろう。沖縄の前線が取り崩されれば、いよいよ本土決戦。そうなれば、この国土が戦場になるんだ。俺たちを育んだ山河が蹂躙され、愛する家族が、敵の刃に晒されるのだぞ!
 なぁ、俺たち兵士はどうせ降伏したら命はないんだ。同じ死ぬのなら、確実に敵艦に一矢報いてやれる方法を選ぶのが、この命をここまで育ててくれた国は、家族の恩に報いるということじゃないのか」
 「馬鹿、三上・・・」
 「言うな種田。俺はもう決めたんだ。笑顔で見送ってくれ」
 種だは何も言うことができず、ただ涙をこらえて、グッと口をつぐんでいた。
 三上は、その肩を軽く叩くと、一足先に宿泊所へと戻って行った。


 翌日、朝礼で特攻隊に志願した者たち数名の名前が発表された。しかし、その中には三上の名前はなく、替わりに種田の名前が告げられた。
 朝礼の後、三上は種田に詰め寄った。
 「種田!あれはお前の仕業か!!
 なぜ俺ではなく、お前が志願したことになっているんだ!!」
 「・・・お前、一人っ子だったろう。
 お前が死んだら、誰が家の跡を継ぐんだ。親御さんの気持ちを考えたことがあるのか?
 その点、俺は3人兄弟の末っ子だ。幸い二人の兄も生きている。それに・・・」
 種田は、三上の胸ポケットをそっと指さした。
 「お前、思い人がいるのだろう?」
 「ど、どうしてそれを?」
 「お前、寝る前には胸の守り袋を必ず取り出して、中の写真を眺めていたじゃないか」
 「・・・」
 「可愛い人だな」
 「あれは、親に決められた許嫁だ。この戦争が終わったら、結婚することになっている」
 「なら、なおさらお前を特攻に生かせるわけにはいかない」
 「しかし!」
 「三上、早まることはない。まず俺が行く。そして、それでも、戦況が打開できないようなら、お前も来い。な?」
 さすがにその言葉には、三上も言い返すことができなかった。


 こうして三上の代わりに種田が特攻隊として、出撃することが決まった。
 当時でも、他に兄弟にいない者や結婚した間もない者は、状況を配慮して特攻から外される傾向にあったので、三上の志願届が受理される前に、種田が上官に掛け合って話をつけたのだろう。
 そして、出征前、種田のたっての願いが聞き届けられ、三上と共に特別休暇が与えられた。
 種田は三上を誘って、懐かしい鳴神の学び舎へとやってきた。
 「やあ、ここだ」
 「なんだ、種田、この大楠がどうかしたのか?」
 「この木は、鳴神学園ができる遥か前から、ここに生えているんだ。
 三上、知っているか?この木はな、約束の楠と言われているんだぜ。
 ちょっと語ってやろう。日清戦争の頃のことだ。
 近くの村から出征した男が、妻との別れを惜しみながら、この楠の幹に名前を彫り込んだ。
 すると、彼の所属していた部隊は全滅したのにもかかわらず、その男だけはただ一人、生きて帰って来たというのだ。以来、この付近の村の男たちは、戦地に向かう際には、必ず名前を彫っていくのだろうだ。
 ほら、見てみろ」
 幹に目を移すと、そこには種田の言う通り、ところどころに人の名前が彫り込まれていた。
 (特攻から生還できるものか。そんな気休めは止めろ)
 そんな、喉元まで出かかった言葉をグッと三上は飲み込み。笑顔で答えた。
 「いや、なんでもない」
  種田も、その笑顔の意味を理解した。
 「さあ、俺たちも名前を彫ろうじゃないか」
 「ああ」
 二人はナイフを取り出し、互いの名前を彫り込んだ。
 「これで、よし!」
 「そうだ、三上。これを持って行ってくれ」
 それは、古びたお守り袋だった。
 「母の形見のお守りだ。幼い頃に死んだ母親が、たった一つ俺に残してくれたものだ」
 「馬鹿、そんな大切なものが預かれるか!」
 「いいんだ。お前に持っていてほしい」
 そう言って、種田は、三上の手のひらに自分のお守り袋を押し込んだ。
 「これさえあれば、俺はまた、この場所まで迷うことなく帰って来られる。例え遠い異国で散ろうと、海の上であろうとな」
 そして、固く手を握り合い、二人は誓った。
 「いつの日か、この場所で。共に学んだ鳴神で再び会おう。約束だ」
 「・・・ああ」


 こうして、種田は帰る術のない戦場へと旅立っていった。
 そしてまもなく、誰も幸せにしなかった泥沼の戦争は終わりを迎えた。
 それから、長い年月が過ぎた。
 あの後、すぐに別の戦場へ配属された三上は、敵の流れ弾に当たって、視力を失うという不幸な出来事にはあったが、かろうじて生き延び、終戦を迎えることができた。
 そして、約束通り故郷の許嫁と結婚し、子供や孫に恵まれた幸せな人生を送った。
 そんなある日、彼は孫娘が押す車椅子に乗って、鳴神学園を訪れた。孫のゆかりは、その年、鳴神に入学したなかりだった。
 そして、三上は、あの日、種田と約束し合った楠の下へとやってきた。
 胸には種田から譲り受けたお守り袋を大事に持っていた。
 年老い、すっかり力が衰えてしまった三上は、木に縋るようにして懸命に立ち、その幹を指で探り始めた。
 「ゆかり、この幹のどこかに、おじいちゃんの名前が彫られてないかい?」
 ゆかりは、楠の幹を満遍なく見渡した。
 「あったわ。少し高いところだけど。
 ほら、手を伸ばせば届くわ。おじいちゃん、触ってみる?」
 ゆかりは、盲目の祖父の手に、自分の手を添えて、幹に刻みつけられた傷へと導いた。すると、見えないはずの三上の目に、鮮やかに二人の名前が浮かび上がった。
 「なんだよ、遅かったじゃないか」
 不意に懐かしい声が響き、三上は振り向いた。
 「この声は・・・」
 「ずっとここで、待ってたんだぜ」
 「種田、種田じゃないか!」
 「お前、すっかり爺さんになっちまいやがって」
 「あれから何年経ったと思っているんだ。お前は、変わらないな」
 「ああ」
 三上は、久しぶりに再会を果たした種田と抱擁を交わそうとしたが、その指が触れる前に、種田の体は楠の幹へと変わっていった。
 「種田。どこへ行った?種田ーーー!」
 「しっかりして、おじいちゃん!」
 ゆかりの声を掛けられて我に戻った時には、三上は楠の幹に取りすがりながら涙を流していた。


 「三上さんは、その後まもなくして、この世を去られたそうです、最後に満足した笑みを残し、旅立っていったといいます。きっと天国で種田さんと再会するのを、楽しみにしていたのでしょうね。
 件の楠ですが、今でもこの鳴神学園の敷地内にあるはずですよ。あなたも暇を見つけれて、訪れてみてはいかがでしょうか」

 荒井エンディング№10:戦下の友情
 CGギャラリー:42/124
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荒井エンディング№09:悔恨


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る


 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 歴史があるからです1人目か2人目の時に出現
  3. 答えたくありません
  4. 美人が多いからです→呪いのヒトガタ
  5. 教師陣がすぐれているからです
  6. 友達を作りたかったからです(5人目か6人目の時に出現)→シナリオ:ゲーマーの条件
 「あたなもご存じのように、ここは大正時代に創立された、由緒ある学園です。いわば、この学園は歴史の生き証人なのです。
 これから僕は、それにちなんだ話をしましょう。
 ところで、あなたは戦争に話に抵抗はありませんか?」
  1. 大丈夫
  2. 実はちょっと・・・→シナリオ:呪いのヒトガタ

 シナリオ:戦下の友情


 「僕の手元にこんな資料があります。
 鳴神学園卒業生 三上康幸
 同 種田三郎
 1944年9月鳴神学園卒業。
 徴兵検査を経て、同年12月予備生徒として海軍に配属される。
 これは若くして運命を狂わされた少年たちの記録なのです」


 三上は当時東条内閣により発令されたばかりの『在学徴集延期臨時特例』により、半年卒業を早められて、海軍予備生徒となりました。
 三上は、同じ鳴神学園出身の種田とともに戦闘機の操縦士を目指し、毎日厳しい訓練に明け暮れていた。
 厳しい日常の中、唯一の心の安らぎである消灯前のひと時、三上は隣の種田に話しかけられた。
 「なあ、三上、知っているか?」
 「どうした、そんな深刻な顔をして、お前らしくもないぞ」
 「この訓練所だがな、実は特攻隊員を養成するためのものらしい」


 特攻隊。
 これは敗戦が濃くなった軍部が生み出した、狂気の産物ともいえる戦術だった。
 爆弾を搭載した航空機に乗り込み、敵の戦艦や空母に体当たりを仕掛ける、いわゆる人間爆弾だった。もちろん操縦者は生きてはいられない。まさに命を懸けた最終兵器だった。


 その夜、三上は体が震えてなかなか眠ることができなかった。
 種田の話は本当だった。
 ある日、朝礼に並んだ三上たちの前で上官は特攻隊員への志願者募集の知らせを告げた。
 三上や種田も、うつむいてじっと自分の足元を見つめいた。
 朝礼が終わり、解散の号令が出されても、皆の足取りは重かった。


 「坂上君。あなたが彼らと同じ立場だったら、どう思いますか?」
  1. 怖いと思う
  2. 逃げ出すと思う
  3. わからない
 「ええ、そう感じるのは当然のことだと思います。ですが、彼らは怖いと思うことさえ許されなかったのです」


 翌日の朝礼で、特攻隊に志願した者たち数名の名前が発表され、その中には種田の名前もあった。
 彼は親友の三上に黙って、志願していたのだ。
 朝礼が終わり、訓練への準備時間になるや否や、三上は種田に詰め寄った。
 「おい、種田、あれはどういうことだ?」
 「すまない。お前に相談せず、決めてしまって」
 「ばかやろう!なぜそんな大事なことを一人で決めたんだ!」
 三上は種田の胸に取りすがりながら声を殺して涙を流した。
 「俺には、相談する価値もないっていうのかよ!」
 「逆だ。お前に相談したら、きっと決心が鈍ってしまうから。だから・・・」
 三上は、種田の瞳から涙が零れ落ちるのを見て、彼の真意を悟った。


 ほどなくして、種田は戦場へと旅立った。
 種田がたった一つしかない命を託すことになったのは練習機だった。
 戦闘機に比べて馬力もない上、思い爆弾を抱えているのだから、速度を出すこともできない。
 種田の乗った機体も、その使命を果たすことなく、敵艦の砲撃の餌食となった。


 「目的を果たすこともできず、若い命を散らしてしまった種田さん。その無念はどれほどのものだったでしょうか。
 ところで、ここ数年のことですが、旧校舎に出るようになったらしいですよ。全身から水を滴らせた、びしょ濡れの日本兵の幽霊がね。
 僕はこの話を先輩から聞いた時、それが遠い戦地から自力でたどり着いた種田さんの魂に違いないと確信しました」


 その先輩の話では、ある生徒が夏休みに旧校舎に忍び込み、友人数人と肝試しをしていた。
 廊下を歩いていると、闇の中にぼうっと何か青白いものが浮き上がって見えた。
 彼らの前に現れたのは、ボロボロになったカーキ色の軍服を身にまとい、崩れそうな体を日本刀で杖のように支えて、かろうじて立っている骸骨だった。
 それはピシャリ、ピシャリと水音を響かせながら近づいきて、地の底から響いてくる声で語りかけてきた。
 「ニホンハ、マケタノカ」


 「旧校舎に現れた霊は、一体何者なのでしょう?」
  1. 悪霊→荒井エンディング№08:廊下の幽霊
  2. 種田の霊
 「あなたもそう思いますか。彼の発したセリフから察すると、そう思うのは正しい判断だと思います」


 「化け物!」
 「逃げろ!」
 彼らは一目散に逃げようとしました。
 でも、その霊が本当に日本を守ろうと命を散らした兵士のものであるなら、これほど失礼なことはない。
 その霊もそう感じたのだろう。自分が命を張って守った日本は、こんな愚かな人間がはびこる国になってしまったのかと、特攻を志願したことを、きっと心の底から後悔しただろう・・・


 翌朝、旧校舎の前で、数人の生徒の溺死体が発見された。そんなところで、溺れ死んでいることも不思議だったが、さらに不可解なことには、その体からは潮の臭いがしたのだそうだ。


 荒井エンディング№09:悔恨
 CGギャラリー:42/124
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荒井エンディング№08:廊下の幽霊


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 4週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:戦いのゴングがなって→新堂エンディング№19~24を見る


 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 歴史があるからです1人目か2人目の時に出現
  3. 答えたくありません
  4. 美人が多いからです→呪いのヒトガタ
  5. 教師陣がすぐれているからです
  6. 友達を作りたかったからです(5人目か6人目の時に出現)→シナリオ:ゲーマーの条件
 「あたなもご存じのように、ここは大正時代に創立された、由緒ある学園です。いわば、この学園は歴史の生き証人なのです。
 これから僕は、それにちなんだ話をしましょう。
 ところで、あなたは戦争に話に抵抗はありませんか?」
  1. 大丈夫
  2. 実はちょっと・・・→シナリオ:呪いのヒトガタ

 シナリオ:戦下の友情


 「僕の手元にこんな資料があります。
 鳴神学園卒業生 三上康幸
 同 種田三郎
 1944年9月鳴神学園卒業。
 徴兵検査を経て、同年12月予備生徒として海軍に配属される。
 これは若くして運命を狂わされた少年たちの記録なのです」


 三上は当時東条内閣により発令されたばかりの『在学徴集延期臨時特例』により、半年卒業を早められて、海軍予備生徒となりました。
 三上は、同じ鳴神学園出身の種田とともに戦闘機の操縦士を目指し、毎日厳しい訓練に明け暮れていた。
 厳しい日常の中、唯一の心の安らぎである消灯前のひと時、三上は隣の種田に話しかけられた。
 「なあ、三上、知っているか?」
 「どうした、そんな深刻な顔をして、お前らしくもないぞ」
 「この訓練所だがな、実は特攻隊員を養成するためのものらしい」


 特攻隊。
 これは敗戦が濃くなった軍部が生み出した、狂気の産物ともいえる戦術だった。
 爆弾を搭載した航空機に乗り込み、敵の戦艦や空母に体当たりを仕掛ける、いわゆる人間爆弾だった。もちろん操縦者は生きてはいられない。まさに命を懸けた最終兵器だった。


 その夜、三上は体が震えてなかなか眠ることができなかった。
 種田の話は本当だった。
 ある日、朝礼に並んだ三上たちの前で上官は特攻隊員への志願者募集の知らせを告げた。
 三上や種田も、うつむいてじっと自分の足元を見つめいた。
 朝礼が終わり、解散の号令が出されても、皆の足取りは重かった。


 「坂上君。あなたが彼らと同じ立場だったら、どう思いますか?」
  1. 怖いと思う
  2. 逃げ出すと思う
  3. わからない
 「ええ、そう感じるのは当然のことだと思います。ですが、彼らは怖いと思うことさえ許されなかったのです」


 翌日の朝礼で、特攻隊に志願した者たち数名の名前が発表され、その中には種田の名前もあった。
 彼は親友の三上に黙って、志願していたのだ。
 朝礼が終わり、訓練への準備時間になるや否や、三上は種田に詰め寄った。
 「おい、種田、あれはどういうことだ?」
 「すまない。お前に相談せず、決めてしまって」
 「ばかやろう!なぜそんな大事なことを一人で決めたんだ!」
 三上は種田の胸に取りすがりながら声を殺して涙を流した。
 「俺には、相談する価値もないっていうのかよ!」
 「逆だ。お前に相談したら、きっと決心が鈍ってしまうから。だから・・・」
 三上は、種田の瞳から涙が零れ落ちるのを見て、彼の真意を悟った。


 ほどなくして、種田は戦場へと旅立った。
 種田がたった一つしかない命を託すことになったのは練習機だった。
 戦闘機に比べて馬力もない上、思い爆弾を抱えているのだから、速度を出すこともできない。
 種田の乗った機体も、その使命を果たすことなく、敵艦の砲撃の餌食となった。


 「目的を果たすこともできず、若い命を散らしてしまった種田さん。その無念はどれほどのものだったでしょうか。
 ところで、ここ数年のことですが、旧校舎に出るようになったらしいですよ。全身から水を滴らせた、びしょ濡れの日本兵の幽霊がね。
 僕はこの話を先輩から聞いた時、それが遠い戦地から自力でたどり着いた種田さんの魂に違いないと確信しました」


 その先輩の話では、ある生徒が夏休みに旧校舎に忍び込み、友人数人と肝試しをしていた。
 廊下を歩いていると、闇の中にぼうっと何か青白いものが浮き上がって見えた。
 彼らの前に現れたのは、ボロボロになったカーキ色の軍服を身にまとい、崩れそうな体を日本刀で杖のように支えて、かろうじて立っている骸骨だった。
 それはピシャリ、ピシャリと水音を響かせながら近づいきて、地の底から響いてくる声で語りかけてきた。
 「ニホンハ、マケタノカ」


 「旧校舎に現れた霊は、一体何者なのでしょう?」
  1. 悪霊
  2. 種田の霊
 「たしかに、旧校舎にいるタチの悪い悪霊が多いですが、現れたこの霊は本当に悪霊なのでしょうか」


 「負けました!」
 その中の一人が叫ぶと、霊の動きが止まった。
 「マ、ケ、タ・・・?」
 「はい、日本は戦争に負けました・・・
 でも、戦後に目覚ましい復興を遂げて、今の僕たちは、平和な生活を送っています。あの・・・なんて言っていいのかわかりませんが、その・・・」
 そして、霊に深々と頭を下げて
 「ありがとうございました」と言った。
 「・・・ソウ・・・カ」
 その一言を聞くと、霊はスーっと闇に消えて行った。


 「真夏に旧校舎に忍び込むと、その霊に会えるそうです。8月15日あたり・・・そう、ちょうど終戦記念日のあたりですね。
 旧校舎は今年、取り壊されてしまうそうですが、そうなったら、種田さんの霊はどこに行ってしまうんでしょうね」


 荒井エンディング№08:廊下の幽霊
 CGギャラリー:42/124
 41:故郷を求めて
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新堂エンディング№24:伝えたかったもの


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為→新堂エンディング№19:へそまがり新堂エンディング№22:強さ
  2. ストレス解消→新堂エンディング№22:強さ
  3. 強くなるため
 「おう、わかってるじゃねぇか。そうだ、ボクシング部にはいる奴は、強くなりてぇと思ってる。
 坂上、お前も男なら強くなりたいと思うか?」
  1. 強くなりたい
  2. 今のままでいい→新堂エンディング№22:強さ
 「男ならそう思うのが普通だ。でもな、本当の強さってのは、腕っぷしで決まるもんじゃない。
 生きていることへの感謝からくるやさしさと、自信。この精神的な強さから本当の強さが生まれるんだ。
 これを履き違えると、とんでもねえ事態を引き起こすことになる」


 新堂が1年生の時、同じ学年に新谷健也という生徒がいた。
 新谷は、同じクラスの粋がっている連中にしょっちゅういじめられていた。
 ここの学校の教師は、そういうのを見て見ぬ振りをするのがほとんどだったが、担任の植野裕樹だけは、この学校には珍しく、いじめを見逃さない、許さない、心に芯のある男だった。だから、新谷はよく植野に助けられていた。
 「またお前らか!やめろって言ってるのがわからんのか!」
 「やべ、植野が来た。逃げっぞ!」
 「新谷、大丈夫か?」
 「はい、ありがとうございます」
 「しかし、あいつらも懲りないな。
 お前に非があるとは言わないが、やはりいじめられた時に対抗できるようにならないとな」
 「はい」
 「そうだ、俺が顧問をやっている部活に入れ。
 そこで鍛えて、あいつらがいじめてきても、やり返せるようにするんだ!
 本来、腕っぷしに訴えかけるのは、気が引けるが・・・」


 植野が顧問をしていたのはボクシング部だったので、新谷は植野に言われるまま、ボクシング部に入部し、植野の指導が始まった。
 「さあ、練習を始めるぞ!ゴングが鳴ったら試合開始だ!」
 「はい・・・」
 「どうした?相手に向かって行かないと練習にならないぞ」
 「あの・・・暴力は・・・」
 「暴力じゃない、スポーツだ。そして、自分を鍛える鍛錬でもある。
 さあ、新谷、がんばるんだ」


 いじめられている人間に、相手に立ち向かっていくという精神を植え付けるのは大変なことだったが、植野はそれを根気よく新谷に教え込んだ。
 「別に相手に怪我を負わせるのが目的じゃないんだ。お前の場合、いじめられないように防衛できればいいんだからな。
 さらにそういうことに怯えない強い心を作らないとな。そして、立ち向かっていく精神を・・・」
 「はい」
 「さあ、頑張るんだ。ゴングが鳴ったら、お前は変わる!
 新谷、お前は強い。いじめっ子なんかには負けないくらい強いんだ!
 さあ、立ち向かえ!」
 そうやって、植野は毎日新谷に、お前は強いんだ、と言って聞かせていた。
 それを繰り返していると、少しずつ新谷の心に変化が訪れた。


 ある日、いじめっ子たちが新谷のズボンを無理やりに脱がそうとした時、新谷は「やめろよ!」と言って、両手でいじめっ子を押しのけた。
 思わぬ反撃を受けたいじめっ子たちは、新谷に向かって拳を振り上げたが、新谷は植野との練習で体が覚えていたので、とっさにそれをよけて、いじめっ子に右ストレートを叩きこんだ。
 その時、騒ぎを聞きつけた植野が現れたので、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
 「先生、僕、逆らえました。立ち向かっていけました!」
 「やったじゃないか、新谷。
 これでもう、俺がいなくても大丈夫だな。特訓もしなくてもいいだろう。
 もともといじめらないように始めた特訓だったんだから、立ち向かっていけるなら、もう必要ないだろう?」
 「あの、僕、ボクシング続けたいです!
 確かに最初は、あいつらに立ち向かっていけるように始めました。でも、ボクシング、大変だけど楽しいし、僕、もっと強くなりたいんです!」
 生徒のやる気に応えてやるのが教師だから、植野は喜んで答えた。
 「よし!じゃあ次の練習試合を目指して特訓しよう。これからは、もっと厳しくしていくからな」
 「はい!」


 最初はやらされている感があった新谷だが、次第にボクシングに目覚めていった。
 植野のおかげで心は強くなった。
 次は本格的にボクシングを極めるために、技術を学んでいった。


 「新谷、お前は精神的にはだいぶ強くなった。次は技術だ。
 ゴングの音が鳴ったら、お前は最強の選手になる!」
 「はい!」
 植野の厳しい指導は毎日続いた。
 新谷は試合まで植野に付きっ切りでコーチしてもらった。


 そして次の練習試合の日になった。
 結果はKO負け。2週間やそこらの付け焼刃で何年もやってる奴にかなうわけない。
 でも、植野は、相手に立ち向かっていく心は評価した。
 「今日は初めての試合で緊張しただろう?」
 「はい」
 「緊張すると、普段の自分の力は出し切れないものだ。それにお前は、ボクシングを始めたばかりだから、これから努力していけばいいだけさ」
 「はい!」
 「ゴングが鳴れば、そこは試合の中なんだから、手加減しなくていいんだ。お前の力をすべて出し切り、本気で相手に立ち向かっていく。
 ボクシングはケンカじゃない。れっきとしたスポーツなんだから、ゴングの音が聞こえたら全力でぶつかっていけ!」
 「わかりました!次は全力でぶつかれるように頑張ります!」
 「よ~し、また明日から特訓だぞ」
 「はい!」


 植野はあんなに弱くて、いじめられてばかりいた新谷が成長し、変わっていってくれたことを喜んでいた。
 新谷も、自分が着実に強くなっていることに嬉しさを隠しきれなかった。


 新谷はどんどん強くなっていった。
 半年も過ぎれば、昔のいじめられていた頃の面影はすっかりなくなっていた。
 リングの上の新谷は強かった。ゴングが鳴ると、まるで人が変わったように鋭いパンチを繰り出すとてつもない集中力の持ち主だった。


 その日、いつもの練習試合を終えた植野は、帰りの方向が一緒だった新谷と帰っていた。
 今日の試合は新谷のKO勝ちで、植野はひどくご機嫌だった。
 こんな日は一杯飲みたい気分の植野は、新谷と別れて、一人居酒屋に立ち寄ることにした。
 「それじゃあ新谷。俺は今日こっちだから」
 「お疲れ様です!」


 新谷と別れ、居酒屋で一杯やっていた植野はほろ酔い気分で夜道を歩いていた。
 どこからか、消防車のサイレンの音がする。
 どこかで火事でもあったんだろうか。そんななことを考えながら、ふらふらと歩いて、家に向かっていると、公園の傍でを通りかかったときに、公園から変なうめき声が聞こえて来た。
 植野は気になって公園に入って行った。
 「助けてくれ・・・」
 植野が公園に入ると茂みの中から、男が這いずり出た。
 顔面を殴られたのか、顔中血まみれで、その口からはごふごふと赤い泡を噴出していた。
 しかし、すぐに茂みに引きずり込まれていった。
 その後すぐに人を殴る音が聞こえて来た。
 「ぎゃっ、やめろ、ぐはっ」
 「おい」
 植野は思わず声を掛けた。
 すると茂みの中から誰かがにゅっと姿を現した。
 その姿を見て、植野は驚きを隠せなかった。
 影から出て来たのは新谷だった。血だらけの手で、顔は薄ら笑いを浮かべている。
 「何をしているんだ、新谷」
 「あれ、先生・・・」
 「お前、こんなをことして、どうなるかわかっているのか?」
 「ゴングが鳴ったんです。試合が始まったから、僕は・・・」
 植野は呆然とした。
 その植野の耳にまた消防車の音が聞こえて来た。消防車の音には、半鐘の音も混じっていた。
 途端、新谷の顔つきが変わった。そして、おもむろにファイティングポーズをとった。
 「ぐわああ!」
 新谷は目の前にいる植野を何も言わず殴りつけた。
 ふいをつかれた植野はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。
 そこへ新谷が馬乗りになって、さらに植野にパンチを浴びせ続けた。
 新谷は一心不乱に植野を殴り続けた。植野の鼻が折れても、眼球が飛び出しても、顎の骨が砕けても。試合のゴングが鳴るまで・・・
 結局、近くの住民が気付いて、警察が来て取り押さえるまで殴るのをやめなかった。
 新谷は自分の両手の骨が折れても殴るのをやめなかった。そのせいか、指の骨がめちゃくちゃに砕け、砕けた骨が皮膚を突き破り、何本もの赤黒い骨が突き出していた。
 手はグローブみたいな大きさに腫れあがり、植野の血を浴びて真っ赤なグローブのような輝きを放っていたそうだ。


 「植野はもちろん死んだよ。
 そして、加害者である新谷は、後を追うように自殺した。手の怪我で搬送された先の病院の屋上から飛び降りたんだ。
 『強くなりたい』そんな純粋な気持ちで始めたボクシングだったのに、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
  1. なぜ植野を殴ったのか→新堂エンディング№20:ゴングが鳴って
  2. なぜその話を知っているのか→新堂エンディング№21:贖罪
  3. なぜ、新谷はそんなに強いのか→新堂エンディング№23:強さの秘訣
  4. 植野はそんなに熱心だったのか
 「あの、植野先生は、なんでそんなに新谷さんに熱心だったんでしょうか」
 「さあな。けど、噂によると、植野は昔すごいいじめられっ子だったらしいぜ。
 毎日激しいいじめに合い、それに抵抗するためボクシングを始めたって聞いた事ある。
 だから、植野の奴は新谷に自分を重ねてたのかもしれねえ。
 それが、こんなことになっちまうなんてな」


 新堂エンディング№24:伝えたかったもの
 CGギャラリー:41/124

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新堂エンディング№23:強さの秘訣


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為→新堂エンディング№19:へそまがり新堂エンディング№22:強さ
  2. ストレス解消→新堂エンディング№22:強さ
  3. 強くなるため
 「おう、わかってるじゃねぇか。そうだ、ボクシング部にはいる奴は、強くなりてぇと思ってる。
 坂上、お前も男なら強くなりたいと思うか?」
  1. 強くなりたい
  2. 今のままでいい
 「男ならそう思うのが普通だ。でもな、本当の強さってのは、腕っぷしで決まるもんじゃない。
 生きていることへの感謝からくるやさしさと、自信。この精神的な強さから本当の強さが生まれるんだ。
 これを履き違えると、とんでもねえ事態を引き起こすことになる」


 新堂が1年生の時、同じ学年に新谷健也という生徒がいた。
 新谷は、同じクラスの粋がっている連中にしょっちゅういじめられていた。
 ここの学校の教師は、そういうのを見て見ぬ振りをするのがほとんどだったが、担任の植野裕樹だけは、この学校には珍しく、いじめを見逃さない、許さない、心に芯のある男だった。だから、新谷はよく植野に助けられていた。
 「またお前らか!やめろって言ってるのがわからんのか!」
 「やべ、植野が来た。逃げっぞ!」
 「新谷、大丈夫か?」
 「はい、ありがとうございます」
 「しかし、あいつらも懲りないな。
 お前に非があるとは言わないが、やはりいじめられた時に対抗できるようにならないとな」
 「はい」
 「そうだ、俺が顧問をやっている部活に入れ。
 そこで鍛えて、あいつらがいじめてきても、やり返せるようにするんだ!
 本来、腕っぷしに訴えかけるのは、気が引けるが・・・」


 植野が顧問をしていたのはボクシング部だったので、新谷は植野に言われるまま、ボクシング部に入部し、植野の指導が始まった。
 「さあ、練習を始めるぞ!ゴングが鳴ったら試合開始だ!」
 「はい・・・」
 「どうした?相手に向かって行かないと練習にならないぞ」
 「あの・・・暴力は・・・」
 「暴力じゃない、スポーツだ。そして、自分を鍛える鍛錬でもある。
 さあ、新谷、がんばるんだ」


 いじめられている人間に、相手に立ち向かっていくという精神を植え付けるのは大変なことだったが、植野はそれを根気よく新谷に教え込んだ。
 「別に相手に怪我を負わせるのが目的じゃないんだ。お前の場合、いじめられないように防衛できればいいんだからな。
 さらにそういうことに怯えない強い心を作らないとな。そして、立ち向かっていく精神を・・・」
 「はい」
 「さあ、頑張るんだ。ゴングが鳴ったら、お前は変わる!
 新谷、お前は強い。いじめっ子なんかには負けないくらい強いんだ!
 さあ、立ち向かえ!」
 そうやって、植野は毎日新谷に、お前は強いんだ、と言って聞かせていた。
 それを繰り返していると、少しずつ新谷の心に変化が訪れた。


 ある日、いじめっ子たちが新谷のズボンを無理やりに脱がそうとした時、新谷は「やめろよ!」と言って、両手でいじめっ子を押しのけた。
 思わぬ反撃を受けたいじめっ子たちは、新谷に向かって拳を振り上げたが、新谷は植野との練習で体が覚えていたので、とっさにそれをよけて、いじめっ子に右ストレートを叩きこんだ。
 その時、騒ぎを聞きつけた植野が現れたので、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
 「先生、僕、逆らえました。立ち向かっていけました!」
 「やったじゃないか、新谷。
 これでもう、俺がいなくても大丈夫だな。特訓もしなくてもいいだろう。
 もともといじめらないように始めた特訓だったんだから、立ち向かっていけるなら、もう必要ないだろう?」
 「あの、僕、ボクシング続けたいです!
 確かに最初は、あいつらに立ち向かっていけるように始めました。でも、ボクシング、大変だけど楽しいし、僕、もっと強くなりたいんです!」
 生徒のやる気に応えてやるのが教師だから、植野は喜んで答えた。
 「よし!じゃあ次の練習試合を目指して特訓しよう。これからは、もっと厳しくしていくからな」
 「はい!」


 最初はやらされている感があった新谷だが、次第にボクシングに目覚めていった。
 植野のおかげで心は強くなった。
 次は本格的にボクシングを極めるために、技術を学んでいった。


 「新谷、お前は精神的にはだいぶ強くなった。次は技術だ。
 ゴングの音が鳴ったら、お前は最強の選手になる!」
 「はい!」
 植野の厳しい指導は毎日続いた。
 新谷は試合まで植野に付きっ切りでコーチしてもらった。


 そして次の練習試合の日になった。
 結果はKO負け。2週間やそこらの付け焼刃で何年もやってる奴にかなうわけない。
 でも、植野は、相手に立ち向かっていく心は評価した。
 「今日は初めての試合で緊張しただろう?」
 「はい」
 「緊張すると、普段の自分の力は出し切れないものだ。それにお前は、ボクシングを始めたばかりだから、これから努力していけばいいだけさ」
 「はい!」
 「ゴングが鳴れば、そこは試合の中なんだから、手加減しなくていいんだ。お前の力をすべて出し切り、本気で相手に立ち向かっていく。
 ボクシングはケンカじゃない。れっきとしたスポーツなんだから、ゴングの音が聞こえたら全力でぶつかっていけ!」
 「わかりました!次は全力でぶつかれるように頑張ります!」
 「よ~し、また明日から特訓だぞ」
 「はい!」


 植野はあんなに弱くて、いじめられてばかりいた新谷が成長し、変わっていってくれたことを喜んでいた。
 新谷も、自分が着実に強くなっていることに嬉しさを隠しきれなかった。


 新谷はどんどん強くなっていった。
 半年も過ぎれば、昔のいじめられていた頃の面影はすっかりなくなっていた。
 リングの上の新谷は強かった。ゴングが鳴ると、まるで人が変わったように鋭いパンチを繰り出すとてつもない集中力の持ち主だった。


 その日、いつもの練習試合を終えた植野は、帰りの方向が一緒だった新谷と帰っていた。
 今日の試合は新谷のKO勝ちで、植野はひどくご機嫌だった。
 こんな日は一杯飲みたい気分の植野は、新谷と別れて、一人居酒屋に立ち寄ることにした。
 「それじゃあ新谷。俺は今日こっちだから」
 「お疲れ様です!」


 新谷と別れ、居酒屋で一杯やっていた植野はほろ酔い気分で夜道を歩いていた。
 どこからか、消防車のサイレンの音がする。
 どこかで火事でもあったんだろうか。そんななことを考えながら、ふらふらと歩いて、家に向かっていると、公園の傍でを通りかかったときに、公園から変なうめき声が聞こえて来た。
 植野は気になって公園に入って行った。
 「助けてくれ・・・」
 植野が公園に入ると茂みの中から、男が這いずり出た。
 顔面を殴られたのか、顔中血まみれで、その口からはごふごふと赤い泡を噴出していた。
 しかし、すぐに茂みに引きずり込まれていった。
 その後すぐに人を殴る音が聞こえて来た。
 「ぎゃっ、やめろ、ぐはっ」
 「おい」
 植野は思わず声を掛けた。
 すると茂みの中から誰かがにゅっと姿を現した。
 その姿を見て、植野は驚きを隠せなかった。
 影から出て来たのは新谷だった。血だらけの手で、顔は薄ら笑いを浮かべている。
 「何をしているんだ、新谷」
 「あれ、先生・・・」
 「お前、こんなをことして、どうなるかわかっているのか?」
 「ゴングが鳴ったんです。試合が始まったから、僕は・・・」
 植野は呆然とした。
 その植野の耳にまた消防車の音が聞こえて来た。消防車の音には、半鐘の音も混じっていた。
 途端、新谷の顔つきが変わった。そして、おもむろにファイティングポーズをとった。
 「ぐわああ!」
 新谷は目の前にいる植野を何も言わず殴りつけた。
 ふいをつかれた植野はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。
 そこへ新谷が馬乗りになって、さらに植野にパンチを浴びせ続けた。
 新谷は一心不乱に植野を殴り続けた。植野の鼻が折れても、眼球が飛び出しても、顎の骨が砕けても。試合のゴングが鳴るまで・・・
 結局、近くの住民が気付いて、警察が来て取り押さえるまで殴るのをやめなかった。
 新谷は自分の両手の骨が折れても殴るのをやめなかった。そのせいか、指の骨がめちゃくちゃに砕け、砕けた骨が皮膚を突き破り、何本もの赤黒い骨が突き出していた。
 手はグローブみたいな大きさに腫れあがり、植野の血を浴びて真っ赤なグローブのような輝きを放っていたそうだ。


 「植野はもちろん死んだよ。
 そして、加害者である新谷は、後を追うように自殺した。手の怪我で搬送された先の病院の屋上から飛び降りたんだ。
 『強くなりたい』そんな純粋な気持ちで始めたボクシングだったのに、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
  1. なぜ植野を殴ったのか→新堂エンディング№20:ゴングが鳴って
  2. なぜその話を知っているのか→新堂エンディング№21:贖罪
  3. なぜ、新谷はそんなに強いのか
  4. 植野はそんなに熱心だったのか
 「あの、新谷さんは、なぜそんなに強かったんでしょうか。いじめられっ子の彼が、こんなに強くなれるなんて、何だか信じられなくて・・・」
 「坂上、一つ教えといてやるよ。
 強さってのは、強くなりたいって思い続けた奴だけが強くなれるんだ。
 新谷は、いじめられっ子だった分、強いものに対する憧れも強かった。
 植野もそんな新谷の心意気に応えて熱心に指導していた。
 それが仇になるなんてな・・・」


 新堂エンディング№23:強さの秘訣
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新堂エンディング№21:贖罪


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為→新堂エンディング№19:へそまがり新堂エンディング№22:強さ
  2. ストレス解消→新堂エンディング№22:強さ
  3. 強くなるため
 「おう、わかってるじゃねぇか。そうだ、ボクシング部にはいる奴は、強くなりてぇと思ってる。
 坂上、お前も男なら強くなりたいと思うか?」
  1. 強くなりたい
  2. 今のままでいい
 「男ならそう思うのが普通だ。でもな、本当の強さってのは、腕っぷしで決まるもんじゃない。
 生きていることへの感謝からくるやさしさと、自信。この精神的な強さから本当の強さが生まれるんだ。
 これを履き違えると、とんでもねえ事態を引き起こすことになる」


 新堂が1年生の時、同じ学年に新谷健也という生徒がいた。
 新谷は、同じクラスの粋がっている連中にしょっちゅういじめられていた。
 ここの学校の教師は、そういうのを見て見ぬ振りをするのがほとんどだったが、担任の植野裕樹だけは、この学校には珍しく、いじめを見逃さない、許さない、心に芯のある男だった。だから、新谷はよく植野に助けられていた。
 「またお前らか!やめろって言ってるのがわからんのか!」
 「やべ、植野が来た。逃げっぞ!」
 「新谷、大丈夫か?」
 「はい、ありがとうございます」
 「しかし、あいつらも懲りないな。
 お前に非があるとは言わないが、やはりいじめられた時に対抗できるようにならないとな」
 「はい」
 「そうだ、俺が顧問をやっている部活に入れ。
 そこで鍛えて、あいつらがいじめてきても、やり返せるようにするんだ!
 本来、腕っぷしに訴えかけるのは、気が引けるが・・・」


 植野が顧問をしていたのはボクシング部だったので、新谷は植野に言われるまま、ボクシング部に入部し、植野の指導が始まった。
 「さあ、練習を始めるぞ!ゴングが鳴ったら試合開始だ!」
 「はい・・・」
 「どうした?相手に向かって行かないと練習にならないぞ」
 「あの・・・暴力は・・・」
 「暴力じゃない、スポーツだ。そして、自分を鍛える鍛錬でもある。
 さあ、新谷、がんばるんだ」


 いじめられている人間に、相手に立ち向かっていくという精神を植え付けるのは大変なことだったが、植野はそれを根気よく新谷に教え込んだ。
 「別に相手に怪我を負わせるのが目的じゃないんだ。お前の場合、いじめられないように防衛できればいいんだからな。
 さらにそういうことに怯えない強い心を作らないとな。そして、立ち向かっていく精神を・・・」
 「はい」
 「さあ、頑張るんだ。ゴングが鳴ったら、お前は変わる!
 新谷、お前は強い。いじめっ子なんかには負けないくらい強いんだ!
 さあ、立ち向かえ!」
 そうやって、植野は毎日新谷に、お前は強いんだ、と言って聞かせていた。
 それを繰り返していると、少しずつ新谷の心に変化が訪れた。


 ある日、いじめっ子たちが新谷のズボンを無理やりに脱がそうとした時、新谷は「やめろよ!」と言って、両手でいじめっ子を押しのけた。
 思わぬ反撃を受けたいじめっ子たちは、新谷に向かって拳を振り上げたが、新谷は植野との練習で体が覚えていたので、とっさにそれをよけて、いじめっ子に右ストレートを叩きこんだ。
 その時、騒ぎを聞きつけた植野が現れたので、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
 「先生、僕、逆らえました。立ち向かっていけました!」
 「やったじゃないか、新谷。
 これでもう、俺がいなくても大丈夫だな。特訓もしなくてもいいだろう。
 もともといじめらないように始めた特訓だったんだから、立ち向かっていけるなら、もう必要ないだろう?」
 「あの、僕、ボクシング続けたいです!
 確かに最初は、あいつらに立ち向かっていけるように始めました。でも、ボクシング、大変だけど楽しいし、僕、もっと強くなりたいんです!」
 生徒のやる気に応えてやるのが教師だから、植野は喜んで答えた。
 「よし!じゃあ次の練習試合を目指して特訓しよう。これからは、もっと厳しくしていくからな」
 「はい!」


 最初はやらされている感があった新谷だが、次第にボクシングに目覚めていった。
 植野のおかげで心は強くなった。
 次は本格的にボクシングを極めるために、技術を学んでいった。


 「新谷、お前は精神的にはだいぶ強くなった。次は技術だ。
 ゴングの音が鳴ったら、お前は最強の選手になる!」
 「はい!」
 植野の厳しい指導は毎日続いた。
 新谷は試合まで植野に付きっ切りでコーチしてもらった。


 そして次の練習試合の日になった。
 結果はKO負け。2週間やそこらの付け焼刃で何年もやってる奴にかなうわけない。
 でも、植野は、相手に立ち向かっていく心は評価した。
 「今日は初めての試合で緊張しただろう?」
 「はい」
 「緊張すると、普段の自分の力は出し切れないものだ。それにお前は、ボクシングを始めたばかりだから、これから努力していけばいいだけさ」
 「はい!」
 「ゴングが鳴れば、そこは試合の中なんだから、手加減しなくていいんだ。お前の力をすべて出し切り、本気で相手に立ち向かっていく。
 ボクシングはケンカじゃない。れっきとしたスポーツなんだから、ゴングの音が聞こえたら全力でぶつかっていけ!」
 「わかりました!次は全力でぶつかれるように頑張ります!」
 「よ~し、また明日から特訓だぞ」
 「はい!」


 植野はあんなに弱くて、いじめられてばかりいた新谷が成長し、変わっていってくれたことを喜んでいた。
 新谷も、自分が着実に強くなっていることに嬉しさを隠しきれなかった。


 新谷はどんどん強くなっていった。
 半年も過ぎれば、昔のいじめられていた頃の面影はすっかりなくなっていた。
 リングの上の新谷は強かった。ゴングが鳴ると、まるで人が変わったように鋭いパンチを繰り出すとてつもない集中力の持ち主だった。


 その日、いつもの練習試合を終えた植野は、帰りの方向が一緒だった新谷と帰っていた。
 今日の試合は新谷のKO勝ちで、植野はひどくご機嫌だった。
 こんな日は一杯飲みたい気分の植野は、新谷と別れて、一人居酒屋に立ち寄ることにした。
 「それじゃあ新谷。俺は今日こっちだから」
 「お疲れ様です!」


 新谷と別れ、居酒屋で一杯やっていた植野はほろ酔い気分で夜道を歩いていた。
 どこからか、消防車のサイレンの音がする。
 どこかで火事でもあったんだろうか。そんななことを考えながら、ふらふらと歩いて、家に向かっていると、公園の傍でを通りかかったときに、公園から変なうめき声が聞こえて来た。
 植野は気になって公園に入って行った。
 「助けてくれ・・・」
 植野が公園に入ると茂みの中から、男が這いずり出た。
 顔面を殴られたのか、顔中血まみれで、その口からはごふごふと赤い泡を噴出していた。
 しかし、すぐに茂みに引きずり込まれていった。
 その後すぐに人を殴る音が聞こえて来た。
 「ぎゃっ、やめろ、ぐはっ」
 「おい」
 植野は思わず声を掛けた。
 すると茂みの中から誰かがにゅっと姿を現した。
 その姿を見て、植野は驚きを隠せなかった。
 影から出て来たのは新谷だった。血だらけの手で、顔は薄ら笑いを浮かべている。
 「何をしているんだ、新谷」
 「あれ、先生・・・」
 「お前、こんなをことして、どうなるかわかっているのか?」
 「ゴングが鳴ったんです。試合が始まったから、僕は・・・」
 植野は呆然とした。
 その植野の耳にまた消防車の音が聞こえて来た。消防車の音には、半鐘の音も混じっていた。
 途端、新谷の顔つきが変わった。そして、おもむろにファイティングポーズをとった。
 「ぐわああ!」
 新谷は目の前にいる植野を何も言わず殴りつけた。
 ふいをつかれた植野はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。
 そこへ新谷が馬乗りになって、さらに植野にパンチを浴びせ続けた。
 新谷は一心不乱に植野を殴り続けた。植野の鼻が折れても、眼球が飛び出しても、顎の骨が砕けても。試合のゴングが鳴るまで・・・
 結局、近くの住民が気付いて、警察が来て取り押さえるまで殴るのをやめなかった。
 新谷は自分の両手の骨が折れても殴るのをやめなかった。そのせいか、指の骨がめちゃくちゃに砕け、砕けた骨が皮膚を突き破り、何本もの赤黒い骨が突き出していた。
 手はグローブみたいな大きさに腫れあがり、植野の血を浴びて真っ赤なグローブのような輝きを放っていたそうだ。


 「植野はもちろん死んだよ。
 そして、加害者である新谷は、後を追うように自殺した。手の怪我で搬送された先の病院の屋上から飛び降りたんだ。
 『強くなりたい』そんな純粋な気持ちで始めたボクシングだったのに、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
  1. なぜ植野を殴ったのか→エンディング№20:ゴングが鳴って
  2. なぜその話を知っているのか
  3. なぜ、新谷はそんなに強いのか
  4. 植野はそんなに熱心だったのか
 「あの、なぜ新堂さんは、なぜその話を知っているんでしょうか?」
 「あ?俺はボクシング部なんだよ。新谷とも同期だった。
 植野の奴、運ばれた病院でも、あんなことされたのに、死ぬまで新谷の事気にしてたな。
 『あいつがこうなったのは・・・俺のせいだ・・・すまん・・・』って顔中ぐるぐる巻きされた包帯の中から、悲しそうに呟いていたよ」


 新堂エンディング№21:贖罪
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新堂エンディング№20:ゴングが鳴って


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為→新堂エンディング№19:へそまがり新堂エンディング№22:強さ
  2. ストレス解消→新堂エンディング№22:強さ
  3. 強くなるため
 「おう、わかってるじゃねぇか。そうだ、ボクシング部にはいる奴は、強くなりてぇと思ってる。
 坂上、お前も男なら強くなりたいと思うか?」
  1. 強くなりたい
  2. 今のままでいい
 「男ならそう思うのが普通だ。でもな、本当の強さってのは、腕っぷしで決まるもんじゃない。
 生きていることへの感謝からくるやさしさと、自信。この精神的な強さから本当の強さが生まれるんだ。
 これを履き違えると、とんでもねえ事態を引き起こすことになる」


 新堂が1年生の時、同じ学年に新谷健也という生徒がいた。
 新谷は、同じクラスの粋がっている連中にしょっちゅういじめられていた。
 ここの学校の教師は、そういうのを見て見ぬ振りをするのがほとんどだったが、担任の植野裕樹だけは、この学校には珍しく、いじめを見逃さない、許さない、心に芯のある男だった。だから、新谷はよく植野に助けられていた。
 「またお前らか!やめろって言ってるのがわからんのか!」
 「やべ、植野が来た。逃げっぞ!」
 「新谷、大丈夫か?」
 「はい、ありがとうございます」
 「しかし、あいつらも懲りないな。
 お前に非があるとは言わないが、やはりいじめられた時に対抗できるようにならないとな」
 「はい」
 「そうだ、俺が顧問をやっている部活に入れ。
 そこで鍛えて、あいつらがいじめてきても、やり返せるようにするんだ!
 本来、腕っぷしに訴えかけるのは、気が引けるが・・・」


 植野が顧問をしていたのはボクシング部だったので、新谷は植野に言われるまま、ボクシング部に入部し、植野の指導が始まった。
 「さあ、練習を始めるぞ!ゴングが鳴ったら試合開始だ!」
 「はい・・・」
 「どうした?相手に向かって行かないと練習にならないぞ」
 「あの・・・暴力は・・・」
 「暴力じゃない、スポーツだ。そして、自分を鍛える鍛錬でもある。
 さあ、新谷、がんばるんだ」


 いじめられている人間に、相手に立ち向かっていくという精神を植え付けるのは大変なことだったが、植野はそれを根気よく新谷に教え込んだ。
 「別に相手に怪我を負わせるのが目的じゃないんだ。お前の場合、いじめられないように防衛できればいいんだからな。
 さらにそういうことに怯えない強い心を作らないとな。そして、立ち向かっていく精神を・・・」
 「はい」
 「さあ、頑張るんだ。ゴングが鳴ったら、お前は変わる!
 新谷、お前は強い。いじめっ子なんかには負けないくらい強いんだ!
 さあ、立ち向かえ!」
 そうやって、植野は毎日新谷に、お前は強いんだ、と言って聞かせていた。
 それを繰り返していると、少しずつ新谷の心に変化が訪れた。


 ある日、いじめっ子たちが新谷のズボンを無理やりに脱がそうとした時、新谷は「やめろよ!」と言って、両手でいじめっ子を押しのけた。
 思わぬ反撃を受けたいじめっ子たちは、新谷に向かって拳を振り上げたが、新谷は植野との練習で体が覚えていたので、とっさにそれをよけて、いじめっ子に右ストレートを叩きこんだ。
 その時、騒ぎを聞きつけた植野が現れたので、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
 「先生、僕、逆らえました。立ち向かっていけました!」
 「やったじゃないか、新谷。
 これでもう、俺がいなくても大丈夫だな。特訓もしなくてもいいだろう。
 もともといじめらないように始めた特訓だったんだから、立ち向かっていけるなら、もう必要ないだろう?」
 「あの、僕、ボクシング続けたいです!
 確かに最初は、あいつらに立ち向かっていけるように始めました。でも、ボクシング、大変だけど楽しいし、僕、もっと強くなりたいんです!」
 生徒のやる気に応えてやるのが教師だから、植野は喜んで答えた。
 「よし!じゃあ次の練習試合を目指して特訓しよう。これからは、もっと厳しくしていくからな」
 「はい!」


 最初はやらされている感があった新谷だが、次第にボクシングに目覚めていった。
 植野のおかげで心は強くなった。
 次は本格的にボクシングを極めるために、技術を学んでいった。


 「新谷、お前は精神的にはだいぶ強くなった。次は技術だ。
 ゴングの音が鳴ったら、お前は最強の選手になる!」
 「はい!」
 植野の厳しい指導は毎日続いた。
 新谷は試合まで植野に付きっ切りでコーチしてもらった。


 そして次の練習試合の日になった。
 結果はKO負け。2週間やそこらの付け焼刃で何年もやってる奴にかなうわけない。
 でも、植野は、相手に立ち向かっていく心は評価した。
 「今日は初めての試合で緊張しただろう?」
 「はい」
 「緊張すると、普段の自分の力は出し切れないものだ。それにお前は、ボクシングを始めたばかりだから、これから努力していけばいいだけさ」
 「はい!」
 「ゴングが鳴れば、そこは試合の中なんだから、手加減しなくていいんだ。お前の力をすべて出し切り、本気で相手に立ち向かっていく。
 ボクシングはケンカじゃない。れっきとしたスポーツなんだから、ゴングの音が聞こえたら全力でぶつかっていけ!」
 「わかりました!次は全力でぶつかれるように頑張ります!」
 「よ~し、また明日から特訓だぞ」
 「はい!」


 植野はあんなに弱くて、いじめられてばかりいた新谷が成長し、変わっていってくれたことを喜んでいた。
 新谷も、自分が着実に強くなっていることに嬉しさを隠しきれなかった。


 新谷はどんどん強くなっていった。
 半年も過ぎれば、昔のいじめられていた頃の面影はすっかりなくなっていた。
 リングの上の新谷は強かった。ゴングが鳴ると、まるで人が変わったように鋭いパンチを繰り出すとてつもない集中力の持ち主だった。


 その日、いつもの練習試合を終えた植野は、帰りの方向が一緒だった新谷と帰っていた。
 今日の試合は新谷のKO勝ちで、植野はひどくご機嫌だった。
 こんな日は一杯飲みたい気分の植野は、新谷と別れて、一人居酒屋に立ち寄ることにした。
 「それじゃあ新谷。俺は今日こっちだから」
 「お疲れ様です!」


 新谷と別れ、居酒屋で一杯やっていた植野はほろ酔い気分で夜道を歩いていた。
 どこからか、消防車のサイレンの音がする。
 どこかで火事でもあったんだろうか。そんななことを考えながら、ふらふらと歩いて、家に向かっていると、公園の傍でを通りかかったときに、公園から変なうめき声が聞こえて来た。
 植野は気になって公園に入って行った。
 「助けてくれ・・・」
 植野が公園に入ると茂みの中から、男が這いずり出た。
 顔面を殴られたのか、顔中血まみれで、その口からはごふごふと赤い泡を噴出していた。
 しかし、すぐに茂みに引きずり込まれていった。
 その後すぐに人を殴る音が聞こえて来た。
 「ぎゃっ、やめろ、ぐはっ」
 「おい」
 植野は思わず声を掛けた。
 すると茂みの中から誰かがにゅっと姿を現した。
 その姿を見て、植野は驚きを隠せなかった。
 影から出て来たのは新谷だった。血だらけの手で、顔は薄ら笑いを浮かべている。
 「何をしているんだ、新谷」
 「あれ、先生・・・」
 「お前、こんなをことして、どうなるかわかっているのか?」
 「ゴングが鳴ったんです。試合が始まったから、僕は・・・」
 植野は呆然とした。
 その植野の耳にまた消防車の音が聞こえて来た。消防車の音には、半鐘の音も混じっていた。
 途端、新谷の顔つきが変わった。そして、おもむろにファイティングポーズをとった。
 「ぐわああ!」
 新谷は目の前にいる植野を何も言わず殴りつけた。
 ふいをつかれた植野はバランスを崩し、その場に倒れ込んだ。
 そこへ新谷が馬乗りになって、さらに植野にパンチを浴びせ続けた。
 新谷は一心不乱に植野を殴り続けた。植野の鼻が折れても、眼球が飛び出しても、顎の骨が砕けても。試合のゴングが鳴るまで・・・
 結局、近くの住民が気付いて、警察が来て取り押さえるまで殴るのをやめなかった。
 新谷は自分の両手の骨が折れても殴るのをやめなかった。そのせいか、指の骨がめちゃくちゃに砕け、砕けた骨が皮膚を突き破り、何本もの赤黒い骨が突き出していた。
 手はグローブみたいな大きさに腫れあがり、植野の血を浴びて真っ赤なグローブのような輝きを放っていたそうだ。


 「植野はもちろん死んだよ。
 そして、加害者である新谷は、後を追うように自殺した。手の怪我で搬送された先の病院の屋上から飛び降りたんだ。
 『強くなりたい』そんな純粋な気持ちで始めたボクシングだったのに、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
  1. なぜ植野を殴ったのか
  2. なぜその話を知っているのか
  3. なぜ、新谷はそんなに強いのか
  4. 植野はそんなに熱心だったのか
 「あの、なぜ新谷さんは植野先生のことを殴ったんでしょうか?」
 「さあな。でも、植野は常日頃から言っていた。『ゴングが鳴ったらお前は強くなる。全力でぶるかれ』ってな。
 それが一種の暗示みたいになってたんだろうな。
 消防車の鐘が鳴ったことでスイッチが入っちまって、その場にいる相手を対戦相手だと思い込んじまったかもしれねえな」


 新堂エンディング№20:ゴングが鳴って
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 2:血に染まるグローブ
 



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新堂エンディング№19:へそまがり


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為
  2. ストレス解消
  3. 強くなるため
 「てめぇ、本気で言ってんのか」
 「ボクシングって、人を殴るだけのスポーツじゃないですか。だから、普通に考えるとそうかなって・・・」
 「ふん、坂上、てめぇには正直がっかりだぜ。ボクシングはそんなもんじゃねぇよ。
 気分が削がれちまったぜ。この話はやめだ、やめだ」



 (新堂さんの機嫌を損ねてしまったようだ)
  1. 話してもらうようお願いする→新堂エンディング№22:強さ
  2. 次の人、お願いします
 「わかりました。では、次の人に・・・」
 「はっ、まったく根性のねぇ奴だな。お前も新聞記者ならもう少し食い下がる根性を見せたらろうだ?」
 「あのー、新堂さん?」
 「俺の話は終わったんだよ。もう話すことはねぇ」


 新堂エンディング№19:へそまがり
 CGギャラリー:40/124
 




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新堂エンディング№22:強さ


 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?

 
 4週目開始!


 1人目は新堂誠を選択。


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:ゴングが鳴って開始!


「ボクシング部に入る奴らは何のために入部すると思う?」
  1. 人を殴る為
  2. ストレス解消
  3. 強くなるため
 「てめぇ、本気で言ってんのか」
 「ボクシングって、人を殴るだけのスポーツじゃないですか。だから、普通に考えるとそうかなって・・・」
 「ふん、坂上、てめぇには正直がっかりだぜ。ボクシングはそんなもんじゃねぇよ。
 気分が削がれちまったぜ。この話はやめだ、やめだ」



 (新堂さんの機嫌を損ねてしまったようだ)
  1. 話してもらうようお願いする
  2. 次の人、お願いします
 「すみません、僕の失言でした。どうか、話を続けてもらえないでしょうか?」
 「いいか、坂上、ボクシングは男のスポーツだ。二度と殴り合いの喧嘩だ、みてえなこと言うんじゃねえぞ」
 「はい、肝に銘じます」
 「しょうがねえな。じゃあ、話を続けてやるよ。
 いいか、坂上。ボクシングは強くなるためにやるんだよ。
 でもな、本当の強さってのは、腕っぷしで決まるもんじゃない。
 生きていることへの感謝からくるやさしさと、自信。この精神的な強さから本当の強さが生まれるんだ。
 これを履き違えると、とんでもねえ事態を引き起こすことになる」


 新堂が1年生の時、同じ学年に新谷健也という生徒がいた。
 新谷は、同じクラスの粋がっている連中にしょっちゅういじめられていた。
 ここの学校の教師は、そういうのを見て見ぬ振りをするのがほとんどだったが、担任の植野裕樹だけは、この学校には珍しく、いじめを見逃さない、許さない、心に芯のある男だった。だから、新谷はよく植野に助けられていた。
 「またお前らか!やめろって言ってるのがわからんのか!」
 「やべ、植野が来た。逃げっぞ!」
 「新谷、大丈夫か?」
 「はい、ありがとうございます」
 「しかし、あいつらも懲りないな。
 お前に非があるとは言わないが、やはりいじめられた時に対抗できるようにならないとな」
 「はい」
 「そうだ、俺が顧問をやっている部活に入れ。
 そこで鍛えて、あいつらがいじめてきても、やり返せるようにするんだ!
 本来、腕っぷしに訴えかけるのは、気が引けるが・・・」


 植野が顧問をしていたのはボクシング部だったので、新谷は植野に言われるまま、ボクシング部に入部し、植野の指導が始まった。
 「さあ、練習を始めるぞ!ゴングが鳴ったら試合開始だ!」
 「はい・・・」
 「どうした?相手に向かって行かないと練習にならないぞ」
 「あの・・・暴力は・・・」
 「暴力じゃない、スポーツだ。そして、自分を鍛える鍛錬でもある。
 さあ、新谷、がんばるんだ」


 いじめられている人間に、相手に立ち向かっていくという精神を植え付けるのは大変なことだったが、植野はそれを根気よく新谷に教え込んだ。
 「別に相手に怪我を負わせるのが目的じゃないんだ。お前の場合、いじめられないように防衛できればいいんだからな。
 さらにそういうことに怯えない強い心を作らないとな。そして、立ち向かっていく精神を・・・」
 「はい」
 「さあ、頑張るんだ。ゴングが鳴ったら、お前は変わる!
 新谷、お前は強い。いじめっ子なんかには負けないくらい強いんだ!
 さあ、立ち向かえ!」
 そうやって、植野は毎日新谷に、お前は強いんだ、と言って聞かせていた。
 それを繰り返していると、少しずつ新谷の心に変化が訪れた。


 ある日、いじめっ子たちが新谷のズボンを無理やりに脱がそうとした時、新谷は「やめろよ!」と言って、両手でいじめっ子を押しのけた。
 思わぬ反撃を受けたいじめっ子たちは、新谷に向かって拳を振り上げたが、新谷は植野との練習で体が覚えていたので、とっさにそれをよけて、いじめっ子に右ストレートを叩きこんだ。
 その時、騒ぎを聞きつけた植野が現れたので、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
 「先生、僕、逆らえました。立ち向かっていけました!」
 「やったじゃないか、新谷。
 これでもう、俺がいなくても大丈夫だな。特訓もしなくてもいいだろう。
 新谷、お前はもう大丈夫だ。お前が反撃できたことであいつらも大人しくなるだろう。
 お前はもう弱い奴じゃないよな?」
 「はい」
 「いい返事だ。それじゃあ、俺はもう行くからな」
 まだ何か言いたげな新谷を残して植野は、その場を後にした。
 責任感の強い植野とはいえ、いじめられるたびに仲裁に入ったりするのに、少し疲れていたのだ。
 それにボクシング部での特訓も、他の部員を差し置き、新谷にばかりつきっきりで特訓をしていたもんだから、当然他の部員から不満の声が上がっていた。
 そういうこともあって、植野も少し新谷のことは重荷に感じ始めていた。
 でも、こうして信谷は反撃することができた。もうあいつは俺がいなくても大丈夫。
 そう思って、今後は極力、新谷のことを構うのはやめようと、植野は思った。


 あの一件以来、いじめっ子たちは新谷にちょっかいを出すのはやめたようだった。
 しかし、新谷の気持ちは複雑だった。
 確かにいじめはなくなったが、いじめっ子たちは新谷の顔を見ると無視するようになった。
 いつも助けてくれた植野も、いじめられない限り、新谷に構わない。
 いじめはなくなったが、新谷は一人になってしまった。
 新谷はもともと内向的な性格だから、自分から友達を作ることはできなかった。


 昼休み、教室から出た新谷は、廊下で大勢の生徒に取り囲まれた植野と鉢合わせた。
 植野は生徒たちからの人気も高く、生徒たちは植野に、いっしょにお昼を食べようと誘っていた。
 植野は、取り巻きの生徒を黙らせてから、思い出したように口を開いて、「そうだ、新谷。お前の一緒に学食で食うか?」と言った。
 しかし、取り巻きの生徒たちは、新谷に対し氷のような視線を投げかけた。
 自分を拒絶する視線だと、新谷は感じた。
 「い、いえ・・・」
 新谷は、そういうのが精一杯だった。
 「そうか、じゃあな、新谷」
 新谷は、生徒たちに囲まれて去っていく植野の背中をいつまでも見ていた。
 身近に感じていた植野の存在を、今は遥か遠くにいるように感じていた。


 放課後、新谷は、自分からいじめっ子に声を掛けたが、いじめっ子たちはいつものように新谷を無視した。
 すると、新谷は、「待ってよ。前みたいに僕のことをいじめてほしいんだ」と言い出したが、いじめっ子たちは「わけわかんないこと言ってんじゃねえぞ」と言いながら、新谷を振り払って去って行った。


 夜、宿直の当番だった植野は、宿直室で日誌を書いていた。
 するとドアが叩かれ、「新谷です」と声が聞こえて来た。
 植野がドアを開けると、全身血まみれになり、うつろな目をした新谷が立っていた。
 「誰にやられたんだ!」
 しかし、新谷は答えない。
 「とにかく、服を脱いで傷口を見せるんだ」
 植野はそう言って新谷の服に手をかけたが、違和感に気づいた。
 新谷の顔や服には傷がないのだ。
 「新谷、これはお前の血じゃないだろう。
 一体これは誰の血だ?」
 「みんな、酷いんですよ。嫌だって言った時はいじめるくせに、いじめてくれって頼んだ時はいじめてくれないんです」
 (まさか新谷があいつらを手にかけたのか?)
 「新谷、お前、どうしてこんなことをしたんだ?」
 「だって、いじめられないと誰も僕のこと、見向きもしてくれない。誰も僕のこと、守ってくれないんだ」
 「新谷、そんなことはない。それよりもこの返り血の奴のところに早く連れて行くんだ」
 「先生は、僕よりもあいつらのことを助けるんですか?」
 「今はそんなこと言っている場合じゃないだろう!早くしないと死んでしまうかもしれないんだぞ!」
 「だめだ!先生は僕を助けてくれなきゃだめなんだ。いつも僕のことを守ってくれなきゃだめなんだ!」
 そういうと、新谷は、植野の首を締めあげた。
 遠くなる意識の中で見た新谷の顔は、目が血走り、まるで鬼が乗り移ったような表情をしていた。
 もう駄目だ、と植野が思った瞬間、何かが千切れたような嫌な音がして、途端に首を絞める力が弱まった。
 新谷は地獄の底から湧き上がるような呻き声を上げながら、腕を抑えて地面を這いずり周っていた。
 腕の筋肉が切れたんだ、と思いながら、植野の意識はそのまま遠くなっていった。


 再び意識を取り戻した時、植野は病院のベッドにいた。
 結局、あの返り血は、植野が察した通り、新谷をいじめていた奴らのものだった。
 いじめっ子は、学校近くの公園の茂みで発見された。
 何とか一命をとりとめたようだが、あちこち殴られ、ボロ雑巾みたにな状態だったそうだ。
 結局あの事件があってから、責任を感じた植野は学校を去った。


 「なんで、弱っちい新谷はそんな力を出せたかって?
 ほら、火事場の馬鹿力って言葉があるだろ。
 人間ってのは、普段は使える力の数パーセントしか使えないよう脳みそが制御しているらしい。
 火事場とか自分がピンチの時にリミッターが外れて、普段の力とはくらべものにならないくらいの力を発揮できるようになる。
 だが、それは自分の体を犠牲にする諸刃の剣だ。加減を知らず、肉体に負担をかけすぎるととんでもないことになる。
 あの時新谷の腕の筋肉が引きちぎられたのも、許容量以上に体を酷使した結果だろうな。
 あいつは弱いままでいたかった。誰かに守られたままでいたかった。
 強かったら誰にも守られる必要はないもんな。
 事件のあと、新谷は入院したよ。もう一生、出てこれることはないがな」


 新堂エンディング№22:強さ
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