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ペンション“シュプール”編 24章:地下室への監禁
俊夫は、フロントへ行くと、壁に掛けられた鍵の一つを取り、香山に声を掛けた。
「さあ、こっちへどうぞ、お客さん」
「居心地のええ部屋頼むで」と、香山も空威張りのつもりか、そんなことを言った。
「真理ちゃん、悪いけど、毛布を2、3枚持って来てよ」と、小林が言うと、
「ついでに、雑誌も5、6冊頼む」と、香山が言った。
真理は、2階に上がると、すぐに毛布と雑誌を持って降りて来た。
頼まれたものを渡された香山は、「ほな、おやすみ」と言って、地下室の扉をくぐった。
香山の背中が見えなくなると、俊夫は扉を閉め、鍵を掛けた。
談話室に戻って来た俊夫は、鍵を小林の手に押し付けて言った。
「みんなが起きた後に、開けてやってください。
お二人も、休んでください。俺たちにできることは、もう何もありませんよ」
「そうだな。今日子、さあ、部屋に帰ろう」と言って、小林は、今日子と一緒に立ち上がった。
残ったのは、透、真理、俊夫、美樹本、春子だけだ。
「ほんとうに主人が犯人でしょうか?」とか細い声で、春子が言った。
「僕は状況から推理しただけですから・・・」と、透が言うと、
「おいおい、そんな自信のないことでどうすんだよ」と、俊夫がいらだったように言った。
「でも、あれば犯人の態度でしょうかね」と、美樹本がぽつりと言った。
「証拠がないと思って、安心してやがるのさ」と、俊夫が吐き捨てるように言った。
「でも、警察が来てしまったら、科学捜査で証拠なんかいっぱい出てくるんじゃないですかね」と、美樹本が言うと、
「とにかく、あいつ以外、犯人は考えられないんだよ。俺はもう部屋に戻るからな」と、俊夫は廊下の奥へと去って行った。
春子が、口を開いた。
「わたし、後妻なんです。
あの人、わたしにも子供たちにも優しすぎるくらい優しい人ですけど、仕事の方じゃ、鬼社長とか人でなしとか、相当ひどいこと言われてるんですよ。
でも、わたしには仕事のことは何も言いませんから、実際どんなことをしたのかは知りません。わたし、あの人のほんの一部しか知らないんです」
「でも、香山さんが何かあくどいことをやって来たんだとしても、恨まれる理由になっても、殺す理由にはならないでしょう?」と、透が言うと、
「でも、殺されそうになったら、逆に殺してしまうことだってあるでしょうね」と、美樹本が言った。
「とにかく、奥さんも休まれたらどうですか?」と、真理が言うと、春子は2階へ上がって行った。
「じゃあ、僕も戻ろうかな。君達はどうするんだい?」と、美樹本が聞いてきた。
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