今日の神無迷路はどうかな?
霜月が懐中電灯を点けると、薄明かりの下で泡立つ波紋が水面に浮かび上がったのが見えた。
波立「もしかして、生存者か?」
霜月「早く手を貸してあげてください」
ずぶ濡れになった2つの人影が見えた。波立はそのうちの一つに手を伸ばし、引っ張り上げた。もう一人は自ら鉄骨から飛び上がってきた。
一人は若林で、もう一人は見たことのないがっしりとした体格の男だった。
若林は激しく咳き込んでおり、明らかに大量の水を吸い込んでいた。
霜月が若林の背を優しく叩き、肺の中の水を吐き出させるのを手伝った。
もう一人の男は自らの力で立っており、その腕には水中でもがいた時についたと思われる新しい傷が刻まれていた。
波立「大丈夫ですか?」
男「私は大丈夫だ、心配しないでいい。
あなたたちは今日の実験の参加者ですか?」
波立「はい、全員そうです」
男「私は、ここの警備員で武田といいます。水漏れがあった際、B3階で巡回していました」
若林「私もその時B3階にいたんです。武田さんのお陰て命拾いしました。ただ他の方は・・・」
武田「何を言ってるんですか?他の方は、後で私が探しに行きます」
若林「正気ですか!いつ液体キセノンが漏れ出すがわからないんですよ」
武田「これが私の仕事です。ここの科学者を守らなければならない」
霜月「ここは地下なので通常より水圧が高くなります。潜るのであれば専用の潜水装備が必要です」
武田「そんなに深く潜るつもりはない」
若林「スタッフのほとんどはB4階の会議室にいたはずです。
そして、清水さんと他3人の実験参加者はB6階の実験室にいます。
みんなかなり深いところにいるんです」
武田「わかったから、もう何も言うな!ちょっと見てくるだけだ。懐中電灯をくれ」
武田は懐中電灯を受け取ると、一切の躊躇なく飛び込んだ。
霜月「急いで上に助けを求めましょう」
若林「その通りですね」
そう言って、若林は整備室の扉を鍵で開けた。
整備室の隅には、1台のコンピュータが静かに光を放っていた。
若林はそのコンピュータの前に立ち、素早くキーボードを叩き始めた。
若林「ダメです、通信が途絶えています」
霜月「地震のせいですか?」
若林「おそらく」
波立「それなら上の人たちが異常に気付いて、何らかの対策を練ってくれてますよね」
若林「そうですね。ただ、こんな地下では救助作業もそう簡単にはいかないでしょうね。
水の中で見たんです。エレベーターはもう・・・水底に沈んでいる」
波立「嘘でしょ!」
黒川「それじゃあ、もう救助は来んのか?」
若林「この状況では、臨時の救助用エレベーターを作るしかないでしょ。幸い、支柱は無事です」
黒川「それにどれくらいかかる?」
若林「そんなこと、わかるわけないでしょ」
黒川「君は責任者やないんか?」
若林「誰がこんなことになるなんて予想できるんです!」
霜月「冷蔵庫にある中身で何日持ちますか?」
若林「1週間はいけます。節約すれば半月は持つでしょう」
霜月「それなら、まだ最悪な状況ではないですね」
若林「これが唯一の朗報かもしれませんがね」
その後、一行は整備室を出て、水面を眺めた。
武田が潜水してしばらく経つが、まだ戻る気配はない。
若林「液体キセノンが漏れていなければいいですが・・・」
波立「液体キセノンって何ですか?」
若林「暗黒物質がキセノン原子に衝突すると、検出可能な光信号を生じるため、私たちは液体キセノンを暗黒物質の観測装置の媒体として使用しています。ですが、液体キセノンの沸点は非常に低く、漏れるとすぐに蒸発して水中で爆発を引き起こし、それが巨大な衝撃波を発生させます」
霜月「その衝撃波がここまで影響を及ぼすと?」
若林「確かではありませんが、念のため、水面からは離れていたほうがいいでしょう」
雪村「そんな危険は状況で、救助を待てって言うの!」
若林「他に方法がありません。
ここで立っていても仕方ありませんので、休憩室でこれからのことを話し合いましょう」
- A:みんなと一緒に休憩室に行く
- B:一人でいたい(この時点ではまだ選択不可)
みんなと一緒に休憩室に入った。
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