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チラシの裏~勇者弐位のゲーム日記

 ゲーム大好きな大阪のオバチャンのほぼゲームのことしか書いてない日記。10年やってたブログがプログラム書き換えられて海外の怪しいサイトに飛ばされるようになったんで、2017年4月に引っ越ししてきました。10年分の過去記事が36MBもあるし、データが壊れてるのか一部送れないものもあり、まだまだインポートの途中(;^_^   過去記事分は引っ越しで持ってきたものなので、表示が一部おかしいかもm(__)m  

第十二章 八日目 その3



 今日の十角館の殺人はどうかな?


 翌3月26日、6人は島へやって来た。
 彼らは何も気づいてはいなかった。
 この日の夜、風邪でぐあいが悪いという理由で、皆よりも一足早く部屋に引きこもった。水断ちをしていたのはこのためだ。
 軽い脱水症状が、風邪によく似た症状を引き起こすということを知っていた。下手に仮病を使うわけにはいかなかった。医学部生のポウの目が、やはり気になったからだ。逆に、彼に診てもらって不調の確認を得られれば、誰からも怪しまれずに済む。
 ホールで続く歓談を背に、ウェットスーツに着替え、必要品の入ったナップザックを持って、窓から外に忍び出た。岩場に降りてボートを組み立て、夜の海をJ崎へ。そこからバイクでO市へ駆ける。
 そうして自分の部屋に帰り着いたのが、11時ごろだっただろうか。さすがに体は疲れ切っていたが、肝心なのはそれからだった。
 すぐに江南の部屋に電話をかけた。自分が確かにO市にいたという証人として、彼を利用するためである。
 その時の電話は通じなかった。しかし、期待通りに彼が動いていれば、いずれ連絡が来るはずだ。あるいはすでに何度か、向こうから電話してきているのかもしれない。ならばきっと、どこへ行っていたのかを問われるだろうが、その時のための口実はちゃんと用意してあった。
 6人が島へ行っている間の、本土における自分の行動を証明するものとして、事前に用意しておいた、それが、あの摩崖仏の絵だった。いや、正確にはあれらの絵、と複数形で呼ぶべきであろう。絵は全部で3枚あったからだ。
 木炭デッサンの上に薄く彩色した段階のもの。ナイフで全体に色を重ねた段階のもの。そして完成段階のもの。
 昨年の秋、傷心に身を任せ、当てもなく訪れた国東半島の山中で出会った風景だった。その時の記憶を頼り、季節を早春に置き換えて、製作途中の各段階を示すそれらの絵をあらかじめ描いておいたのである。
 12時が近づいた時、ようやく電話が鳴った。
 案の定、江南は餌に喰いついてきた。その日のうちに、鉄輪の中村紅次郎宅まで行ってきたという。しかし、そこで彼が知り合った島田潔という男の登場には、若干の当惑を覚えずにはいられなかった。
 証人が複数であるに越したことはない。だが、度を過ぎた介入は困る。適当な探偵ゲームに自分を誘い込んでくれるだけで良かったのだ。
 幸いなことに二人の関心は、現在でなく過去に向かいつつあった。少なくとも6人を追いかけて島まで渡ろうと言い出す心配はなさそうだ。国東まで絵を描きに行っていることを示した上で、翌日の夜また連絡をくれるようにと約束した。その思い付きで、安心院の吉川政子を訪れてみてはどうか、と示唆したのは、二人の注意をなるべく現在の角島からそらすためでもあった。
 二人が帰ると、少しだけ仮眠を取った。そのあと、夜明け前に再びバイクでJ崎に行き、海岸に繋いでおいたボートで角島へと急いだ。
 十角館に戻ると、ホールに誰もいないことを確かめ、例のプレートをテーブルに並べた。
 (あのプレートは、いったい何だったんだろう)
 あらかじめ刑の宣告をしておかねばアンフェアだという、妙な義務感に囚われたのか。
 おそらく、自分の屈折した心理の所産があれだったのだ、と思う。


 2日目の夜は、1日目よりもさらに早い時間に部屋に引き揚げることができた。ホールを去る際にカーと一悶着あったが、それも何とか切り抜けられた。
 3日目以降はもう、本土に戻る予定はない。水分を補給して、少しでも早く体調を回復させる必要があった。
 角島からO市までの道程は、前夜以上に辛く厳しいものだた。
 部屋に辿り着くと、とにかく水分の補給に努めた、江南と島田がやって来て、角島事件に関す津議論が始まってからも、やたらと何杯も紅茶を飲んでいた。
 翌日からはO市には帰ってこない予定だったので、一通り自分の役どころを演じ終えたあとは、できるだけ二人に話に否定的な態度を取らねばならなかった。自分はもうこの件から降りる、と宣言し、翌日以降、彼らが連絡してくることのないよう釘を刺す。
 前日と同様、夜明け前には島へ戻った。 にほんブログ村 ゲームブログ 今日やったゲームへ
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勇者弐位
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大阪のオバチャン
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ゲーム
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 ゲーム大好きな大阪のオバチャンです。
 やりたいゲームは発売日に買ってるが、プレイする時間がまったく足りてないでの、クリアするのはいつになるのやら・・・

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