今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
シナリオ:
恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
福沢と同じクラスに元木早苗という子がいるが、本当に変なのだ。
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く
声をかけようと思って、近寄ると、それに反応するように震えが激しくなり、ベッドがずずっ、ずずっと動いた。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
「ひゃ、ひゃなえちゃん!」
動揺した福沢はちゃんと名前を呼べなかった。
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
福沢は逃げ出した。
元木は追いかけてこなかったが、エクトプラズムが追いかけてきたが、「やばい、もう捕まる」と思っていた福沢を追い越して、どこかへ行ってしまった。
体育の授業の終わりを告げるベルがなったので、福沢が教室に戻ると、エクトプラズムが福沢の席に座っていた。
もう一度福沢が逃げようとすると、首にからみついてきて、目の中に入ってきた。
それからエクトプラズムはずっと目の中にから出てこない。だから時々目がずごく痛む。
霊には二つのタイプがある。
一つは、去る者は追わずのタイプ。霊を見て逃げる人がいたら、放っておくタイプ。
もう一つは、逃げれば逃げるほど追いかけてくるタイプ。
元木のエクトプラズムは、追いかけてくるタイプの霊だった。
そういう霊に出会ったら、逃げちゃダメ。
さっきの話のエクトプラズムが目の中から出てきても、決して逃げないでね。
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エンディング№132:瞳の中の訪問者
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朝日奈慎也