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チラシの裏~勇者弐位のゲーム日記

 ゲーム大好きな大阪のオバチャンのほぼゲームのことしか書いてない日記。10年やってたブログがプログラム書き換えられて海外の怪しいサイトに飛ばされるようになったんで、2017年4月に引っ越ししてきました。10年分の過去記事が36MBもあるし、データが壊れてるのか一部送れないものもあり、まだまだインポートの途中(;^_^   過去記事分は引っ越しで持ってきたものなので、表示が一部おかしいかもm(__)m  

岩下エンディング№02:二人だけの世界



 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね」
  1. あります
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「あなたは人を裏切ったことがあるのね。
 あなたは人に裏切られ、同時にまた人を裏切っている。正直な人ね。でも、それが普通の人間だと思うわ。
 人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。
 人間ってね、とても勝手な生き物だわ。裏切ることは簡単にやってのけるのに、裏切られることはとっても嫌いなのよ。
 そして、裏切った事実は記憶の奥に消し去るくせに、裏切られた記憶はいつでも引き出せるよう引き出しの一番前にしまっておく。
 きちんと、人を裏切ったことを認められる人間だもの、あなた、偉いわ。好きになってしまいそうよ、あなたのこと。
 人によっては、裏切られることが美徳だと考える人もいるわね。私は、そういう人を偽善者って呼ぶことにしているわ。
 だって、人に裏切られた喜んだり、すぐに許せてしまうような人間を、あなたは信じられる?そんな奴こそ、私は許せない。
 私はね、裏切られることが大嫌い。もし私を裏切る奴がうようものなら、殺してやる。人を裏切るんだったら、死ぬ覚悟で臨まなくちゃね。
 私ね、今までに人に裏切られたことないの。私はね、人に裏切られるくらいなら、先に裏切ってあげるの。だってそうでしょう?自分が嫌な思いをするのよ。だから、自分が嫌な思いをする前に、相手に嫌な思いをさせることにしているのよ。
 相手が起こそうとしている間違いを、起こす前に教えてあげることは、とても正しい行為ね。
 だから、私は相手を裏切ろうが傷つけようが心が痛んだこともないのよ。私は正しいことをしているんですもの。
 あなた、汗をかいてるわ。私が拭いてあげましょう。逃げなくてもいいのよ。
 親切で、言ってるの。あなたが私の親切を無碍にするということは、立派な裏切り行為よ。
 私ね、生まれたからには、死ぬまで幸せで満足のいく人生を送りたいとおもっているの。
 いいえ、思っているだけじゃなくて、私は実行するわ。私の幸せな人生を邪魔する奴だから、当然の報いとして死んでもらうの。
 私の親切を無駄にしないでね。
 そう、いい子ね。あなたの汗が一滴残らずなくなるまで、拭いてあげる。だから、おとなしくしていなさいね。
 ほら、きれいになった。
 いいこと、せっかく私が汗を拭いてあげたんだから、もう汗を流さないでね。あなたが汗を流すとね、私の親切が無駄になってしまうの。
 せめて、私の話が終わるまでは汗なんか流さないで。あなたが私を裏切らないのなら、これから先あなたのこと、目をかけてあげてもいいわ。
 だから、私を裏切らないで。これから私が話すのは、人を裏切ることなんかなんとも思っていない人間の話
 そういえば、あなたは、人と付き合ったことある?
 今あなたが付き合っているのなら、それとも、もしこれから誰かと付き合おうというのなら、いつか必ず別れというもおが訪れるでしょうね。その時、あなたから別れてあげるのよ。
 ようは、あたが苦しまなければいいんですものね。愛すれば愛するほど、別れは辛くなるものよ。
 私に興味ある?もちろん人を好きになったことも、お付き合いしたこともあるわよ。でも、私は人に裏切られたことが一度もないから。
 相手が私の事を心から相手していることがわかったら、別れてあげるわ。私が泣くのは嫌ですもの。
 だって、恋愛なんて必ずどちらかが傷つくのよ。私の場合、たまたま相手が傷ついているだけですもの。別れるのが嫌ならが、最初から付き合わなければいいんですもの。
 相手を愛する気持ちが、強ければ強いほど、別れは悲惨になるものだから。でも、そういうのって、第三者として見ているのはおもしろいわね。
 だから、私も近くに仲のいいカップルがいると、ついつい注目してしまうわ」


 岩下のクラスの仲のいいカップルがいた。
 名前を佐藤直之と本田佐知子といった。


 「ねぇ、愛し合う二人に終止符が打たれる場合、あなたはどんな理由が多いと思うかしら?」
  1. 二人の誤解
  2. 性格の食い違い
  3. 気持ちが冷めたとき
 シナリオ:偽りの愛


 「もちろん、そういうこともあるでしょうね。
 でも、一番多いのはそうじゃないわ。どちらかの気持ちが冷めるときよ。
 人間の感情ほど当てにならないものはないから、うふふ。そんなものを頼りに恋愛は始めるでしょう?
 だから、愛情なんて簡単に冷めるわ。くだらないきっかけで燃え上がった愛情は、くだらないきっかけで冷めるものよ。
 そのきっかけで一番多いものはね、心変わりというやつよ。
 目の前に食べたこともない、おいしそうな食べ物があったら、あなたはどうする?とりあえず、食べてみるんじゃないかしら?
 それで、食べたあとはその人次第ね。今まで食べていたものの方がおいしいと思う人いれば、新しい食べ物に心を奪われてしまう人もいる。
 でもね、一番多いのは両方とも食べ続けたいと思う人ね。恋愛もそれと一緒よ。ただ、食べるものに感情という厄介なものがあるというだけの違いね」


 岩下、佐藤、本田の3人は1年生の時、同じクラスで、その頃から、佐藤と本田は意識し合っていた。
 1年生の3学期が始まったとき、新しいクラス委員を決めるのだが、本田が図書委員に決まった。
 すると図書委員は各クラスに2名いるのだが、本田が2人目の図書委員に立候補した。
 佐藤も本田も目立たない平凡な高校生だった。そんな本田が、図書委員に立候補するということは、一大決心だったに違いない。
 それから、二人の仲は急速に進展していき、みんなも気づき始めて噂するようになった。
 まわりが噂するようになってから、帰宅部の二人は一緒に登下校するようになった。
 二人は人気者というわけじゃなかったが、みんなから嫌われているわけでもなかったので、誰もがごく普通に温かく見守り、放っておいたから、二人の仲は進展した。
 佐藤と本田は、別に誰もがうらやむようなカップルというわけでなく、ごく普通の仲の良いカップルだった。
 誰もがうらやむようなカップルとは、外見も経歴も非の打ち所のないようなカップルのことだ。


 2年生になり、岩下、佐藤、本田はまた同じクラスになった。
 ある日、佐藤の前に、及川由紀が現れた。
 及川は人のものを欲しがる人間だった。幸い人のものは取ろうとしなかったけれど、いつもみんなのものを物欲しそうな顔で見ている卑しい人だった。しかも、その人が大事そうに使っていたり、大事そうにしているものを欲しがる。
 本田はポーカーフェイスができない人だったので、佐藤と付き合っている時も幸せそうにしていた。
 及川は、本田が幸せそうに付き合う佐藤を欲しくてたまらなくなってしまった。
 及川は、派手な顔立ちをしており、男の扱いにも手慣れていた。ボーイフレンドは何人もいたけど、特定の彼氏はいなかった。
 一つの食べ物じゃ満足できない典型的なタイプで、おいしいものをたくさんわまりに置いといて、食べたいものを食べたいときに食べるタイプだった。


 ひと月も経たないうちに、及川は誰が見たってはっきりとわかるほど、あからさまに行動を始めた。
 岩下は噂話に聞いてきただけだで見たわけじゃなかったが、及川は佐藤と本田のデートにまで割り込んでいたみたいだ。二人ともあまり隠し事とかうまいほうじゃなかったから、及川の前でデートの約束でもしたのだろう。
 そして、佐藤と本田は、今までのような楽しい顔をあまり見せなくなった。
 別の女のに言い寄られてもはっきりとしない彼、ほかの女が言い寄ってきているのに何も言わない彼女。表面的には言葉にしないけれど、二人は本当に自分が愛されているのか、不安になったのだろう。
 本田は、もともと明るい子ではなかったが、このころから一層暗くなった。
 佐藤は、本田にあまり近づかないようになり、及川といることのほうが多くなった。
 そして、本田も二人に近づかなくなった。
 それでも佐藤は、本田のことに未練があったのか、及川がいないときだけ、本田に申し訳なさそうに近寄って行った。


 そんなある日、及川は、「本田さんのことが嫌いなんだったらはっきり言ってよ!あたし、こんなに佐藤くんのこと、好きなのに!」とみんなの前でそんなことを言って泣き出した。もちろんウソ泣きだろうけど。
 そして、及川は本田のところに行き、「本田さん、あたしたち友達でしょ?佐藤くんのことはっきりしてよ。これじゃ、佐藤くんがかわいそう」と言った。
 本田は何も答えず、佐藤も本田に声は掛けなかった。
 二人の付き合った半年間は恋愛ごっこだった。
 少なくとも佐藤にとっては、本当に相手のこと好きだったのではなく、人を好きになれるのであれば誰でもよかったのだろう。
 だって、最初に行動を示したのは本田だったし、佐藤はその誘いに乗っただけ。
 きっと佐藤は、自分をリードしてくれる人ならば誰でもよく、自分をリードしてくれる人がより魅力的な人であれば、すぐに鞍替えする男だった。


 それから1週間も経たないうちに佐藤は行動を起こした。
 皆の前で佐藤は本田に向かってきっぱりと「悪いけど、俺はもう君とは付き合えないから」と言ったのだ。
 及川がそうしろって詰め寄ったのだろうが、今までの佐藤なら絶対にできなかったはずだ。
 でも、簡単にやってのけたということは、佐藤は付き合う相手によって人間が変わるタイプだったのだ。
 結局、本田は何も言えなかった。
 それから、佐藤は本田のことなんか見向きもしなくなり、本田も佐藤には一切近づかなくなった。


 及川が佐藤とべたついていたのも3日くらいだった。
 傷ついたプライドも元に戻ったし、それまで放っておいた男友達を遊ぶ方がよっぽど楽しいことを思い出した及川は、付きまとう佐藤が疎ましくなり、手のひらを返したように冷たくなった。
 及川にとっては、佐藤はあんまりおいしい食べ物じゃなかったのだ。見た目はすこぶるおいしそうに見えたのに、味見してみたら、どこにでもある味だった。
 そして、佐藤は完全に捨てられらた。


 佐藤が及川に捨てられてすぐのこと、本田がまた佐藤に接近し始めた。
 本田は佐藤のことが真剣に好きだったので、及川に弄ばれた佐藤がかわいそうに思え、そんなときこそ自分がついていてあげなければならないという使命感でも芽生えたのだろう。
 そして、佐藤はまた本田と付き合い始めた。
 しかし、一度裏切りの味を覚えた飼い犬は、その味が忘れられず、その味を求めて同じ失敗を繰り返すものだ。
 そして、及川もせっかく手に入れたものがまた離れてしまったので、おもしろくなかった。
 学習できない及川は、今まで以上に仲良くなっていた佐藤と本田を、今まで以上に邪魔するようになったが、同じく学習できない本田も及川に何も言えなかった。
 しかし、佐藤は少し学習したようで、及川に「俺が好きだったのは本田さんなんだ」と言った。
 プライドが音を立てて崩れて行った及川は、怒りで本物の涙を浮かべ「ひどいよ!本気ですきだったのに!」と言って、教室を飛び出した。


 岩下は、及川がどんな反撃をするのか興味津々だったが、次の日から及川はとことん二人を無視した。
 それから2週間ほどして、今まで話しかけてきたことのない及川が、岩下に相談しに来た。
 岩下にとって、人の悩みにを共有することは、その問題に巻き込まれるということなので、人の相談に乗ることは、死んでも嫌なことだった。だから、及川を無視していると、及川は嘘泣きで勝手に悩みを打ち明け始めた。
 「私、子供ができちゃったみたいなの。佐藤くんの子供みたい。私、どうしていいかわかんないよ」
 及川は、本田以外のクラスの女子全員に同じことを相談していた。
 佐藤に真っ先に相談すればいい話を、他の人に打ち明けていることから、その話が嘘だっていうことは誰にでもわかったが、みんなは野次馬だった。
 一瞬にして及川は悲劇のヒロインの地位を奪い取り、佐藤に極悪人という役を与えることにもなった。
 クラスの女子は、責任をとるよう佐藤に詰め寄り、悪態を浴びせた。
 思い当たる節があったのか佐藤は反論せず、本田も何も言わなかった。


 その日の夜、佐藤は自分の部屋で首を吊って死んだ。自殺だった。
 遺書には、及川の妊娠のことについては何も触れていなかったが、悪いのは自分だ、という類のことが震えた文字で書かれていた。
 佐藤の性格からいって、責任をとらなればならないとい罪悪感に駆られたのだろう。


 翌日、及川は、「私が悪いんじゃないわ!私は被害者なのよ!」と言いながら教室で泣きじゃくった。
 及川の話を聞てい佐藤に詰め寄った女子たちは、自分たちのせいで佐藤がしんでしまった恐怖で、涙を流していた。
 クラスで泣かなかった女子は、岩下と本田だけだった。


 「大事な時にはっきりと自分の気持ちを伝えられなかった本田さん、騙されていることがわかっていながら誘いに乗ってしまった佐藤くん、自分の欲しいものはどんなことをしてでも手に入れたがる欲張りの及川さん。あなたは、誰が一番悪いと思う?」
  1. 及川由紀→岩下エンディング№01:偽りの愛
  2. 佐藤直之
  3. 本田佐知子
 「煮え切らない態度をとって二人の女の子を天秤にかけた佐藤君の罪は重いわ。
 どちらかを選ばないということは、二つのどちらも選べる可能性をいつまでも残しておきたいからでしょう?私だったらそんな男、絶対に許さない。
 でも、そんなこと起こるわけないわ。だって、私がそんな男のことを好きになるわけないもの。だから、私は誰にも裏切られない。誰も私を裏切ることはできないのよ。うふふふ。
 あた、あなた、汗をかいているのではなくて?せっかく私が汗が拭いてあげたというのに、私の事裏切るの?・・・そう、違うのね」


 佐藤が死んで何週間か経ったあと、岩下は放課後の教室でぼんやりしていたら、肩を叩かれた。
 振り向くと本田だった。
 お互い興味がなかったので、岩下と本田が近寄ったのはこれが初めてだった。
 「何かしら?私、自分の時間を邪魔されたくないのよ。用があるのならが、はっきりと言ってほしいんだけれど」と岩下は言った。
 本田は無表情で岩下のことを見ていた。
 普段の岩下は相手の顔を見るとたいていの場合、その人が何を考えているのかがわかるのだが、この時の本田が何を考えているかはわからなかったため、思わず警戒した。
 「岩下さんって、ずうっと私たちのこと見てたでしょ?」
 岩下は、本田のことを鈍くさい女の子と思っていたが、本田は岩下が観察していることに気づいていたのだ。
 裏切られた気分になった岩下は、初めて本田に興味を示した。
 「ええ、去年、あなたが図書委員に立候補する前からね」
 すると、本田は笑った。佐藤と一緒にいるときの笑顔を岩下にくれた。
 「知っていたわ。話したことがなかったけれど、私たち事、ずっと見守ってくれたのね。ありがとう」と言って、本田は頭を下げた。
 岩下は、面倒な問題に巻き込まれたくなかったので、ただ見ていただけなのだが、本田は勘違いして、岩下に感謝していた。
 「だからね、岩下さんにだけは教えてあげる。今ね、佐藤君は私のところにいるの」
 「どういうこと?」
 「来ればわかるわ。このことは誰にも話したくなかったんだけど、私たちのことを見ていてくれた岩下さんになら、教えていいと思ったの。だから、ね?」
 岩下は都合のいい相手にされるのはごめんだと思ったが、一度だけ本田を信じてみることにした。
 「ええ、いいわよ」
 「うれしい!今日は一緒にかえりましょう」
 「ええ」


 そして、岩下と本田は一緒に学校を後にした。
 「ねえ、聞いて。赤ちゃんができていたのは、及川さんだけじゃなかったの。私もね、うふふ。もう何カ月もアレが来ないのよ」
 そう言って微笑みながら、本田は嬉しそうに自分のお腹を撫でた。
 「佐藤君は死んでしまったけど、私にはこの子がいるわ。だから、大切に育てなければいけないの」
 しばらく歩いているうちに、本田は岩下を一軒の家に案内した。人通りの少ない裏路地に面したその家は、壁にツタが這い、もう何年も使われていないかのように古びていた。
 「ここは?」
 「昔、私の家族が住んでいたところよ。でも、今は誰もいないの」
 「そんなところに入ってもいいのかしら?」
 「ここの大家さんはうちの親戚だから。ほら、鍵だって持ってるし」
 本田はポケットから出した鍵で、玄関の扉を開けた。


 「私たちの新居にようこそ」
 玄関を入ってする、なんともいえない匂いがして、岩下は鼻を押さえた。
 そして、室内には羽音がうるさいぐらいに大きなハエがたくさん飛び回っていた。
 でも、本田は岩下の不快な反応など気にならないかのように、下駄箱からレースのついて可愛らしいスリッパを出して、岩下に勧めてくれた。
 そして、本田は、奥の部屋に向かって、こう声をかけた。
 「ただいま、佐藤君」
 「えっ!」
 「最初はびっくりするかもしれないけど」と言って、本田は暖簾をそっと上げて奥の部屋を見せてくれた。
 天井から針金で吊るしてあるそれは、レインコートみたいな形に見えた。
 でもそれは、全身から剥した皮だった・・・
 本田は、変わり果てた姿の佐藤を針金から外して、胸に抱きしめた。
 「告別式のとき、クラスみんなで佐藤君の家に行ったでしょ?あの後、私一人で戻って、佐藤君に会いに行ったんだけど、我慢できなくなっちゃった。
 棺桶の中の佐藤君はね、とても苦しそうな顔をしていたの。きっと一人で寂しかったんでしょうね。だから、私、ここに連れてきてあげたの」
 本田は、佐藤の家族の目を盗んで、お通夜の夜に死体を盗んできたのだ。
 「ここなら、ずっと一緒にいられるわ。この子だって、パパがいた方が寂しくないもんね。
 お肉は全部食べちゃった。私の血となり、肉となって、この子の栄養になるように。骨ははだ、とってあるわ。剥製ができたら、中に詰めるのよ。この子に見せてあげましょう」
 皮は、背中できれいに切り開かれていた。
 そして、本田は、まるで服でも着るかのように、佐藤の皮膚を腕に通して、自分の腕と顔に被った。
 緑色に変色し、ひどい腐臭を放っていた佐藤の皮膚の下から、うっすらと本田の笑顔が透けて見えた。
 あんなに楽しそうな本田を、岩下は学校では見たことがなかった。
 「よかったわね」と岩下が言うと、本田は、「岩下さんなら、きっとわかってくれると思ってた」と言った。
 突然、本田が着ていた皮を脱いで、言った。
 「見つけた」
 「何が?」
 「蛆よ!」
 本田は鬼のような形相になって、佐藤に湧いた蛆を潰し始めた。
 岩下は、いつまでもそんなところにいるのは嫌なので、黙って帰ってしまった。


 「本田さんは、今でも学校に通ってきているわ。お腹はなかなか大きくならないけど、今でも彼の子がいるって信じているみたいね。
 あたなも私のクラスにきたら、誰が本田さんかすぐにわかるはず。彼女の身体からは、染みついて離れない腐臭がするからね。うふふふ」
 『この女は、本田さんの様子を観察して楽しんでいるんだ。いっそ、この女に張り付いた皮をはがしてやろうか』
 そんな強い不信感を坂上は持った。


 岩下エンディング№02:二人だけの世界
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HN:
勇者弐位
性別:
女性
職業:
大阪のオバチャン
趣味:
ゲーム
自己紹介:
 ゲーム大好きな大阪のオバチャンです。
 やりたいゲームは発売日に買ってるが、プレイする時間がまったく足りてないでの、クリアするのはいつになるのやら・・・

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