今日の神無迷路はどうかな?
「疲れているみたいだけど、マッサージしてあげようか?」
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。それにしても、会ったばかりでそんな提案をするなんて、少し大胆過ぎやしませんか?」
「ごめん」
「気にしないでください。それに、こんな場所で聞く突拍子もない話って、何だか安心します」
そういいながら霜月は、ベッドの端に腰を下ろし、スカートの裾を優雅に整えた。
「私たち、前にどこかで会ったような気がするんです」
霜月の視線が、サイドテーブルに置かれた波立のリュックに注がれた。
「良志さん、バスに忘れてきたリュックを持ってきてあげた時のこと、覚えてますか?」
「もちろん、覚えているよ。でも、どうしてそのリュックが私のものだってわかったの?」
「これです」
そう言って、霜月はリュックに付いているチャームを手に取った。
それは、波立が愛して止まないバーチャルライバー、白木花のグッズだ。
「白木花、このバーチャルライバーが好きなんですか?」
「もしかしたら知ってるの?配信のテーマが、民俗学、科学、歴史とか、私の興味のある分野ばっかりで、それに声もかわいくて、本当に好きなんだよ!」
「へえ、どれくらい好きなんですか?」
「そうだな、毎日、彼女の配信を聞きながら勉強するくらい?」
「でも、それで集中して勉強できるんですか?」
「もちろんさ。私はそれで毎日12時間勉強している」
「それってほとんど家にいるってことですか?全然そうは見えませんでした」
「そう?でも、ほら髪だってずっと切ってないよ」
「大丈夫ですよ、私は結構好きです」
「とにかく、1日の半分は白木花の配信を聞いてるよ」
「なるほど、バスの中でも聞いてましたもんね」
「聞こえてた?」
「ええ、イヤホンから漏れてました」
「なるほど、それで私のリュックだとわかったんだね」
霜月が、突然、咳払いをした。
「ゴホン。皆さん、こんにちは。今日も見に来てくれてありがとう。オカルト大好きバーチャルライバーの白木花です。今日はどんな楽しいことをしましょうか?」
それは白木花が配信を始める前の定番の挨拶だった。
「もしかして、声真似が得意なの?」
「なんでそっち?どれだけ鈍感なんですか!私が白木花です」
「本当なの!!!」
「ええ、実はずっと言うか迷ってたんですが」
「でも、普段の声と白木の声、全然違くない?」
「そこまで違いますか?」
「なるほど、だからここの都市伝説に詳しかったのか」
「はい、最近私が研究しているテーマなので」
「気づけなくて、本当に申し訳ない」
「大したことないですよ。私もただの人間ですから」
「この実験に参加したのは、都市伝説を研究するため?」
「それも理由の一つです。個人的なことですが、とにかく、研究所でどんな実験をしているのかを知りたいんです」
「君のファンとして、君が決めたことならなんでも応援するよ」
「そう言っていただけて本当にうれしいです。ありがとうございます」
- A:「サインってもらたり?」
- → 波立はリュックからノートを取り出した。
- 「もちろん、いいですよ、でも、私、そんな有名じゃないし、サインに価値なんてないですけど」
- 「そんなこと言わないでよ。私にとっては、かけがえのない宝物なんだから」
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- B:「今って彼氏とかいるの?」
- →「また直球ですね。いつもそうなんですか?」
- 「ごめん、無神経だった」
- 「焦らないでください、良志さん。私はゆっくりの方が好きなんです」
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- C:「あの、もう一度やってくれない?」
その後も、二人はバーチャルライバーについて雑談を続けた。→
31.夕食へ
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