屍人荘の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ (創元推理文庫)
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今日の
屍人荘の殺人はどうかな?
「剣崎比留子、どこかで聞いた名前だと思ったらが、ようやく思い出した。以前、警察に名刺配りに行った際、俺が神紅大学だと知って彼女の名前を漏らした刑事さんがいたんだった。なんでも警察ですら手を焼いた難事件、怪事件の数々に挑み、類まれなる推理力を発揮して解決へと導いた探偵少女なんだと」
剣崎が待ち合わせ場所に現れる前に、明智が葉村にそう教えてくれた。
「それが本当なら、マスコミが放っておかないと思いますが」
「どうやら彼女の実家は横浜ではかなりの歴史のある名家らしくてな、彼女が事件に関わるたびに報道を対して厳しい制限がけられるらしい」
「でもどうして今まで彼女と接触しようとしなかったんですか」
明智の性格からして、そんな風変わりな女性が同じ大学にいると知れば真っ先に会いに行きそうなものだが。
「俺にもプライドというものがある。彼女の実力は本物だ。それに比べ俺はまだなにもしていない。肩を並べるには早い」
だが奇妙な話だ。それほどの実力を持つ彼女が、大学の一サークル内での脅迫状騒ぎになどいちいち興味を示すだろうか。加えて明智たちにも合宿の参加を要請した理由もわからない。
明智が真面目な声音で言った。
「ともかく、彼女にはまだ得体の知れんところがある。取引の目的も不明だし、こっちもせいぜい気を付けることにしよう」
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