今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福田のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間のシナリオ:下半身ババア→エンディング№168・169を見る
4人目は荒井のシナリオ:いみぐい村→エンディング№74・75を見る
5人目は細田のシナリオ:トイレの恋→エンディング№270~272見る
6人目は新堂のシナリオ:高木ババア→エンディング№001・002・004・005を見る(エンディング№03は7話目のエンディングの影響するので、あとでプレイします)
語り部6人に話が終わったのに、7人目はまだ姿を見せない。
新堂に「どうするんだ?」と促された坂上。
- もうしばらく待ちましょう
- 新堂さんの意見を聞きたい
- 帰りましょう
シナリオ:
うしろの正面
「なあ、坂上。7人目は結局まだ来ねえけど、どうするんだよ」
皆、待たされた不満が噴出したのか、好き勝手に文句を言い出した。
岩下が席を立ち、つかつかとドアに向かって歩き始めたので、他の皆もそれに続いて席を立った。
「待ってください」と坂上は皆を呼び止めた。
「僕が話をします。七不思議は七話揃わないと、終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますので、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
「皆さん、ありがとうございます。それで、最近僕が体験した話と、昔起きたとある話とどちらをご希望でしょうか」
「へえ、お前は怖い話が苦手だったんじゃねえのか。それなのに、俺たちに選択させてくれるっていうのか?」
「せっかくですので、よければ新堂さんが選んでいただけますか?」
「よし、俺が聞きたいのは・・・」
「これは僕の体験談です。僕でも皆さんが知らない怖い話を一つだけ知っています。その龍は、僕の話を聞けは理解していただけると思います」
「今から1年ほど前、僕はまだ中学3年生でした。正確に言うと僕の中学で体験した話なのですが・・・・
皆さんは、たった一人になってしまった時ってありませんか?
普段はいつも人通りのある道なのに、突然人がいなくなり自分だけになってしまったってことってありませんか?
それがもし学校で起きたとしたらどうしますか?
例えば、休み時間にトイレに入る。いつもは誰かしらいるはずのトイレ。入って、ふと見ると誰もいない。
変だなと思って用を済ませてトイレから出ると、今までたくさんの人がいたはずの廊下に誰もいない。そんな経験はありませんか?
驚いて窓から校庭に目をやるとそこにはたくさんの生徒たちが遊んでいる。ほっとして廊下に目を戻すと、いつの間にかそこにはたくさんの人たちの姿がある。
ほんの一瞬前に見た、誰もいない背景がまるで嘘のように、そこにはいつもの日常が動いている。そんな経験はありませんか?」
坂上がそう話していると、荒井が聞いてきた。
「本当にそんなこと気にかけて日常を生活しているんですか?」
「始めは僕もそんなこと気にしていなかったかもしれません。でも、あの出来事を切っ掛けに僕は誰もいない空間がとても恐ろしくなってしまったんです」
1年ほど前の雨の日に放課後。
靴箱で、朝方傘立てに突っ込んでおいた、坂上の傘がなくなっていた。
仕方ないので教室においてあった、予備の置き傘を取りに戻った。
3階にある自分の教室を目指して、2階から3階への階段を上がろうとしたとき、坂上は異様な違和感を覚えた。
坂上の耳に自然と流れ込んでいた生活音がピタリと止まった。
辺りを見るとさっきまでいたはずの人がどこにもいない。
なのに、坂上は突然怖くなったので、慌てて人を探した。
すると、2階から3階へと上がる階段の踊り場に、学生服を着た男子生徒が一人立っているのを見つけた。
彼は奇妙なことに壁を向いて立っていた。しかも、踊り場の四つ角の隅にぴったりと体を寄せるようにして立っていた。
階段の踊り場の角にぴったりとへばりつくように人が立っているという光景は、非日常的な違和感として坂上の目に飛び込んできた。
次の瞬間、日常の雑踏音が聞こえ、3階から数名の女子生徒が小走りで降りてきた。
改めて辺りを見回すと、そこにはいつもの学校で見かける当たり前の光景が広がっていたので、坂上は平常心に戻った。
もう一度見直すと、彼は確かにそこに存在していた。
坂上は、踊り場に佇む後ろ姿の彼は見ないように努め、そのまま3階まで駆け上がった。
坂上は教室に置いてあった置き傘を手にしたあと、彼とは会いたくなかったので、別の階段から帰ることにした。
それから1カ月ほどたった、ある日また坂上は同じような経験をした。
坂上が母親とデパートへ行ったとき、母親は洋服を買いに特売場に向かい、坂上はほしいCDがあったので別の階に向かった。
特売場のある階から階段を下りているとき、坂上は周りに誰もいないことと、踊り場の隅に一人の男性が立っていることに気づいた。
Tシャツとジーパン姿の彼は、学校で出会った彼とはもちろん別人だと思うが、彼も同じようにぴったりと隅に体を押し込むように密着させ、立っていた。
恐怖に襲われた坂上だったが、階段の下から一組の親子連れが上がって来たので、自分を取り戻し、CD売り場に行くことを諦め、特売場の母親を探しに行った。
坂上が彼らのことをはっきりと意識するようになったのはあれからで、それからというもの、階段を見ると、必ず踊り場の隅を見るようになっていた。
今までの2回の例に考えると、彼らは階段の踊り場に現れる、そしてその時坂上以外は誰もいないということだ。
なので、坂上は周りに誰かいないかを常に気を配るようになった。人がいないということは、彼らが現れる危険信号のように思えたから。
やがて、坂上は彼らの存在というよりも、彼らの行為自体に興味を持った。彼らは、あんなところに立って、いったい何をしているのだろう。
ある日、家に誰もいないとき、坂上はこっそりと階段の踊り場の片隅に立ってみた。彼らが立っていたのと同じように、ぴったりと壁に体を押し付けるようにして、立ってみた。
でも、何も起きなかった。
当たり前だが、坂上は、自分のしていることがおかしくなり、一人でクスクスと笑ってしまった。
それがきっかけて、坂上の気持ちは少し楽になり、階段を見ても普通に歩けるようになった。
そんなある日、学校で彼と初めて会った階段の踊り場の隅に「あそこに僕の求めているものがある」と坂上は感で感じ、無意識のうちにふらふらと彼が立っていたあの隅に誘導されていった。
坂上は誘われるまま、ゆっくりとその隅に立った。
「このまま、ここに居続けていたい。許されるならば、僕はもうこの壁に寄り添って生きていきたい。このまま壁になってしまってもいい」と坂上は本気で願った。
坂上はふっと現実に引き戻された。背後にとても危険な存在を感じた。
その存在は、震える唇を坂上の右耳に近づけてつぶやいた。
「そこは僕の居場所だから」
坂上は、それが学生服の彼だと理解した。ここは、彼の場所なのだ。
とっさに坂上がその場を退くと、学生服の彼はその隙間に滑り込んできた。
その時の坂上の気持ちは、やっと自分が手に入れたものが、本当は他人のものだったという焦燥感だった。
坂上はそのあとすぐに母親と一緒に行ったデパートに向かった。
もしかしたら、あそこは彼のものじゃないかもしれないと思いながら。
あの踊り場でも、学校で感じたものと同じものが待っていた。
そして、周りに誰もいないことに気づいた。
「もしかしたらこの場所は僕が立っても許されるんじゃないか」
坂上が隅に立とうとしたら、背後に恐ろしいほどの殺気を感じたためすごすごと引き下がった。
そして、それが当然だとでも言っているかのように、一人の男が隅に陣取った。やはりあの時の男だ。
それからというもの、坂上は自分の場所を探すようになり、いくつもの場所を探し当てることに成功した。
そして、いくつかのことがわかった。
まず、人通りの多い場所であること。必ず、階段の踊り場だということ。そして、周りに誰もいないということ。
しかし、残念なことに必ず、それらの場所には先客がいて、誰かが立っているか、坂上が立とうとすると背後に現れるのだ。
もしかしたら、彼らは誰かを殺めることで自分の場所を手に入れたかもしれない。事実、そう思わせるような事件が起きた。
去年の大晦日、図書館が火事になるという事件が起きた。
誰もいないはずの休館日に火事があったのに、二つの死体が見つかり、真冬の怪談をして騒がれた。
その図書館は、例の踊り場があった。
結局、身元不明のまま無理心中という線でうやむやになってしまったが、例の場所のある建物が次々と火事になったりしたらどうなるのだろう。どの建物からも二つの死体が発見されたら・・・
坂上はやっと幸いにも誰もいない自分の場所を見つけた。
それは、この学校の旧校舎にあった。
「僕は思い違いをしていたんです。人通りの多い場所にあるのではなく、あるいは死体が埋まっている場所とか。
僕は自分のいるべき場所を見つけたのですから、この学校にとても満足していますよ。
僕の話が本当かどうか、よければここにいる皆さんにそれを確認してもうらいたいんですよ。
だって、旧校舎はこの夏休みに取り壊されるんですよね?
僕は、その時生き残っている自信がないんですよ。きっと僕は旧校舎がなくなるとき、一緒にいなくなってしまうと思います。
やっと見つけた僕の居場所。それがなくなるなんて、気が狂いそうなんです。僕の居場所で最期を迎えた方が幸せですよね。だから、皆さんにこの話をしたんです。
もし旧校舎が取り壊されたとき、僕が死んだらきっとテレビのニュースでやるはずです。
だから、確かめてください。僕が本当に死んだか。そして、死体はいくつ見つかったのか」
エンディング№428:うしろの正面
エンディング数 36/657 達成度5%
キャラクター図鑑 38/122 達成度31%
イラストギャラリー 27/283 達成度9%
にほんブログ村PR