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チラシの裏~勇者弐位のゲーム日記

 ゲーム大好きな大阪のオバチャンのほぼゲームのことしか書いてない日記。10年やってたブログがプログラム書き換えられて海外の怪しいサイトに飛ばされるようになったんで、2017年4月に引っ越ししてきました。10年分の過去記事が36MBもあるし、データが壊れてるのか一部送れないものもあり、まだまだインポートの途中(;^_^   過去記事分は引っ越しで持ってきたものなので、表示が一部おかしいかもm(__)m  

A Novel:出題編



 今日のかまいたちの夜 輪廻彩声はどうかな?


 雪国


 真理と二泊三日のスキー旅行へ来た透。
 列車を下りて、迎えに来ていたワゴン車に乗る。
 運転手は、真理の叔父の小林二郎さん。ペンション シュプールのオーナーだ。


 ゲレンデへ


 荷物を置くのもそこそこに、着替えを済ませ、スキー一式を借りた。
 小林さんは、もうじきお客さんが来るということなので、二人だけでゲレンデに行ってほしい、と言って、ワゴン車のキーを渡した。
 真理は何度も行ってるらしく、迷うことなく15分後にゲレンデにたどり着いた。
 12時を回っていたので、透は、先に昼飯、と言ったが、真理に、とりあえず1回滑ってから、と拒否されてしまった。
 スキーが初めての透は、1mごとに転び30分かかって初心者コースを降り切った。
 透が、お願いだから、昼飯にしよう、と頼むと、しぶしぶ食堂へ行くことを承知してくれた。
 遅めの昼食のあと、更なる特訓が待ち構えていたが、帰るころには、何とかボーゲンでゆっくりと降りてくることはできるようになっていた。
 日が落ちるにつれて、空は急に曇りはじめ、不穏な風も吹き始めたので、透が、そろそろ帰ろう、と懇願すると、空を見た真理は、「今夜は荒れるから、早めに帰りましょう」と答えた。
 駐車場を出るころには雪が降り始め、ペンションに付く前にすでに本降りになっていた。
 真理が突然、「こんな夜は・・・」と言い出すが、「何でもない」と言って止めてしまう。


 ペンション 『シュプール』


 ペンションにたどり着いてよく観察してみると、ログキャビン風の外観に、白を基調にしたおしゃれな内装で、隅々まで清潔にされていて、気持ちよさそうな宿だった。
 乾燥室へスキー一式を入れて、透と真理は中へ上がった。
 車の音を聞いて小林さんが、出迎えてくれた。
 その時、談話室に中年の夫婦が座ってこちらを見ていることに気が付いた。
 軽く頭を下げると、小林さんが、「自分が昔世話になった人で、大阪で会社をやっておられる香山さんと奥さんの春子さん、こっちは私の姪の真理と、大学の友人の透君です。」と紹介してくれたので、お互いに軽く挨拶をした。
 小林さんは、「夕食は7時からだから、着替えてシャワーでも浴びてくるといい」と言って、キッチンへ戻っていった。
 透と真理の部屋は当然別々だった。
 透は、部屋に付いているユニットバスで軽く汗を流して、服を着るとベッドに倒れ込んだ。
 うとうととまどろんでいると、ノックの音がし、真理が呼びに来てくれていたので、いっしょに談話室へ降りた。
 談話室にはさっきの香山夫妻に加えて、3人の女の子たちがいた。
 真ん中のカナちゃんと呼ばれているやせた髪の長い子が、左手に持った赤ペンで、情報誌に印をつけていた。
 向かって右側にいるのは、ケイコと呼ばれていたぽっちゃりしたかわいらしいショーとカットの女の子だ。
 左側にいるのは、大きなメガネをしており、アキと呼ばれていた。
 突然、真理に、「どの子が好みなの?」と聞かれた。
 透は、「違うって」と言い訳しようとすると、鳩時計が7時を告げた。
 反射的に腕のデジタル時計を見ると、18:55だった。
 舌打ちが聞こえたので、そっちを見ると香山さんが、高級そうな自分の腕時計を合わせていた。
 小林さんが、談話室へ入ってきて、「食事の用意ができました。どうぞ食堂の方へ」と声をあけた。
 食堂のテーブルには、談話室にいた香山さん夫妻とOL3人組に加えて、サングラスをかけた三十前後ぐらいの男が座った。
 アルバイトの女の子と小林さんの奥さんが、料理を運ぶ間、小林さんが、全員の名前を紹介し始めた。
 「こちらの3人は、東京からいらした、渡瀬可奈子さん、北野啓子さん、河村亜希さん。そちらの渋い男性は、田中一郎さんとおっしゃします。」
 三人組は頭を軽く下げたが、田中さんは無反応だった。
 食事はおいしく、そして十分な量があった。
 食後のコーヒーを飲み終えた田中さんは、そそくさと二階へ引き上げていき、残る全員が談話室へ集まった。
 しかし、みんなが腰を落ち着ける間もなく、突然すべての御借りがチカチカと瞬き、そして消え、女の子たちの悲鳴が飛び交った。
 誰かの手が、透の腕をまさぐりきゅっとつかんだ。真理だ。
 透は、安心させるように、自分の手を重ねた。
 闇に浮かぶ腕時計は、20:15を指していた。
 小林さんが、「落ち着いてください、すぐにロウソクを持ってきますから」と声を掛けた。
 小林さんが暗闇の中をスイスイと歩く気配がし、常備してあった懐中電灯を見つけて点けた。
 暗闇の中に小さな光が広がった。
 小林さんは、「今日子、いっしょに来てくれ」と、二人で談話室を出ていくと、再びあたりは闇に包まれた。
 三人組は、ささやきあっていたので、透は真理の手を触れながら、「大丈夫、すぐに元に戻るよ」と言った。
 懐中電灯の明かりが戻ってきた。小林さん夫妻がロウソクを持ってきてくれたようだ。
 広いテーブルの上で、それらを立てて火をともすと、何とか周りの人々の顔が見えるようになった。
 「風が強くなってきたようなので、どこかで送電線が切れたんだとしたら、今晩の復旧は無理かもしれません」と小林さんが申し訳なさそうに言った。
 「見たいテレビがあったのに」と亜希ちゃんが言った。
 小林さんは、「こんなことはめったにないんで、自家発電とかの用意をしていないんです」と言った。
 真理は立ち上がって、窓際に行き、カーテンをめくって外をうかがい、「雪がひどくなってるみたい」と言った。
 アルバイトのみどりさんと言う女の子が、「せっかくこんな雰囲気なんだがら、怪談話なんかするのもいいじゃないですか?」と言い出した。
 啓子ちゃんが嬉しそうに、「そういうの全然ダメなのー」と答える。
 俊夫さんも、「いいね」と賛同する。
 小林さんが、「部屋に戻りたい方がいたら、部屋まで送りますし、ロウソクもお貸しします」と訊ねたが、誰も名乗り出なかった。
 透は、大勢の中で怖い話を聞くのと、一人で暗い部屋にいるのと、どちらが怖いだろうか、と考えていた。
 切れた暖房を補うため、石油ストーブを焚き、みんなで毛布を体に巻き付けると、真理が「これは本当にあった話なんだけど」と話し出した。


 かまいたち


 真理と小林の先祖は、小林久左衛門といって、このあたりの大地主だったが、小作人からは搾り取れるだけ搾り取っていた相当ひどい人だった。
 この地方には、こんなふうに冷たい風の吹く吹雪の夜には、かまいたちで怪我をしたって人が大勢いたが、ほとんどは男性だった。
 だから、この地方では、不幸な死に方をした女の人の魂が、かまいたちになって恨んでいる男に切り付けるんだ、と言われている。
 久左衛門は、ひどい女たらしだったらしく、一度目をつけた女性は必ず手に入れていた。
 ある時、許嫁のいる村の娘に手を出し、娘は久左衛門を呪いながら、舌を噛んで死んだ。
 それ以来、久左衛門は外出するたびにかまいたちに襲われるようになり、ひどいときには服がボロボロになるほどだった。
 それで、久左衛門は、風の強い日には外出しないようになった。
 そして、一年後の女性の命日も、今日みたいにひどい吹雪の晩だった。
 久左衛門は、お屋敷の奥座敷から一歩も外へ出ず、食事も運ばせていたにもかかわらず、翌朝、女中が見に行くと、血の海の中で、喉を切られた久左衛門が死んでいた。
 久左衛門には全身に無数の切り傷があり、不思議なことに彼が寝ていた1畳ほどの部分だけ畳や布団もボロボロだった。


 突然、窓ががしゃんと開き、凍り付くような風と雪が吹き込み、ロウソクの炎が一瞬にして吹き消された。
 みんなの悲鳴が響いた。
 小林さんが、窓を閉め、再びロウソクに火がつけられた。
 小林さんは、「落ち着いて。きちんと閉まってなかったようです。偶然とはいえ、みんなを怖がらせる役には立ってようですね。」と言うと、真理は、「さっき窓のところに毛糸を輪にして結びつけておいたの。引っ張ると留め金が外れるようにね。さらに引くと、輪がはずれて手元に戻ってくるの。」と打ち明けた。
 その時、チカチカと瞬いて、部屋に白い光が充満した。電気が回復したのだ。
 今日子さんが、「お茶でも入れましょう」と声を掛けた。
 可奈子ちゃんが、「お手洗いに」と言い出すと、啓子ちゃんと亜希ちゃんも、「私も」と言って立ち上がった。
 みどりさんまで、一緒になってトイレに向かった。


 ティータイム


 全員がトイレから戻ると、お茶の用意ができていた。
 とてもいい香りのするお茶だ。
 今日子さんは、「ラベンダー・ティーなの」と言う。
 お茶を飲んで落ちついたところで、みどりさんが、真理に、「あれは本当の話なの?」と聞いてきたので、真理が、「本当よ、ね、叔父さん」と答えると、小林さんは眉をひそめながらうなずいた。
 小林さんは、「先祖の一人がひどい死に方をしたのは、昔調べたことがあるから、確かなことなんだ。ただ、かまいたちなど、女の恨みだのなんて信じちゃいないけどね。」と言った。
 亜希ちゃんが、「見たいテレビがあるんだった」と言い出したので、三人組は挨拶をして、部屋に戻ってしまった。
 小林さんが、「ゲームでもどうですか?」と声を掛けると、香山さんが、「若い人たちだけの方がいいから、自分たちは、これで失礼します」と言った。
 壁の鳩時計は、9時を回っていた。
 結局残ったのは、透、真理、みどりさん、俊夫さん、小林さん夫妻の6人だった。
 俊夫さんがトランプを持ち出したので、ナポレオンでひとしきり遊んだ。
 小林さんが、「11時になったから、そろそろお開きにしよう」と言ったので、透と真理は、挨拶をして、それぞれの部屋に戻った。
 シュプールの部屋は、基本的に一人部屋はないので、透と真理の部屋はツインだった。
 服を着替えて、ベッドに入ったとき、ビデオの時刻表示は、23:10だった。
 その数字を見ながら、透は眠りに落ちて行った。


 一夜明けて


 透は、誰かが名前を呼びながら、体をゆすっていることに気付いた。真理だ。
 どうやら鍵を掛け忘れたようだ。
 真理は、「もう8:40よ、朝食は8時半からよ」と言った。
 透がビデオの方を見るが、8:20だった。
 着替えのため真理を追い出し、急いで着替えて下へ降りた。
 テーブルには田中さん以外の全員がそろっていた。
 みどりさんに田中さんのことを聞いてみると、「何度ノックして起きなくて」と答えた。
 結局、田中さんは、みんなが食べ終わっても降りてこなかった。
 みんなで談話室へ移動した。
 窓の外を見ると、雪は相変わらずやむ気配はなかった。
 小林さんは、「予報では、夜中ぐらいまでは低気圧がいすわっているって話だよ。雪崩警報も出ている。」と教えてくれる。
 可奈子ちゃんは、「今日帰らないといけないのに。」と言うと、小林さんは、「危ないから、もう一晩泊まっていきなさい。お金は食事代だけでいいから。」と言った。
 啓子ちゃんと亜希ちゃんは、しょうがないと言うが、可奈子ちゃんは、明日3人とも休んだら、課長にヒステリー起こされる、と文句を言っていたが、結局泊まることにした。
 そして、今度は誰が会社に電話をするか、揉め始めた。
 小林さんは二階は上がっていったが、すぐに降りてきて、「お客さんが起きないんだ。いないのかしれない。」と言い出した。
 部屋には鍵がかかっているが、合鍵をあるとのことで、開けようか迷っているとのこと。
 鳩時計が10時を告げた。
 透の腕時計は、5分遅れの9:55を指していた。
 小林さんが、「一人でお客さんの部屋に入るのはまずいから、一緒に来てほしい」と透に頼んできたので、透は了承し、当然のごとくついてきた真理といっしょに、3人で二階へ上がった。
 「田中さん、いらっしゃいますか」と声を掛けながら、小林さんは、田中さんの部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。
 小林さんは、あきらめたように鍵束を出し、ロックをはずした。
 小林さんは、首だけ中に入れたが、体がこわ張るのが分かった。
 小林さんは、中へ踏み込んだ。
 真理は、むせかえるような錆びた鉄のような臭いで、鼻と口を押えた。
 透が部屋に入ると、田中さんが窓に近い方のベッドに横たわっているのが見えた。


 泊り客の死


 田中さんは全身に切り傷を負って、血を流していた。
 一番出血がひどいのは、ぱっくりと開いた喉の傷だ。
 真理は悲鳴を上げて、部屋から飛び出した。
 小林さんが、かまいたち、とつぶやいた。
 真理の悲鳴を聞いて、人々が集まってきた。
 小林さんが、「今日子、そこにいるなら、警察に電話しなさい。泊り客が死んでいると。」とドアの向こう側に声を掛けると、誰かの押し殺した悲鳴が聞こえた。
 小林さんは部屋を出ると、再びドアに鍵をかけ、待ち受けていた人たちを追い立てるようにして、談話室へと降りた。
 フロントで受話器を持った今日子さんが、電話が通じない、と言い出したので、小林さんが受話器を受け取り、フックを何度も押した。
 電話線が切れているみたいだ、部屋の電話は?と小林さんが尋ねると、今日子さんが、寝室の電話も同じように何も聞こえない、と答えた。
 小林さんは、外を見ながら、麓まで下りるのは明日にならないと無理だ、と言った。
 透が、近くに電話を借りれないのかを訪ねると、車さえ動けばいいんだが、この吹雪の中歩くとなると、と首を振った。
 香山さんが、携帯電話があるんや、と言い出すが、小林さんが、このあたりは電波状況が悪くて携帯電話も入らない、と答えた。
 透が、問題は誰があの人を殺したか?その犯人は、まだこの辺りにいるかもしれない、と言い出した。
 透はそう言いながら、この吹雪の中、誰か別の人間が外からこっそり来て田中さんを殺し、またこっそり出て行った、ということは考えにくいから、犯人はこの中にいる?と疑惑を持ち始めた。
 透は、戸締りを確認しましょう、と提案すると、小林さんは賛同し、透、小林さん、香山さん、俊夫さんの4人で、戸締りの確認をすることになった。
 男性陣が確認している間、今日子さんとみどりさんは、女性陣のためにお茶を振舞うことになった。


 男性陣で田中さんの部屋に入る。
 窓には鍵がかかっていた。そして、外から入ったなら濡れた跡があるはずだが、それもなかった。
 透が、乾燥室を調べよう、と言い出した。
 外から来た人物が乾燥室で乾かしてから、ペンションに入れば、濡れることはない。
 乾燥室には鍵がついていないでの、さっきは調べなかったのだ。
 乾燥室の中に置いてあるみんなのスキー板と靴は、しずく一つついていなかった。
 外に通じるドア付近もまったく濡れていなかった。このドアには錠が付いていて、今はしっかりとかかっていた。
 小林さんは、どこからも誰も出入りなんかしていない、と言った。
 犯人はやなりこの中にいるのだ。


 談話室に戻ると、みどりさんがコーヒーを入れてくれた。
 小林さんが、誰かが出入りした様子がなかった、と告げた。
 みどりさんが、かまいたちにやられたのは本当ですか?と尋ねた。
 どうやら、真理がみんなにそう伝えたらしい。
 小林さんが、確かにひどい様子だったが、人間にやったに決まっている、かまいたちなんかいるわけない、と言い切った。
 みどりさんが、犯人は誰なんですか?と尋ねた。
 小林さんは、警察に調べてもらわないと、と答えると、みどりさんは、警察なんか来ないじゃない!それまで人殺しと一緒にいるっての!とヒステリックに叫んだ。
 俊夫さんが、この中に田中さんを知ってた人いますか?と尋ねた。
 小林さんは、宿帳には東京世田谷の田中一郎と書いてあったが、スキーをしに来たわけではなさそうだし、妙だと思っていた、と言い出す。
 それを聞いた俊夫さんは、偽名っぽい、と言った。
 透は、なぜこのペンションを選んだんでしょう?と言うと、小林さんは、何も言ってなかった、と答えた。
 小林さんが、田中さんは2泊したい、と言っていた、と言った。
 やりとりを聞いていた香山さんが、死体が腐る前に田中さんの持ち物を調べよう、と言い出した。
 このペンションの暖房は集中システムのため、田中さんの部屋だけ暖房を切ることができないのだ。かと言って暖房を切ると、全員が凍えてしまう。
 小林さんは、警察が来るまではそのままにしておこう、と答える。
 真理が、犯人は昨夜戸締りが完全になる前に入り込んでいたのでは?と言うと、小林さんも頷くが、出て行ったときにどうやって鍵をかけたのだろう?と尋ねると、真理は、出ていっていないかも、と答えた。
 真理は、車が動かせるようになってから、逃げ出すつもりかも、と言った。
 透は、もしそうなら犯人はできるだけ、警察に連絡するのを遅らせようとするんじゃない?と言った。
 どういう意味かわからない真理に向かって、透は、口を封じようとするかもしれない、と告げた。
 まさかみんな殺すっていうの、と話す真理に、透は、そこまでしないかもしれないけど、電話線を切るとか、と答えた。
 俊夫さんと透が、電話線を調べて繋げよう、というと、香山さんが、電話が通じてもこの天気では警察は来ないから、自分たちが犯人を捕まえよう、と言い出す。
 言い争いを遮るように、小林さんが、捜索だけはしよう、と言って、男性4人での捜索を提案した。


 再度ペンション内を捜索するが誰もいない。
 あとは田中さんの部屋だけになり、香山さんが、鍵がかかっていたし、窓も閉まってたのに、犯人はどこから出たんや?と言い出す。
 犯人は、ずっと田中さんの部屋の中にいたのか?と透が思っていると、小林さんは、ここの鍵は中のボタンを押しておけば自動的にロックされる、と言った。
 小林さんが持っていた鍵でロックを解除して、田中さんの部屋に入った。
 クローゼットの中、バスルーム、ベッドの下を調べたが、誰もいない。
 透は、田中さんの左手に目が行くと、高級そうなデジタルの腕時計をしていることに気付いた。
 表示が11:16、自分の腕時計も同じ時刻を表示している。
 備え付けのビデオは、11:05を示していた。
 不思議に思った透が、香山さんに時刻を聞いてみると、腕時計を見て11:05と答えた。
 誰もいないことを確認して、談話室へ戻った。


 犯人はこの中に?


 戻ってきたメンバーの表情を見た真理は、この中に犯人がいるのね?と言った。
 小林さんは、「今日一日助けを求めることもできないし、ここから出ていくわけにもいかない、人殺しといっしょにね。」と静かに言った。
 小林さんは、「すでに一人殺しているので、自分が逃げるためとなれば、もう一人殺すことだっていとわないだろう。だから私たちは、常に一緒にいる必要がある。」と続けた。
 透が、電話線は?と尋ねたので、小林さんはフロントへ行き、電話線を辿って差込口にちゃんと刺さっていることを確認し、公衆電話のほうも不通なんだし、外に出なきゃならん、と言った。
 香山さんが中に残り、透、小林さん、俊夫さんの3人で外へ出ることになった。


 透と俊夫さんがドアの外に出ると、先に外へでたはずの小林さんの姿が見えない。
 俊夫さんが、透を案内し、階段を下りていくが、途中で透は頭から転んでしまう。
 小林さんの声が聞こえたので、そちらのほうへ歩く透と俊夫さん。
 外壁のところにしゃがみこんでいる小林さんが、箱を指さしている。
 箱からから伸びたゲーブルがすっぱりと断ち切られていた。
 誰かが電話線を切ったんだ、と俊夫さんが言った。
 よく見るとケーブルの断面に茶褐色の汚れたついていた。血だ!田中さんの血だ!


 応急処置


 小林さんが、道具を取ってくれば応急処置ならできると思う、と言った。
 ペンション内に戻り、みんなに事情を説明した。
 今日子さんが入れてくれたホットチョコレートを飲み終わった小林さんは、道具入れを持って立ち上がって、「寒いから一人で行くよ。その代わり、私が外に出ている間、誰もここを出ないでもらいたい。」と言ってから、出て行った。
 その時、鳩時計が12時を告げた。
 透が腕時計に目をやると、11:55を示していた。
 今日子さんが、食事の用意はどうしましょう?と聞いてきたので、透が、小林さんが戻るまで待ちましょう、と答えた。


 小林さんが、何とかなった、と言いながら戻ってきた。
 今日子さんが、フロントの電話の受話器を取り上げて、通じてるみたい、と言った。
 そして、警察に繋がると、小林さんが代わって説明し始めた。
 電話が終わった小林さんは、吹雪が収まり次第来てくれると言っていた、と告げた。
 安心した瞬間、透の頭の中でもやもやしていた考えが、少しずつまとまってきて、「確認したいことがあります」と発言した。
 透は、テレビとビデオはどこに設置しているのかを、小林さんに尋ねた。
 小林さんは、自分たち夫婦の部屋とみどりさんの部屋、客間は、渡瀬さんたち3人組の部屋と透の部屋と田中さんの部屋だ、と答えてくれる。
 続けて透は、ビデオはみんな同じ型かどうかを確認すると、小林さんは、一括購入したから同じものだ、と答えた。
 さらに透は、ビデオのある部屋のある人で、ゆうべ誰かを部屋に入れた人を確認する、と全員が首を振って否定した。
 透は、部屋の時計についても確認すると、小林さんは、この鳩時計しかない、と答えた。
 最後に透は、117に電話をかけると、午後、0時、14分、10秒、とテープが流れた。
 透の腕時計はあっている。
 その瞬間、透は犯人は誰か見当がついた。
 電話を切った透は、みんなに向かって、持っていたら時計を見せてほしい、と言った。
 OL3人組は時計を持っていなかった。部屋に置いてあるケータイが時計代わりだとのこと。
 真理はスキーウェアのポケットの中だ、と答えた。
 小林さん、今日子さん、みどりさん、春子さんは腕時計を持っていなかった。
 腕時計をしていたのは、透、香山さん、俊夫さんだけだった。
 俊夫さんは、12:20:30だと答えた。
 香山さんは、12:04だと答えた。
 それを聞いた透は、さっき117で確認したから、今の正確な時間は12:15だと言ってから、犯人がわかった、と告げた。 にほんブログ村 ゲームブログ 今日やったゲームへ
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勇者弐位
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女性
職業:
大阪のオバチャン
趣味:
ゲーム
自己紹介:
 ゲーム大好きな大阪のオバチャンです。
 やりたいゲームは発売日に買ってるが、プレイする時間がまったく足りてないでの、クリアするのはいつになるのやら・・・

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