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今日の
かまいたちの夜×3はどうかな?
「そや、ニュースや」と、唐突に香山が叫んだ。
「天気予報とか見れるやないか。それに気分も変えた方がええ」と言って、香山はリモコンを取り上げ、テレビのスイッチを入れた。
チャンネルを次々に変えていくと、ちょうどニュースのヘッドラインをやっていた。
『全国的に降り続いた大雪で、各地で交通事故、雪崩などの被害が続出してますが、今のところ死者は出ていない模様です。
さて、最初にお伝えするニュースは、逃走中の銀行強盗のニュースです。
昨日、白昼堂々、三夕銀行新宿支店を襲い、現金約2億円余りを強奪した犯人の行方は依然掴めておりません。目撃者の証言によれば、犯人は身長165センチ前後、やせ型の男だということです。逃走用に使ったと思われる黒のクーペを、警察は、各所に検問を設けて、捜索を続けています』
「今頃は東南アジアかどっかに高飛びしとるわ」と、香山が言い出した。
透は、香山がわざとこんな話をしだしたと思い、話に乗ることにした。
「現金2億円持って、飛行機には乗らないでしょう」
「2億円なんて、新札やったら、スーツケースに十分入るやろ」
真理も話に乗って来た。
「でも、持って行けたって、海外では使えないでしょ?銀行に持って行ったりでもしたら、番号ですぐにばれるだろうし」
「腐っても円や。ドルよりも喜ばれる国かてある。闇で交換してくれる連中がどこにだっておるもんなんや」
俊夫も口を挟んできた。
「俺だったら、日本にいたいね。しばらく田舎町でほとぼりが冷めるのを待つね」
「あかんあかん。田舎町やったら人の出入りがすぐわかる。外国に行かんのやったら。都会の方がええ」
「でも、犯行現場の近くにいたくはないのは、人情でしょう」
「観光地だったら、よそものもたくさん出入りするわよね」と、真理がぽつりと言った。
「シーズン中のスキー場とか」と、香山が言ったので、皆がぎくっとなった。
「あの殺された田中さんって、逃走中の銀行強盗だったりして」と、透が話し始めた。
「田中さんの身長って、どれくらいでした?」と、小林に訊ねた。
「175以上はあったと思うな。でも確かに、まともじゃない雰囲気はあったよな。でかいスキー用のバッグは持っていたけど、スキーをしに来た感じには見えなかった」
「ちょっと待って。普通、銀行強盗する時って、最低でも運転手は必要じゃないの?だったら、田中は運転手の方じゃないかしら。仲間割れして、共犯者に殺された」と、真理が言った。
「それならありうる。ということは、犯人は165センチくらいのやせ型の男か」
一番近いのは、小林だ。小林は165センチくらいでやせ型だ。
小林は、自分に視線が集まっているのに気付いて、こわばった笑みを浮かべた。
「小林君が東京の銀行を襲えるわけがあらへん。毎日ここで仕事があるんやさかい」と、香山が言った。
「でも、考える方向は合ってたんじゃないかしら。あの田中さんって言う人、どう見てもスキーしに来たって感じじゃなかったわ。人目を避けている様子もあったし、こんなところに来たのは、何か後ろ暗い理由があったに違いないわ」と、真理が言った。
ふと、透は、犯人は田中さんの死体をバラバラにしなければいけない理由が、何かあったのだろうか?と思った。
- A:身元を隠すため
- B:どこかへ運ぶため
- →ふつうはこれが一番の理由だろう。しかし、田中は自分の泊っている部屋で殺されたわけだから、この理由は当てはまりそうにない。
- C:恨み
- →ただ殺しただけではとても晴らせないほどの深い恨みが動機だったのだろうか?
「スキーなんか来るんじゃなかった。帰りたい」と、3人組は全員で泣き出した。
今日子がふらふらと歩き出した。
「どこへ行くんだ?」と小林が尋ねると、
「何か落ち着くようなものでも・・・」
「嫌よ!人殺しかもしれない人の淹れたものなんて、飲めるわけないじゃない!」と、亜希が叫んだ。
「奥さんが犯人であるわけないじゃないですか。もしそうだとしても、今までさんざん飲み食いしてきたんですよ。全員を殺す気なら、とっくにもうみんな死んでますよ」と、透が3人組を落ち着かせようと、できるだけ静かな声で言った。
「分かりました」と、亜希はしぶしぶだが納得してくれた。
「じゃあ、あたしが一緒に行きます。運動神経はいい方だから、誰かが襲ってきたら一緒に撃退してやるわ」と、真理が言った。
今日子と真理がキッチンに行ってしまうと、「朝までこうしてるしかないのかな」と、俊夫がぽつりとつぶやいた。
「それが一番でしょう。犯人は神出鬼没な奴です。一人で部屋にこもって、鍵をしっかりかけたとしたって、安心して眠れますか?」と、透が言うと、
「確かに安心なんてできないな。もし犯人が全員を殺すつもりだったら、こんなまどろっこしい方法を取ると思うか?俺だったら、まだみんなが警戒しないうちに、もっと殺しておくね」と、俊夫が言った。
「残った人間に恐怖を味合わせるのが目的だったら・・・
つまり、犯人はこの中の誰かに強い恨みを抱いていて、殺すだけじゃ飽き足らない。だから、怯えさせた後で最後に殺す、っていうつもりじゃないかってことさ」と、美樹本が言い出した。
「じゃあ、恨まれている人以外は関係ないんでしょうか?」と、啓子が聞いてきた。
「僕は頭を殴られたわけだが、不思議と殺意は感じられなかったな。無関係な人間を殺すつもりはないのかもしれないよ」
「ふざけたことを言うな!みどりは一体どうなるんだ!犯人はすでに無関係の人間を殺してるんだ」と、怒りをあらわにした俊夫が言った。
「無関係かどうか、どうしてわかるんだい?
申し訳ない。ただいろいろ考え合わせると、犯人はどうしても殺さざるを得ない時だけ殺しているようが気がしたものだから・・・」
「みどりに殺されなきゃいけない、どんな理由があったっていうんだ」と、言って、俊夫は泣き出した。
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